大河ドラマ『武蔵−MUSASHI−』を紹介するとともに、大の武蔵ファンの牛嶋が、独自の視点で解説していきます。吉川英治さん原作はすっかりお馴染みですが、細かい点でどんな所が違うのか?歴代の武蔵との比較にも注目します。

2003年12月 8日更新


DJ USHIJIMA'S PAGE / 時代劇TOP / 剣持の目


第 1回 俺は強い!  1月 5日放送 第26回 柳生の誘い  6月29日放送
第 2回 お前を守る!  1月12日放送 第27回 再会!武蔵とお通 7月 6日放送
第 3回 弱さを知れ!  1月19日放送 第28回 つかのまの愛 7月13日放送
第 4回 倒してみせる!  1月26日放送 第29回 小次郎動く!  7月20日放送
第 5回 一から出直せ!  2月2日放送 第30回 石舟斎の遺訓 7月27日放送
第 6回 決闘!般若坂  2月 9日放送 第31回 お通、いずこに 8月 3日放送
第 7回 秘剣!燕返し 2月16日放送 第32回 武蔵の決意  8月10日放送
第 8回 いざ!柳生の剣 2月23日放送 第33回 父との再会 8月17日放送
第 9回 おのれを知れ! 3月2日放送 第34回 対決!夢想流 8月24日放送
第10回 宮本武蔵、参上! 3月9日放送 第35回 武蔵、小倉へ!  8月31日放送
第11回 修羅の道へ! 3月16日放送 第36回 武蔵と小次郎 9月 7日放送
第12回 俺は死なない! 3月23日放送 第37回 巌流島への道 9月14日放送
第13回 一乗寺の決闘! 3月30日放送 第38回 決闘!巌流島 9月21日放送
第14回 美は美なり! 4月6日放送 第39回 武蔵帰還 9月28日放送
第15回 響け!笛の音 4月13日放送 第40回 信じる心 10月 5日放送
第16回 伊達の刺客! 4月20日放送 第41回 又八、危うし! 10月12日放送
第17回 おのれの道! 4月27日放送 第42回 武蔵と幸村 10月19日放送
第18回 女心、揺れる! 5月4日放送 第43回 武蔵村の危機 10月26日放送
第19回 風雲の江戸! 5月11日放送 第44回 お杉逝く! 11月 2日放送
第20回 家康暗殺 5月18日放送 第45回 冬の陣開戦! 11月 9日放送
第21回 必殺の鎖鎌! 5月25日放送 第46回 宿敵! 柳生宗矩 11月16日放送
第22回 対決!宍戸梅軒 6月1日放送 第47回 涙の別離 11月23日放送
第23回 夫の仇(かたき)! 6月8日放送 第48回 柳生を倒せ! 11月30日放送
第24回 蘇る!戦いの日々 6月15日放送 第49回 武蔵よ永遠に! 12月 7日放送
第25回 お通の涙 6月22日放送
                         

第49回(最終回) 「武蔵よ永遠に!」(12月 7日放送)

1615(元和1)年、大坂夏の陣で、豊臣方は真田幸村らが相次いで討死し、大坂城内に徳川の兵がなだれ込む。 城内で武蔵(市川新之助)は、秀頼(新晋一郎)を守るために城に残る幸村の子・大助(東新良和)の知らせで、柳生宗矩(中井貴一)の居場所を知る。他の兵には目もくれず宗矩のもとへ進み、武蔵は宗矩と対決する…。 その頃、大坂の町で一人、襲ってくる雑兵と戦いながら武蔵を待つお通(米倉涼子)。間一髪のところで武蔵が戻ってくる。そして、二人は混乱の大坂を抜け出すのだった。 年月が過ぎ、晩年、武蔵は熊本の霊巌洞で「五輪書」を記す。そこには己より大きなものに頼らず、己の力だけで生き抜いてきた武蔵の精神が息づいていた。

【牛嶋のズバリ解説】
とうとう最終回。最後の最後まで期待していた方も多かっただろう。しかし、筆者の予想通りの結果となってしまった。と言うより、予想以下になってしまったのでは?それでは最後の感想文、行きましょう!

@あれっ?
冒頭から嫌な予感がした。毎回、先週の放送を少し振り返ってから始まるのだが、今回はいきなり回想シーンからスタートしたのである。『あれっ?』と思ったら、今度は出演者のテロップに(回想)の文字が多いこと多いこと・・・。これは、過去の映像がたくさん出てくるのだろうと思った。でも、1人2人ならまだしも多すぎ!とにかく嫌な予感を持って始まった。

Aおいおい・・・
大坂夏の陣が始まった。合戦シーンや大坂城内の様子も描かれて、それなりに臨場感があったが、唖然としてしまうセリフがあった。それは、『真田幸村様、討ち死に!』と秀頼の家臣が報告に来た時のセリフである。おいおい、死ぬシーンくらい撮ってやれよ!と突込みを入れてしまったが、あれでは、真田幸村がわざわざ登場した意味がない。真田幸村が登場しなかったらあれで良いと思うが、せっかく登場させたのだから、最後はカッコ良く死なせてやればいいのに!と思った。筆者なら、幸村が絶命するシーンに武蔵を登場させ、『武蔵、大助を頼む!』などといったやりとりをさせるが・・・。最後の最後に、中村幸村がNHKに討たれてしまった。出演した中村雅俊に失礼極まりないぞ!

Bこらこら・・・
武蔵と宗矩が立ち合った。2人の関係を考えれば絶対に描くべきシーンだが、なんともお粗末な結果となった。あそこでスパッと宗矩の首をはねるシーンがあれば最高だったが、あれでは、武蔵が城に出向く必要はない。『1人で生きてきた者の精神は、太平の世になっても終わる事はない』といったニュアンスの事を言っていたが、だからなんなんだ!それだけを言う為にわざわざ出向いたのか?脚本が理解出来ない。あれで宗矩に勝ったとでも言うのか?あそこは首をスパッと斬るべきだった。例え史実を覆しても・・・。

Cありゃありゃ・・・
大坂城を後にする武蔵だが、既に大坂の町は壊滅状態だった。武蔵はお通の元へと急ぐが、ギリギリの所でお通を救い出す事が出来た。大坂の町を逃れる武蔵とお通。そこには徳川軍が立ちはだかっていた。武蔵は、お通を守りながら次々と敵を斬っていくが、このシーンはカッコ良かった。もう少し殺陣に迫力があればもっと良かったが・・・。でも、アニメや映画のヒーローものを見ているようで、ああいうシーンを描く事自体が脚本力のなさを表している気がした。あまりにも単純すぎるのだ。というより、宗矩とのシーンが消化不良だったので、何を描いても良く見えないのだ。

D待て待て・・・
今回は最終回でありながら、回想シーンが多くてガッカリした。回想は8時27分頃からスタート。幼少の頃に始まり、千年杉に吊るされるシーン、村を脱走する場面もあった。そんな映像とともに、武蔵が年齢を重ねていくシーンをインサートしていたが、あんなに過去の映像を流しては、時間稼ぎと思われかねない。”○年後・・・”などといきなり持っていくのに違和感があったのだろうが、余計な時間を使いすぎである。過去の映像を流すなら幸村の死を描け!と言いたい。それにしても、まさか最終回で”総集編”を見せられるとは思いもしなかった。

Eあれあれ・・・
回想シーンの間に”その後の武蔵とお通”が描かれていたが、お通はどうやら武蔵よりも先に死んだようだ。死ぬシーンを描け!とは言わないが、あまりにも丁寧すぎる作りにびっくりしてしまった。しかも仏壇のシーンの後ろにお通の声をかぶせるという現代ドラマ風の演出で、これはこれで良かったと思うが、これまでとの演出のギャップがありすぎて、見ていて困ってしまった。

Fやっぱり・・・
筆者の予想通り、大坂の陣から死ぬ間際へと、何10年も飛んでしまった。ドラマには良くあるシーンだが、巌流島以後で一番大切な、細川家との関わりが何も描かれてなかったのは残念でたまらない。伊織も結局は出てこなかった。五輪書もあの武蔵に書けたのか疑問が残った。どう見ても”自分史”か”お通との日々”というタイトルで文書を書いているようにしか見えなかった。最後の最後まで期待を裏切ってくれてありがとう!NHKさん!
【NHK大河ドラマ『武蔵−MUSASHI』を見終えての手記】

2003年の大河ドラマもついに最終回を終えた。大河は新年のスタートとともに始まるので、最終回を迎える頃になると『今年も終わりかぁ〜』と思わせる季節感があるのがいい。また、内容も1年ごとに違うので、終わってしまう寂しさと、次の大河への期待感の両面を持ち合わせる点は、大河ドラマたるゆえんだろう。

思えば去年の今頃は、例年以上に期待に胸を膨らませたものだ。何度も予告編を見ては、早く始まらないかなぁ〜と思い、武蔵の本を改めて読み漁った。錦之助武蔵、北大路武蔵、役所武蔵のビデオも見た。筆者は、高校時代に役所武蔵にハマって大の武蔵ファンになったが、『武蔵は岡山出身かぁ〜』と未知なる町を思い浮かべたものだった。まさか武蔵の故郷の岡山に住むなんて思いもしなかったが、きっと武蔵が引き寄せてくれたのだろうと信じている。岡山に来て5年になるが、最初に遠出したのが大原町だった。もちろん、武蔵に会いに行くためだったが、ちょうど”武蔵を大河ドラマに・・・”と誘致活動が始まった時期で、全国各地から誘致がある中で決まるのは難しいだろうと思っていた。そんな中、漫画『バガボンド』が大ヒット。タイミング良く大河が決まったと言えるだろう。

武蔵は、片岡千恵蔵、中村錦之助、三船敏郎、高橋英樹、役所広司、北大路欣也など、そうそうたる出演者が演じた。それだけ国民的な大スターであると言えるし、事実、多くの人の”生きるバイブル”にもなっている。大河になる題材は、時代背景がうまくリンクするもの・・・と言われているが、筆者なりに、これからは”個”の時代。いかに個人が実力を持てるかがカギである!と理解した。だから大河でも、剣一筋の剣豪が21世紀ヴァージョンで描かれると思っていた。武蔵役は歌舞伎俳優の市川新之助。人の目にあまりさらされていないキャスティングは見事!と思ったが、お通は米倉涼子と聞いて、良いドラマが作れるんだろうかと少し不安になった。でも名誉のために言うが、筆者は米倉涼子が嫌いな訳ではないし、役不足と思っている訳ではない。もっと適した人がいるのでは?と思っただけだ。『どう見てもたくましいお通だよなぁ〜』と不安を抱えていはいたが、まさかそれが現実になるとは思いもよらなかった。

徹底した原作無視。無視以前に史実さえも覆す脚本。キャラ設定のあいまいさ。市川武蔵の演出法。次々と疑問が生まれ、序盤から”楽しみ”から”憤り”に変わってしまった。原作無視は良い。でも、原作を超えるような無視なら許せる。しかし、原作の良い部分をことごとく排除し、意味不明な展開へと変えてしまう。これは怒り以外の何ものでもない。それでも、”次こそは!””次こそは!”と思いながら見続けたが、一向に変わる気配もなく、NHKのスタッフに小次郎の子孫でもいるのか!と思ったほどだ。

今年の大河は49話にわたって描かれた。49話もよく見続けたものだと思うが、これも”宮本武蔵”が題材だからだろう。だからこそ余計に気分害してしまったのかもしれないが、正直言って、筆者は最後の最後まで期待して見ていたのである。だから、毎回厳しい事を書きながらも愛情だけは持ち続けていた。結果的に”最低の出来”になってしまったが、ある意味、『こんなドラマを作っちゃいけないよ』というお手本になったのではないだろうか。

一番悔しいのは、剣豪・宮本武蔵の名前に傷が入った事。吉川英治先生の小説が、全て事実を描いているというつもりはないが、希望が持てない、夢が持てない時代と言われ、多くの若者が一歩を踏み出せない中で、『武蔵って凄い人だったんだ!俺も武蔵みたいに自分の腕を磨こう!』という内容にすべきではなかったのか?もう何を言っても仕方ないが、近い将来、きっと誰かがちゃんとした武蔵を描く事だろう。その時は今回の教訓を生かして欲しい。そして剣豪・宮本武蔵の汚名返上を祈るばかりである。

最終回を見終えて思ったのは、市川新之助が一番可哀想だったという事。海老蔵襲名を控え、新之助の意気込みも相当なものだったと思う。気合の入りすぎた演技が何度も指摘されたが、あれは演出家が悪いだけで、市川新之助に罪はない。演出者が『市川さん、もっと気楽にいこうよ』と言えば済む話である。結果的に、構想、脚本、演出力という一番大切な部分に落ち度があったので、全体が崩れてしまったと言える。NHKには懺悔して欲しいの一言だ。

以上の事から、市川新之助主演で、再度”宮本武蔵”を作って欲しい!NHKは絶対作らないだろうが、数年後でいい!民放テレビ局に是非お願いしたい。最後に、批判のしっ放しでしたが、毎週のように読んでくれた方に心から感謝します。ありがとうございました。

第48回 「柳生を倒せ!」(11月30日放送)

大坂では、夏の陣が間近となっていた。そんな中、武蔵(市川新之助)は宗矩(中井貴一)を倒す決意をお通(米倉涼子)に伝え、大坂城に向かう。 武蔵は真田幸村(中村雅俊)の陣所を訪ねた。負け戦さと知りながら豊臣のために命を懸けようとする幸村に、武蔵は真の武士の気概を感じ、剣で生きてきた自分と相通じるものをみるのだった。そして、自分の人生全てをかけた宗矩との対決への思いを新たにする。 一方、宗矩もまた、これが最後の戦となって太平の世がくるであろうとの信念から、大坂城に乗り込む決意を、妻りん(和久井映見)に明かす。 その頃、沢庵(渡瀬恒彦)はお通から、又八(堤真一)が死んだこと、武蔵が城に入ったことなどを知らされていた。沢庵は「武蔵を待っていてやれ」とお通に語る。 幸村ら諸将たちの出陣を見送った武蔵は、さまざまな思いを胸に門に立ち、宗矩を待つのだった。

【牛嶋のズバリ解説】
いよいよ残り1話となった。大河ドラマに決まった時から楽しみにしていた武蔵が、このような結末を迎えるとは思ってもみなかったが、最後まで見続けたからには死に水を取ってやろうではないか。これ以上ヘンな武蔵は永遠に描かれない事を祈って・・・。それはそうと、スカパーの『時代劇専門チャンネル』で『それからの武蔵』を並行して見ている。錦之介と新之助の年齢差がありすぎて違和感があるが、新之助も演出次第で”素晴らしい武蔵”を演じる事が出来ただけに残念だ。さて、今週も解説、いや、感想文を書いていきましょう。

@可哀想な結末
先週の放送で又八が死んだ。オープニングテロップには”本位田又八(回想)”と表示されていたが、先週死んだばかりで回想もなにもなかろう!。戒名は凉雲八相信士。誰がつけたんだろうか?ここまで見せたのなら、その辺りまで紹介してもよかろう。とにかく全てが中途半端な今年の大河ドラマ。視聴者に”♪なんでだろ〜う。なんでだろ〜う♪”と思わせるのにも限度がある。視聴者に考えさせるんだったら、もっと丁寧に作るべきだ。又八の死は、天国のお杉も悲しんでいる事だろう。それと朱実だ。子供が生まれたばかりだというのに、なんたる可哀想な結末だ!殺すよりも生かして幸せにさせた方が絶対にいいと思う。又八の死は予定外だったと鎌田氏が大河のサイトで述べているが、鎌田さん、悪いけど狙いは全部はずれてますよ!と言っておこう。

A又八と朱実の失敗
原作の又八と朱実は、同じ境遇にあったからこそ夫婦になれた。何をやってもうまくいかない又八と、母に裏切られた朱実。その他2人のサイドストーリーは、ここでは書けないくらいたくさんあるが、”落ちる所まで落ちた2人”だからこそ、自然に結びついたと言える。我々はそれをスムーズに受け入れる事が出来たし、その後の2人もきっと幸せな人生を歩んだと想像出来た。しかし、大河の2人は、境遇も違えば、キャラ設定も”兄と妹”だった。これでは、感情移入しにくいし、2人がデキた経緯も明確ではなかった。それが大きな失敗だろう。何度も書くが、役所武蔵での奥田又八と池上朱実は見事だった!物語以外に、2人の演技力が際立っていたのも”絶賛!”という評価につながっているのだろう。

B天下の大河の行く末は?
又八の死を受けて大坂に出陣する決意をした武蔵。真田幸村の陣へと赴くが、幸村の長男である大助が武蔵を出迎えた。大助役は、ジャニーズ事務所の東新良和。3年B組金八先生でも生徒役を演じ、主役級の扱いだった。ジャニーズ事務所の勢力が細かい所まで及んでいる点に、キャスティングは”俳優ありき・・・”ではなく、”事務所ありき・・・”である事を改めて感じた。”天下の大河よ何処へ行く!?”と訴えたい気持ちでいっぱいだが、年々落ちていく大河に起死回生の逆転劇はあるのか?出来れば武蔵でそれをやって欲しかったが・・・。

C強引は理解する。しかし・・・
真田幸村と再会した武蔵。又八の仇を取りたいと訴えるが、常識的に考えたら、大坂の陣で柳生宗矩と対面する事は不可能。それを実現させるのがドラマであるが、幸村は討ち死にする訳だし、大坂城は火の海。そんな中で宗矩と対面するなんて無理な話である。それをとやかく言うつもりはないが、そんな強引なシーンを作るなら、スカッとするような展開に持っていって欲しい。そう、もう宗矩を討ち取るシーンを作るしかない。

【来週の展望】
泣いても笑っても残り1話。最後まで期待を裏切り続けた点は、あっぱれである。実は最終回のタイトルに期待していたのだが、”武蔵よ、永遠(とわ)に”とは!。申し訳ないが、笑ってしまった。宇宙戦艦ヤマトじゃないんだから・・・。とにかく、ひねりも何もないのにはガッカリ。やはりこの程度のセンスしかないのだ。それと、来週は宗矩と立ち合うらしいが、どういう理由で立合いが中止になるのか注目だ。それと、筆者の予想通り一気に臨終シーンになるようである。剣を究めようとしていなかった”大河武蔵”に、五輪書なんて書けるだろうか?”五凛書”の間違いではないのか?以上、今週は思いっきり嫌味で締めくくった。

第47回 「涙の別離」(11月23日放送)

「大坂冬の陣」のあと、徳川方は和議の内容を無視し、大坂城の内堀まで埋めてしまう。大阪城内では、再度の戦を主張する真田幸村(中村雅俊)たちと淀殿(若尾文子)や大野治長(近藤正臣)の意見が合わず内輪もめになる。徳川方は再び戦を始め、一気に豊臣家を滅ぼそうとしていた。和議と言いながら戦の準備を図る徳川の動きに、ついに淀殿も開戦を決意。 又八(堤真一)が美濃から、武蔵(市川新之助)とお通(米倉涼子)のいる大阪に戻ってきた。そして、以前朱実(内山理名)が会った、お通の母親らしき女性が今、平戸に向かうために堺にいると知らせる。3人は堺へ向かった。だが、その女ルシア(高橋惠子)を見つけたのは、ルシアが平戸への舟に乗り込んだ直後だった。お通は岸から思いを込めて笛を吹く…。 朱実と暮らすために又八が美濃へ発つ前日。武蔵がでかけている間に、宗矩(中井貴一)の命令で、亜矢(寺島しのぶ)たちが武蔵の命を狙って又八の家を襲う。又八は斬られながらも必死にお通を守ろうと闘うが……。

【牛嶋のズバリ解説】
第47話が終了し、今年の大河も残り2話となった。最後の最後まで不完全燃焼で今後も期待出来ないが、全話終了後に、改めて役所武蔵、錦之介武蔵、北大路武蔵を見ようと思う。それにしても今年の大河を『面白い!』と心から思って見ている人がいるのだろか?史上最低の大河となってしまったNHKには反省してもらいたい。そして、1時間枠でもいいから、汚名返上の”武蔵特番”を作る事を望むのみだ。さて、今回も厳しいぞ。

@沢庵って何?
沢庵が久しぶりに登場した。いつ以来であろうか?役所武蔵では頻繁に登場して、武蔵に”我が師”とまで言わせた沢庵。しかし、今回の大河では全く存在感がなく、正直言って”いてもいなくても一緒”という存在になっている。今回も”恨み”について武蔵に説教していたが、セリフに説得力がなかったのが残念だ。『分かる気がする』などとお通は言っていたが、筆者には全然分からなかった。坊主ならもっと大きく包み込むような発言があってもいいのではないか?視聴者の想像をはるかに超える発言があってもいいのではないか?何のために出て来たのか?なぜ沢庵を出した?明らかに演出不足。最後の最後までキャラクター設定が全然出来てない。NHKよ!責任取れ!国民から受信料を取る資格はない。今年徴収した受信料を全世帯に返金せよ!と言いたいくらいだ。

A又八を殺したNHK
又八が死んだ。この事は早くから情報が入っていたので驚きはしなかったが、果たして死ぬ必要があったのか?と思う。三之助が死んだ時も同じように思ったが、第1話から出ている又八だけにその思いが強い。今回は、”もしかして死ぬのでは?”といった場面が何度も作られていたが、それは現代ドラマによくある手法だ。死なせた事で、今後良い展開になるとは思えない。残り2話でどうしようというのだ。むしろ、残り2話だから殺してもいいだろう・・・という安易な考えに思えて仕方がない。残り2話だからこそ又八を生かすべきではないか?

B最低の脚本
お通が母と思われるルシアとニアミスした。お通の笛に振り返り、船を戻してくれ!と叫ぶ。しかし、船が戻る事はなかった。う〜ん。という事はお通とルシアは親子なのか?ハッキリしない展開にイライラが余計に募った。親子だから何なのだ?単純な脚本にがっかりしてしまった。鎌田敏夫氏が書いているとは思えないが・・・。

Cやはり最低の脚本だ
亜矢が又八によって討たれた。武蔵に斬られて最期を迎えて欲しかったが、なんとお粗末な脚本か・・・。結局、亜矢のキャラを殺してしまったのは言うまでもない。

【来週の展望】
今回はとっても短い感想になってしまった。又八の死の意味が分からないし、亜矢の最期も消化不良。いっその事、あかね屋絃三を生き返らせた方が面白くなるのでは?と思ったほどだ。とにかく失望感ばかりで、語る気持ちになれない。ホント、いい加減にして欲しいといった感じ。そう言えば、先日、岡山県の北部の某町で筆者は、120名もの前で大河武蔵批判を行った。ちょっと言い過ぎたかな?と、地元で観光に携わってる方に『申し訳ありません。つい・・・』と謝った。しかし、『何言ってるの?いいじゃない。みんなそう思ってるんだから・・・』と言われた。岡山で誘致した大河ドラマが、岡山県民にとって最悪の結果に終わろうとしている。この責任をどう取るのだ!NHK!国営放送がA級戦犯になるとは!

第46回 「宿敵! 柳生宗矩」(11月16日放送)

兵庫助(高嶋政伸)が又八(堤真一)の家を襲い、武蔵(市川新之助)は又八を守って斬り合うが、止めに入ったお通(米倉涼子)の願いを聞き入れ、2人は刀を収める。そして、武蔵は兵庫助に宗矩(中井貴一)に会わせて欲しいと頼む。 そこへ生き延びたお甲(かたせ梨乃)が訪ねてくる。又八はお甲とともに、朱実(内山理名)を捜しに、美濃へと向かう。 その年の冬、徳川軍は大坂城に大砲や鉄砲を打ち込んで早々に和議の交渉に持ち込もうとしていた。しかし、秀頼(新晋一郎)や淀殿(若尾文子)はひるまなかった。真田幸村(中村雅俊)も見事、徳川軍を打ち破る。しかし、居間に大砲の弾が飛び込み、侍女たちが負傷するのを目の前にした淀殿はうろたえ、すぐに和議に応じることとなり、戦は終わりを迎えた。 その頃、武蔵は兵庫助の計らいで宗矩と対面し、なぜ村を潰したのかを問う。宗矩は「蚊の集まりがそのうち鷲のようになる。蚊のうちに叩き潰すのが政だ。」と答えた。その答えに、武蔵は宗矩に斬りつける。

【牛嶋のズバリ解説】
今日、武蔵の故郷・岡山県大原町近くに住む友人と話をしたら、大河の放送内容に嘆いていた。現に、”面白くない”と、周りにいた視聴者もどんどん離れていってるらしい。それが視聴率に表れていると思うが、NHKの大河に期待出来ない今、どこかの局に”武蔵汚名返上版”を作って欲しいと願うのみである。このままでは剣豪・宮本武蔵が汚される。頼みは武蔵好きのテレビ東京か?と思うが、いくらなんでもテレ東は武蔵を作りすぎかっ?でも、憤りを感じているテレビドラマ制作者や俳優は多いだろう。でも、もしそういう機会があるなら、まず、演技力と存在感ある殺陣のうまい俳優を武蔵役に起用して欲しい。それに、事務所とのしがらみによって出演者が決まるなんてルールは問題外。あとは何より、センスある演出者、脚本家を起用すべきだ!今は実現不可能かと思うが、筆者と同じ考えを思っている方はがホント多いと思います。さて、今週も怒りの解説いきましょう。

@こんなシーンを作るな!
又八を斬ろうとした兵庫助。そこに武蔵が飛び込んで又八の危機を救った。そして、ついに武蔵と兵庫助の立合いが・・・と、先週の放送はここで終わった。この時点で筆者は、絶対に立合う事はないと予想したが、案の定、お通が飛び込んで立合いは中止になってしまった。なんて事をするんだ!お通!余りにもノーマルすぎるぞ!と思ったが、これが今年の大河のお家芸。期待して何度も裏切られてきたので免疫が出来てしまった。このシーンがあったからこそ、宗矩と面会するきっかけが出来たのかもしれないが、あまりにもひどすぎ。もちろん、立合うなんて期待はしていなかったが、立合わないのならこんなシーンは作るな!と言いたい。もう、視聴者はお見通しだから・・・。

Aやっぱり違和感あるなぁ
お甲が生きていてひょっこり帰ってきた。”朱実が救ってくれた・・・”などと訳のわからない事を言っていたが、武蔵、お通、又八とお甲・・・。この構図はやっぱり違和感がある。行方不明の朱実とお甲に今さら何も通じるものはないと思うが・・・。その後、展開は早く、生まれ故郷の美濃にいるだろうという、刑事ドラマ的な発想?から、又八とお甲が美濃に向かう。そして、簡単に対面。朱実には子供がいた。最初は又八との子供ではないと否定する?朱実だが、その後、本当は又八の子供である事を態度で示したのだった。それにしても、又八と朱実の関係も良く分からない。なんのために家出したのか?家出したのを又八が探し出して何が生まれたのか?又八と朱実はいつデキたのか?とにかく内容が軽すぎて、見ている我々に何も伝わってこないのが残念だ。役所武蔵で奥田瑛二さん演じる又八が、最初に我が子と対面した時の”わしの子かぁ〜”と、泣きながら子を抱き寄せたシーンがあったが、あのシーンは素晴らしかった。

Bさすが渡辺謙の息子だ!
渡辺謙さんの長男が豊臣秀頼役で出演しているが、今日の演技に渡辺謙を見た!声の出し方といい、顔の表情といい、お父さんの渡辺謙そっくり!マスクも良いし、風格もあるし、大俳優になるのは間違いなし。確かに二世俳優で、ドラマにも出やすいだろうが、トレンディードラマなどには出ないで、父の後を継ぐ実力派俳優になって欲しい。今回はこれ以上目立つことなく終わり、数年後に素晴らしい配役で登場するのを期待したい。

C大阪の陣はそんなものか?
大阪冬の陣が少しだけ描かれた。しかし、家康の姿や派手なシーンもなく、簡単な合戦シーンのみ。これだけ大阪の陣!大阪の陣!で来たのにあまりにも省略しすぎではないか?もちろん予算の都合もあるだろうが、CGを作るだけでも相当お金を使うものだ。だから、もう少し描いて欲しかった。和睦交渉は女性同士で行ったという話は貴重な話かもしれないが、視聴者はそんな事を求めていない。武蔵がどうかかわったのかを知りたいのに、NHKにはそのツボが分からないようだ。NHKの”知ってるぞ自慢”はいらない。

Dそんな結末か!
兵庫助の使者がやってきて、いよいよ宗矩と対面した武蔵。宗矩は、巌流島以後の”武蔵のライバル”という設定だが、そういう意味では一乗寺や巌流島の決闘と同じ扱いであるべき。確かに太刀を向けて殺してもいい勢いだったが、筆者の願いは叶わず、予想通りの結末となった。武蔵も武蔵だ!兵庫助と別れる際に”かたじけない”とは、何がかたじけないだ!対宗矩の第二章があるらしいが、正直言ってもういい。当サイトの掲示板に、最終回と思われる回に、”炎に囲まれて2人が立合っているシーンがある”という情報が入ってきたが、宗矩をぶった斬るシーンじゃなければ作らないで欲しいと思う。

【来週の展望】
予告を見る限り、来週は物語が大きく動きそうだ。宗矩の命令によって武蔵が命を狙われるらしい。しかし、不在だったため又八が狙われるはめに。予告の最後に武蔵が何やら叫んでいたが、お通が死ぬのではないだろうか?しかし、将来的に細川家の客分になる事を考えると、ハッキリ言ってお通の存在は邪魔である。いつか武蔵と別れる事になるだろうとは思っていたが、殺されるというのはひどすぎる。筆者なら病死させるが・・・。とにかく来週は大きな出来事があって、武蔵の今後の生き方も決まるような・・・そんな気がする。

第45回 「冬の陣開戦!」(11月 9日放送)

豊臣・徳川の戦いが近づき、大坂の町も騒然としてきた。又八(堤真一)から細川家が大坂にいることを知らされた武蔵(市川新之助)は、細川忠興(夏八木勲)と児島備前(宇津井健)を訪ね、三之助が死んだことを詫び、柳生宗矩(中井貴一)に命をかけてでも、村人たちを襲った訳を問いただしたいと告げる。そして必ず宗矩が大坂にやってくると、徳川の陣形を探る。 そんな時、武蔵は僧になった吉岡清十郎(榎木孝明)に出会う。清十郎に吉岡家を潰された恨みなど全くないと言われ、武蔵はお通(米倉涼子)に村人や三之助を殺した宗矩を恨むのは間違いなのかと問う。 一方、又八は豊臣方に大砲や鉄砲を売り始める。朱実(内山理名)がいなくなったさみしさもあり、危険な商いへとのめりこんでいく。 兵庫助(高嶋政伸)は宗矩が武蔵の村を潰したことに絶望して柳生に戻ろうとするが、宗矩に又八を始末することはやり遂げよと言われる。また、武蔵に命を助けられた亜矢(寺島しのぶ)は、武蔵を斬ろうと憎悪を燃やしていた。 やがて、徳川方は堅牢な大坂城を落とすために淀殿(若尾文子)と秀頼(新晋一郎)を脅かそうと、大筒を大坂城に打ち込み始める。その夜、兵庫助は又八の家を襲い、武蔵と対峙する。

【牛嶋のズバリ解説】
今日は衆議院選挙。ニュース勤務のあとそのまま待機となったため、会社のテレビで見た。ラジオ局といえども6台もテレビがあって各局の番組が映るのだが、いずれも小さいテレビで画面に迫力がなかったのは残念だったが・・・。もちろん、帰宅してから大きな画面?で再度ビデオ鑑賞。さて、今回も”いつも通りの感想”になってしまったが、どうぞお読み下さい。

@センスのなさ
先週の放送で命を落とした三之助。1週経ったが、未だに残念でたまらない。又八も『三之助はどうした?』と聞く位、その存在の大きさを感じた。とにかく残念!の一言で、生きていた方が絶対に物語の展開が面白くなると思う。それにしても、これまで散々書いてきたが、NHKの今回の大河ドラマ班にはセンスがない。視聴者が何を求めているのか?どうすれば面白くなるのか?こうすれば視聴者はびっくりするだろう!など、その辺りを全く考えていないように思えて仕方がない。おっと!”班”と書いたが、ディレクターの面々だって決して面白いと思っていないはず。プロデューサーと脚本家の意向にただ従ってるだけであろう。とにかくプロデューサーと脚本家にセンスがない。あぁ、もういいかげんにこんな事を書きたくないが、回を進むごとにエスカレートしているような気がする。

A児島備前よ、号泣せよ!
三之助を死なせてしまった事を児島備前に詫びる武蔵。その様子を見ながら、『NHKが謝れ!』と突込みを入れてしまったのは私だけではないだろう。将来ある孫を失った児島備前の心中はいかに?と思ったが、意外にさっぱりしていたのはびっくり。”武蔵殿のために死んだのは本望であり、人の死は誰にも責められぬもの・・・”とは言うが、果たしてそうであろうか?この時代なら当たり前なのかもしれないが、その辺りは現代の人が見ている訳で、児島備前に号泣させるなどの演出が欲しかった。

B細川ガラシャがいれば・・・
細川忠興も久々の登場。今さら出てきても仕方がないと思うが、せっかくキリシタンの話題が出ているのなら、夫人の細川ガラシャを登場させれば・・・と思ったが、1600年に既に死んでいたのを忘れていた。残念!ところでお通の母の話はもう終わりか?中途半端で終わらぬよう祈るぞ!

C兵庫助の行方は?
徳川とかかわりのない”宮本村”をつぶしたのは理解しがたい!柳生に帰る!と宗矩に言い放った兵庫助。”今頃気がつくなよ!”と、また1人突っ込みが入ってしまったが、この2人の関係がよく分からない。特に高島兵庫助は、巌流島以後はもうお役御免でもいいのに、無理に登場場面を作っているように思えて仕方がない。宗矩を武蔵のライバルに仕立て上げたたので、出る必然性があると判断したのか?筆者なら、高島兵庫助の人件費を使うより、他の人物を登場させるが・・・。兵庫助よ、何処へ行く?そして今、また登場人物1人死のうとしている。

D視聴者に読まれるストーリー
鉄砲を売る又八。危険な場所に身を投じているので、そのうち捕まって殺されてしまうのでは?という心配があったが、案の定、兵庫助に命を狙われた。武蔵が救って難を逃れたが、武蔵と兵庫助がついに立ち合う事に・・・。そこで今週の放送は終わったが、きっとお通が”やめて!”と飛び込んでくるのだろう?と思ったら、来週は本当にそうなるらしい。おいおい、視聴者に先を読まれるようだと終わりだぞ!と言いたい。しかも単純なストーリーで・・・。一方の朱実は、さまよっているだけ。何のためにさまよっているか?全く意味が分からない。理解に苦しむ。

E剃髪していなかったのが残念!
あの吉岡清十郎と久々の対面。清十郎は僧になっていたのだ。これは原作にもある話だが、剃髪していなかったのにはがっかり。インパクトからいって綺麗さっぱり剃髪していた方が良かったと思うが・・・。だから、”清十郎殿、変わられましたなぁ〜”という武蔵のセリフが全く生かされていなかった。武蔵に対する恨みはないと言うが、果たしてそうだろうか?その風貌から、とても180度人生観が変わったとは思えないが・・・。やはり剃髪だよ剃髪!

【来週の展望】
お甲が生きていたらしい。朱実がいるからこそ生かしたと思われるが、朱実とお甲・・・今後はどんな展開を見せるのだろう。それと、筆者の願いが叶ったのか?武蔵と宗矩が対面するようだ。太刀を差し向ける武蔵・・・しかし、何らかのアクションがあって武蔵が太刀を治めるのだろう。筆者は迷う事なく首をはねる演出をするが・・・。思えばタイトルは忘れたが、真田幸村を主役にした映画(錦之助が演じていたような気がする)で、幸村が最後に徳川家康を討ち取ったというのがあった。その映画の最後に”家康は幸村によって討ち取られた。家康の死を隠すために影武者が家康を務めた・・・”と言ったナレーションが入ったのは滑稽だった。このくらいやってもいいのではないか!

第44回 「お杉逝く!」(11月 2日放送)

兵庫助(高嶋政伸)の知らせで、何者かが村を襲うことを知った武蔵(市川新之助)は、又八(堤真一)の助けで、村人たちを逃がす。だが、村人たちは亜矢(寺島しのぶ)とその配下に襲われ、一緒に闘った三之助(小池城太朗)も命を落とす。お甲(かたせ梨乃)も斬られ行方不明になる。 村人に追いついた武蔵は惨劇を目の当たりにし、亜矢を追い詰め、斬ろうとした瞬間、お通(米倉涼子)に制止される。 一方、又八はお杉(中村玉緒)の願いで、皆とは別に宮本村へ向かい難を逃れた。その途中、又八の背でお杉は息を引き取る。 武蔵とお通は大坂へ向かい、武蔵は命を賭してでも、村を潰した柳生宗矩(中井貴一)に会うことを決意。 その頃、大坂城では、徳川家康(北村和夫)の意向を伝え続けてきた片桐且元(入川保則)が淀殿(若尾文子)と大野治長(近藤正臣)から追放され、徳川方につく。豊臣、徳川の戦は目前であった。 蟄居(ちっきょ)させられていた宗矩は、妻のりん(和久井映見)が家康の愛妾・お六(須藤温子)に、夫の窮状を訴えたことにより、再び家康に仕えるようになる。

【牛嶋のズバリ解説】
10月から日曜日勤務になったため、リアルタイムで武蔵が見られなくなった。ビデオで見ているので全然問題ないが、来週は衆議院選挙のため夜7時15分からの放送との事。みなさん、時間に注意しましょう。さぁ、そんな事を言っても、決して楽しみに毎週見ている訳ではない。特に巌流島以後に期待していたのに、ここまで大坂の陣までの過程を長く描くとは思わなかった。期待とは裏腹に憤りに変わってしまったのは言うまでもない。さて、今週の解説いきましょう。

@お甲の存在に違和感
兵庫助の知らせを受けて、武蔵は村人達を逃がそうとするが、村人達から”なぜ出なければならないのか?”と問い詰められた。その気持ちは武蔵とて同じだろう。しかし、村人の命が何より大事!と村人を説得し、結局は村を出る事に。しかし、その村人達は途中で何者かに襲われてしまった。お甲も命を落とし、権之助も負傷。武蔵が駆けつけた時は既に死骸が群がっていた。ちょっと悲惨すぎるような気もするが、お甲がなぜこの場面にいるのか?未だに違和感がある。原作のように”悪の女”に徹して、しまいには殺されてしまう・・・この方が良かったと思うが・・・。

Aやはり学芸会だった
村人を襲ったのは亜矢の仕業だった。武蔵と亜矢が満を持して立ち合うが、学芸会のような殺陣で、思わず笑ってしまった。とにかくお互いの強さが感じられなかったのが残念だ。武蔵=剣なので、殺陣が下手なのは致命傷と言える。亜矢の腰のひけた側転も大笑い。今までの亜矢はなんだったのか!まともに勝負するのではなく、忍者殺法で立ち合って欲しかった。また、亜矢を仕留める寸前で、お通が”斬らないで!”とわって入るが、それも良く分からない。村人達を死に至らしめた亜矢をかばうなんて・・・。亜矢は涙ぐんでいたが、何を思った事だろう。武蔵に負けて悔しかったのか?死ぬのが恐かったのか?確か大河の相関図を見ると、のちに武蔵に恋心を抱くのではなかったか?と思ったが、筆者の勘違いだったかな?でも、来週のあらすじを見ると武蔵への復讐に燃えるとある。今回は命拾いしたが、今度は亜矢をしっかり仕留める事を望む。その方が”亜矢”というキャラのためである。

B三之助の死は残念だ
死骸が群がる中を呆然と歩く武蔵。そんな中、児島備前の孫・三之助の姿もあった。”すまん”と謝る武蔵。その目からは涙がこぼれていた。三之助の死は筆者も残念である。これで、宮本伊織であろう?と言われた”三之助伊織説”も消滅。果たして今後、伊織は登場するのだろうか?権之助はなんとか生き延びたが、もしかして権之助までも死んでしまうのでは?と心配したのは筆者だけではないだろう。それはそうと、権之助の”宮本様”という呼び方はやめて欲しい。

C剣持さんにお願い!
大坂に着いた武蔵は、”柳生宗矩に会いたい。なぜ村をつぶしたのか問いたい・・・”と、初めて宗矩への感情をあらわにした。いずれ対面する事になるだろうが、2人が立ち合ったという記録は残されていない。だから、何を持ってライバルなのか?と今でも疑問だが、仮に立ち合っても誰かの邪魔が入るか、立ち合っても無駄だと悟って途中で終わる事だろう。でも、ライバル関係という設定にするのなら、宗矩と武蔵が立ち合うくらいの大胆な脚本にすべきである。これまで散々史実を覆したNHKなら、そのくらいはやって欲しいし、やるべきである。”それからの武蔵”では、柳生十衛兵の目は武蔵が斬った事になっているが、そんな武蔵を英雄化する発想は大歓迎!だから、武蔵と宗矩を立ち合わせろ!NHK!それが出来ないのなら、剣持さんに頼んで大原町でやってもらおう。宗矩役がいないのなら、筆者が宗矩になり、喜んで剣持武蔵に斬られましょう。どうですか?みなさん!?

Dさらば!お杉
今回のタイトルは”お杉逝く!”。でも、そのタイトルが全く生かされてなかったのが残念だ。全然お杉がクローズアップされてないし、ただ死ぬだけなんて・・・。何のためのタイトルだろう。思えば今回の大河は、お杉の存在自体が薄かった。武蔵を執拗に狙う姿も中途半端だった。恐い!にくたらしい!しつこい!執念深い!という、視聴者が感情移入出来なかったのも全て中途半端だからと言える。これじゃ、”又八のお母さんが死んじゃったレベル”である。残念でならない。

【来週の展望】
全49話の武蔵も残す所あと5回。大坂の陣を48話まで描いて、最終回は武蔵の最期・・・という、筆者の予想通りの展開になりそうだが、筆者のこれからの期待は、武蔵と宗矩の立ち合いのみ。ここまできたら、必ずやって欲しい。そして、宗矩を平伏させて欲しい。そう希望する一方で、対面せずに終わるのでは?という心配もある。それと、僧になった吉岡清十郎が出るようだ。

第43回 「武蔵村の危機」(10月26日放送)

武蔵(市川新之助)が九度山から新田に戻ると、戦が近づいたために難を逃れようと多くの農民が村に流れ込んでいた。九度山の一件で豊臣方と思われてはいけないと、武蔵は村を大きくすることに反対する。 そんな折、村のキリシタンの女たちが役人に捕らえられ、お通(米倉涼子)は中之進(綱島郷太郎)が密告したのではと疑う。さらに、お甲(かたせ梨乃)が中之進をどこかで見たと言い出し、それが宗矩(中井貴一)と一緒だった時だと気づいたときに、中之進はお甲に斬りかかる。 一方、京で徳川方の金地院崇伝(平松慎吾)は、秀頼(新晋一郎)が家康の命で建立した方広寺の鐘の銘「国家安康」に難癖をつけ、豊臣方と戦を始めようとする。その姑息な口実の作り方に宗矩は反対するが、本多正信(西郷輝彦)から思い上がりだと蟄居(ちっきょ)を命じられてしまう。 蟄居中の宗矩のもとへ、亜矢(寺島しのぶ)が、武蔵の村が大所帯になり、このまま豊臣に加担するのではないかと伝えに来る。

【牛嶋のズバリ解説】
ハッキリ言って巌流島から大坂の陣までが長過ぎる。本当にイライラして仕方がない。巌流島以後も描くというより、大坂の陣を描くためにドラマを続けたという感じ。大坂の陣が武蔵にとってそんなに重要な出来事だったとは思えないが・・・。ましてや冬の陣、夏の陣とあるので、これはまだまだ続きそうである。でも、これほどのんびりしていると、ホントに数十年の出来事がポーンと飛ぶ事だろう。きっと最終回で、『その後、武蔵は細川家の客分となり、五輪書を書き始めた・・・そして、最期の時を迎えようとしていた・・・』などというナレーションが入るのでは?

@ヘンなシチュエーション
武蔵が美作に戻ってきた。お通、又八、お杉などが出迎える。お甲は『帰ってきたのかい?武蔵』と言う始末。お前がなんでここにいるんだ?と突っ込みを入れてしまったが、なんかヘンなシチュエーションだなぁ〜と思った。

A武蔵は村長なのか?
武蔵を求めて次々と人が集まり、”武蔵村”が形成されたが、徳川と豊臣が戦(いくさ)をするのを知って、さらに人が集まってきた。しかし、武蔵はもうこれ以上耕す田はないと断った。来るものは拒まずではなかったのか?とお通らに問いただされるが、九度山から脱出させて真田幸村に加担したので、村をこれ以上大きくしてはいけないと説明する。いつの間に武蔵は村長になったのだ。今回のタイトルも”武蔵村の危機”。剣の道で生きてきた武蔵だからこそ、400年の時を超えても評価されているのに、このままだと”人を優しく迎え入れた器の大きい村長さん”として、歴史に名を残すのでは?

B脚本書かせろ!
亜矢は宗矩に、武蔵の周りに人が溢れ、このまま豊臣方に付くのでは?と報告するが、江戸にいる宗矩が、たかが美作の村の動きだけで、こうも神経質になるだろうか?ドラマとはいえ、あまりにも無理がある設定になってしまった。宗矩と対立して何を訴えようとしているのか?筆者には理解出来ない。筆者が脚本家なら、既に大坂の陣を終えて、小笠原家の客分になろうとしている武蔵を書くだろう。もちろん、ドラマ部分を出来るだけカットして武蔵中心にして・・・。NHKよ!俺に脚本を書かせてみろ!

【来週の展望】
掲示板でも指摘されていたが、本当にここ数週間は短い文章になってしまった。というのも、書きようがないのである。以前、巌流島以後に期待しよう!と書いたが、見事に期待を裏切りまくって、正直言って憤慨している。ここに来てまでも、『NHKよ、何とかならないのか!』と訴えてる自分がいるのである。さて、来週はお杉が死ぬらしい。そして、”伊織”と見られていた三之助も・・・。ちょっと悲惨すぎないか?そんな状態で武蔵が大坂の陣に参戦したら、明らかに生き残るのは不可能だろう。

第42回 「武蔵と幸村」(10月19日放送)

又八(堤真一)を救おうと自らの命を懸けて崖を飛び降りた武蔵(市川新之助)に、幸村(中村雅俊)は心を打たれる。傷が癒(い)えるまで九度山にいることになった武蔵は、又八を先に美作に帰す。 幸村と妻・お利世(坂口良子)、息子・大助(東新良和)、そして3人の娘たちの幸せそうな家族の姿に、武蔵は憧れを抱く。やがて傷が癒え、開かれた宴の席で、お利世は武蔵に、幸村と大助が密に抜け出し大坂城に入ろうとしていると打ち明ける。幸村は家康を敗退させた父・昌幸を誇りに思い、それがこれまで自分を生かせてきたと語る。 武蔵は酔ったふりをして騒ぎを起こし、紀州浅野家の見張りの目をひきつけて幸村親子を九度山から脱出させる。 キリスト教が禁制になる。美作ではお通(米倉涼子)がキリシタンの女たちからその弾圧の激しさを聞き、マリア像を作った実の母かもしれない女に思いをはせていた。 その頃、又八の家を出た朱実(内山理名)は、旅の途中、具合が悪くなったところをルシア(高橋惠子)というキリシタンの女性に助けられていた。

【牛嶋のズバリ解説】
今回を入れて残り8話。なんのために巌流島以後も描いたのか?その意味が未だに分からない。物語りもダラダラした展開を見せ、筆者の予想通りに大坂の陣までゆっくり描いて、あとはポーンと数十年飛びそうな勢いだ。筆者としては細川家の客分となる部分をもっとじっくり描いて欲しかったが・・・。

@”タケゾウ”からいい加減に脱皮させよ
又八を救おうと自ら崖から飛び降りた武蔵。突き出た竹は武蔵の足を傷つけた。その姿勢に心を打たれた幸村は武蔵に詫びる。そして、又八の鉄砲を買い上げるとの事。三之助とともに村に戻る又八に対して、武蔵は傷が癒えるまで幸村の所に留まった。今回の大河は友情もテーマなのか?正直言って又八がこうして武蔵とからんでくるとは思いもしなかった。気になるのは、タケゾウ、タケゾウと、40話を過ぎてもタケゾウという言葉がしきりに使われる事。三之助も三之助だ。気になって仕方がない。

Aキャラ設定が最大のミス?
今年の大河は次々とキャラを殺してきた。存在感もなく、強烈的な印象を残した人物は皆無に等しい。そんな中で、お杉とお甲が対面。原作を考えるととんでもない出来事だが、からむ必然性がないようにも思える。朱実とお甲もそうだ。何をいまさら?といった感じで、お杉とお甲が互いの親子関係について話し合うシーンなど誰が想像した事か。キャラ設定を捻じ曲げすぎて、逆に言えば、いらないキャラを未だに生かそうとする意図もよく分からない。

B宗矩は本当に武蔵のライバルなのか?
柳生宗矩の存在感が徳川家においてありすぎ。幕府総目付になったのは、もっと後だったと思うが・・・。柳生宗矩をクローズアップするくらいなら、オリジナルの刺客を作って武蔵とからませた方が面白かったのに・・・。宗矩は、巌流島以後の武蔵のライバル!としきりに言われているが、立ち合うならまだしも間接的にからむのみなのでライバルという感じが全くしない。宗矩は意識しているが、武蔵の心には宗矩の”むの字”もないのが、それを表している。

C大坂の陣は静観するのか?
幸村が大坂方に加わる話を耳にした武蔵。なぜ妻も子もありながら戦に出るのか?と疑問をぶつける武蔵。せつなさが武蔵を襲うが、幸村が大坂に向かったのを受けて美作に帰る武蔵。どうやら大坂方に付かずに”大坂の陣”は静観する模様だ。しかし、幸村とはいずれ再会するようだが・・・命を落とす間際に再会って感じでしょうなぁ〜。

【来週の展望】
来週は亜矢から宗矩に、武蔵の動きが報告されるようだ。幸村を動かしたのも武蔵と報告される始末。そして、武蔵抹殺が命令された。どうしてそんなに1人の兵法者を意識するのか?不自然でたまらない。武蔵も村を守って暮らしているだけで面白みが全く感じられない。本当に五輪書を書くのか不安になってきた。まさか”農の巻”なんて項目が増えていたりして・・・。

第41回 「又八、危うし!」(10月12日放送)

又八(堤真一)に鉄砲鍛冶の名を詰問する兵庫助(高嶋政伸)。又八は、兵庫助から逃れて家へ帰るが、家には朱実(内山理名)の姿はなかった。お甲(かたせ梨乃)が訪ねて来て、又八が他の女と親しくしたことをなじり、朱実に子ができたのではないかと話す。 一方、美作の田畑には武蔵(市川新之助)の噂を聞きつけた夢想権之助(大柴邦彦)や村を追われたという女たちが転がり込んでくる。中之進(綱島郷太郎)は女たちの荷物を探りキリシタンではないかと、お通(米倉涼子)に告げる。しかし、お通は中之進の素性を疑っており、女たちがキリシタンと知っても秘密にし、また自分の母かもしれないルシアという女性の消息を聞く。 水利に通じた権之助のおかげで水路ができあがったころ、お甲が美作に現れ、又八が真田幸村(中村雅俊)に捕らえられたと武蔵に知らせる。武蔵は又八を救い出すため、三之助(小池城太朗)を連れ幸村が蟄居(ちっきょ)している九度山に向かうが。

【牛嶋のズバリ解説】
いやぁ、それにしてもヘンなドラマだぁ〜。これを毎週手に汗握って見ている人がいるのだろうか?特に巌流島以後のテーマが見えず、武蔵の周りの人物ばかりがクローズアップされて、肝心の武蔵の存在感がかき消されてしまっている。ハッキリ言うが、NHKのプロデューサーと脚本家は、武蔵を利用して柳生の企みや大坂の陣を描きたかっただけのなのではないだろうか?これでは、そう思われても仕方がない。焦点が完全にぼやけてしまっている。思えば大河の開始前にNHKのIプロデューサーが、”大河は今の時代と照らし合わせて作らなければならない”と偉そうな事を言っていたが、今回の制作意図について改めて聞いてみたいと思った。なんなら筆者と公開討論をしてもいいと思っている。決してそんな場には出て来ないだろうが、史上最低の宮本武蔵になろうとしているのが悔しくてたまらない。NHKのIプロデューサー、脚本家のK氏が”パーフェクト!”と口を揃えって思っているのなら話は別だが・・・。

@おい、又八よ・・・
兵庫助がある日突然現れ、又八に鉄砲鍛冶の名を教えろと詰め寄る。しかし、又八は兵庫助を逃れて家に帰った。ご存知!今回の冒頭のシーンだが、兵庫助の剣を交わして逃げるとは・・・しかも、草花を兵庫助に投げつけて逃げるなんて・・・兵庫助も兵庫助だ。乱暴すぎるシーンにびっくりしてしまった。あんな又八を早くから見抜いた?”あかね屋絃三は凄い!”と嫌味のひとつでも言いたくなった。難を逃れて家に帰ると朱実の姿はなかった。別の女に夢中になっている又八に愛想をつかしたらしいが、留守を預かるお女中たちが”おかみさん”と発言していたのにはびっくり。いつの間に夫婦になっていたのだ?やがて再び又八を刺客が狙うが、食事中の又八は蝋燭を消して身を隠し難を逃れた。刺客はそれに気づかず・・・。子供のような演出には参った!もう語りたくない。あっ、そうそう、又八について柳生兵庫助が、”あの身のこなしを見ると度胸と機転の利く男である”と発言したのには笑ってしまった。最後に兵庫助に対して筆者から言っておこう”お主、石舟斎様が天国で泣いておられるぞ!”

A未だに理解出来ず・・・
夢想権之助が再登場。いずれまた登場するとは思っていたが、美作まで武蔵を訪ねてきたとの事。会うなり権之助は、”あの時は負けて下さりありがとうございました”と挨拶。それに対して武蔵は、”いや、あれは本当に負けたのだ”と答えていた。確かに武蔵の言う通りだが、あそこはやっぱりわざと負けるべきだったと思う。なぜガチンコで勝負して負けた演出にしたのか未だに理解出来ない。剣豪・宮本武蔵でも不覚を取る事があっただろう・・・という事なのか?申し訳ないですが、NHKのIプロデューサー、脚本のK氏さん、説明して下さい。

B宮本武蔵村?
村を追われたという女達が武蔵を訪ねてきた。武蔵は来るものは拒まず!と受け入れるが、人がたくさん武蔵を頼ってきている事から、”宮本村”が、”宮本武蔵村”になったかのようだった。他の村人の手前、そんな事が許されたのか?と思うが、その事について疑問を投げかけるつもりはない。しかし、武蔵を頼ってきた人たちが、良くも悪くも今後大いにかかわってくるのではないだろうか?まずはキリシタンを受け入れた事。あの女性達とお通が危険だ。そして、中之進なる人物がよく分からない。権之助は信頼出来るが・・・。でもせめて武蔵の事を”先生!”と呼んであげて欲しい。

C見えた!
又八が真田幸村に捕らわれた。それを聞きつけた武蔵は幸村の所に向かうが、鉄砲を持った幸村と対面する事に・・・。宮本武蔵と真田幸村のツーショットは、これまでの時代劇でも描かれた事はなかったのでは?おいおい、本当に接点があんのかよ!と突っ込みを入れるつもりはないが、武蔵が本当に大坂方について大坂の陣に参戦したのならば、あっても良い話である。でも、武蔵と真田幸村が噛み合うとは思えないが・・・。でも、これで武蔵が大坂方につく事がほぼ決まった。幸村最後のシーンも、武蔵がからむ事になるだろう。もう、そこまで物語りは見えた!

【来週の展望】
武蔵の撮影がクランクアップしたらしい。大河の残り回数を考えると何もモタモタしているんだろうと思う。ダラダラやって、あっという間に死ぬシーンまで飛ぶような気がしてならない。来週も複雑にいろんなストーリーが絡まっている。これでいいのか!

第40回 「信じる心」(10月 5日放送)

美作でお通(米倉涼子)とともに田畑を開墾している武蔵(市川新之助)の元に、小倉から三之助(小池城太朗)がやってきて、一緒に暮らし始める。 ある日、姫路城にいる沢庵(渡瀬恒彦)から名付け親の池田輝政(中村勘九郎)が病気との知らせがあり、武蔵は姫路城へと向かう。輝政は思いのほか元気だった。しかし、武蔵が城を去った後、急に亡くなってしまう。輝政の存在は、豊臣方の大きな力となっていた。そのため、徳川方の柳生宗矩(中井貴一)が、宗矩の手先となって働く決心をした兵庫助(高嶋政伸)を使って謀殺したのだった。 大坂城の秀頼(新晋一郎)・淀殿(若尾文子)親子が家康への反抗をあらわにし、世の不穏な空気が高まっていた。そして、真田幸村(中村雅俊)や明石掃部(京本政樹)たちをはじめとする太閤秀吉恩顧の武将に、豊臣方につかせようという画策が始まった。そんな動きを、宗矩は亜矢(寺島しのぶ)の探りで全て察知していた。 その頃、又八(堤真一)も時代の流れを読んで鉄砲の商いを始め、大坂方の大名に売り込みを図る。それを知った兵庫助が乗り込んできて。

【牛嶋のズバリ解説】
巌流島の決闘が終わり、今回は鎌田敏夫オリジナルストーリーの2回目である。戦乱期という事で政治色が強くなっているが、今回を含めてあと10話しかない事を考えると、大阪の陣が終わった後から、ポーン!と”数十年後・・・”てな感じで時が経つような気がする。死ぬまで描くと言っても、あと10話では描くシーンは限られてしまうだろう。申し訳ないが、細川家の客分となり、のちに忠利が死去する・・・といったメリハリある演出は期待出来ない。悔しかったら、良い締めくくりをしてみなさいと言いたいが、恐らく無理であろう。さて、今週もいろいろ書いていきますが、多忙によって更新が遅れた事をお詫びします。

@剣持氏の対策は?
美作に戻って開墾がどんどん進んだ。法典ケ原のシーンが美作で描かれるとは思わなかったが、武蔵生誕の地に住む剣持さんが、”どこを開墾したのか?”と観光客に聞かれている姿がまた浮かんでしまった。まさか大原町(吉野郡讃甘村宮本)で、”ここが武蔵が開墾した所”など、観光客用に新たに田や畑を作るのでは?なんて思ってしまったが、もっと早く分かっていれば、”武蔵とお通が開墾した畑”を作って観光名物にしたのでは?

A本当に養子になるのか?
三之助が美作を訪れた。のちの宮本伊織だが、タケゾウ!と呼び捨てにしている少年が養子になるというのもヘンな気がするが、いかがでしょうか?さすがにお通の弟という設定はしなかったようだが・・・。それより、宮本伊織という名前が封印されそうな気もするのは私だけだろうか・・・。

B武蔵とお通はデキてるのか?
剣持さんも書いていたが、武蔵とお通の関係がよく分からない。今回、床をともにするシーンがあったが、あれで男女の関係がなかったとは言えないだろう。やはり鎌田氏の感覚として、現代劇が頭から離れないものと思われる。でも、現代では通用しても、あの時代に有効なシーンなのかは疑問を感じる。ある意味、夢をなくすシーンであったように思われる。

C開かずの間・・・
久々に池田輝政に対面した武蔵。しかし、対面シーンはこれが初めて?で、2人の接点がこれまでしっかり描かれなかったのが残念でならない。なぜ宮本武蔵にしたのか?宮本村のタケゾウではあまりにも説得力がなさすぎる!そこはしっかりさせて欲しかった。やはり全ては姫路城の開かずの間に幽閉されたシーンがなかったのが原因だ。

D何を目的に生きてるのだ?
池田輝政に”土を相手に修行している”と言った武蔵。では、開墾の目的は何か?筆者はてっきり田を耕し、余生をのんびり過ごす目的なのかと思ったが、未だに”修行”としう意識が武蔵にあったとはびっくり。名前もずっと宮本武蔵だし、お主よ!ドラマなのだから、今生きている目的ぐらいしっかり表現してくれ。

E柳生一族の陰謀
柳生兵庫助が、叔父の柳生宗矩の手足となって働くという結論を出した。柳生家の陰謀がこんなに描かれていいのか?と思うが、巌流島以後はもっとシンプルに描いて欲しかった。はっきり言って申し訳ないが、残り9話も最低な出来になるのを予感させている。

F作りすぎですよ
池田輝政が暗殺された。しかも、命を奪ったのは柳生兵庫助という事で、これはいくらなんでも作りすぎ。その後、武蔵が輝政の仇を討つというのなら話は別だが、柳生の存在をどこまでいじるのか?疑問だらけだ。

G北大路幸村の名セリフ
大坂方が真田幸村に接近。ご存知!家康が最も恐れた男として有名だが、『真田は日本(ひのもと)一の兵(つわもの)ぞ!六文銭が三途の川へ渡してくれよう・・・』と、かつて北大路欣也さんがテレビドラマで幸村を演じたシーンはカッコ良かった。それが再現される事はないだろうが、さぁ、いよいよ大坂の陣が始まるぞ!

【来週の展望】
巌流島以後は鎌田敏夫氏の本領発揮か?と期待されたが、回を重ねるごとに、その期待が裏切られつつあるのではないだろうか。巌流島以後を描きたかったのはなぜか?単なる自己満足ではないのか?NHKはもう一度胸に手を当てて考えた方がいいかもしれない。

第39回 「武蔵帰還」(9月28日放送)

巌流島での小次郎との闘いに勝った武蔵(市川新之助)は、岩間角兵衛(寺田農)の追っ手を逃れ、故郷・美作国宮本村へ無事帰還。お通(米倉涼子)と再会する。 そして、剣を捨て、田畑を拓こうと荒地を耕し始める。そんな武蔵を頼って、行き場を無くした百姓ら大勢の者たちが集まってくるようになる。 大坂城。豊臣秀頼(新晋一郎)とその生母・淀殿(若尾文子)は、秀頼は家康の下で一大名として生きていくべきと説く北政所の使い孝蔵主(新橋耐子)に強く反発していた。また江戸では、柳生宗矩(中井貴一)や本多正信(西郷輝彦)が豊臣方への警戒心を募らせていた。宗矩は甥の兵庫助(高嶋政伸)に、自分の味方になって欲しいと頼む。一方、紀州・九度山に隠遁している真田幸村(中村雅俊)を細川家の児島備前(宇津井健)が訪ねていた。備前は幸村の豊臣家への思いを探りに来たのだった。 ある日、武蔵のもとに、又八(堤真一)が田中数馬(AKIRA)という砲術師を連れて現れる。そして、刀鍛冶が多くいる美作で大量に鉄砲を作って徳川か豊臣に売ると言って、武蔵を心配させる。  武蔵の拓いた田畑に芽が出始めた頃、平戸・松浦家に仕えていた相田中之進(綱島郷太郎)と名乗る武士がやって来る。

【牛嶋のズバリ解説】
今回の大河ドラマはご存知!吉川英治原作の”宮本武蔵”。吉川先生の原作は、巌流島の決闘を最後に終わっているので、ここからは全くのオリジナルストーリーといえる。しかし、武蔵、お通、又八など、設定は吉川先生の原作通りだから、”原作・吉川英治”である事に間違いなし。現にタイトルテレップもそのままだった。しかし、これまでの武蔵も”吉川武蔵”を無視してきたので、複雑な感じだったが・・・。さて、巌流島以降を描いたものに、小山勝清原作の”それからの武蔵”がある。小次郎のかつての恋人が武蔵の命を狙ったり、柳生十兵衛が登場するなど、吉川武蔵に劣らず面白い作品だった。そのストーリーとは異なる展開になるだろうが、比較をしないようにこれからも書いていこうと思う。

@第二部も説明不足でスタート
巌流島を後にして武蔵はひたすら美作へ歩を進めた。細川家に仕官したのに『あれっ?』と思ったが、その辺りはナレーションなどで説明が欲しかった。父・無二斎もこれでは立場がないのではないだろうか?相変わらず説明不足だなぁ〜と思った。

A細川家の争いはまだ続く
巌流島の決闘を受けて、細川家では忠興、忠利親子の新たな確執が・・・。忠興は、なぜ勝った方の命を奪うつもりだったのか?と問いただすが、忠利は、徳川家の意向であると答える。しかし、武蔵勝利で今は立場が上の忠興は、細川家の行く末は細川家が決めると一喝!細川家の確執は今後も続きそうだ。”武蔵には悪い事をした”と言う忠興だが、結果的に武蔵を手放す事になってしまった。忠興は、小次郎を倒すために武蔵を仕官させたが、小次郎に勝った武蔵をどう生かしていくつもりだったのでだろう。やはり、剣術指南役か?でも、無理な設定にした事で、見ている人に、また、武蔵に対して無責任な結末になってしまった。どう責任を取るのだ!NHK!はっきり言わせてもらうが、とてもプロの仕事とは思えない。

B武蔵と宗矩は立ち合うのか?
岩間角兵衛は、柳生宗矩に武蔵を取り逃がした旨を詫びる。しかし、”武蔵如き・・・”と一蹴。そうは言いながら、武蔵への意識が高まっているのを感じた。巌流島以後はライバル関係になる2人との事だが、今後どうかかわっていくかが注目だ。出来れば立ち合って欲しいが・・・。

C剣持さんの苦労
釜坂峠を通って美作に帰った武蔵。無事に帰還するなり、お通と熱い抱擁。そして、俺はどこへも行かないとお通に告げ、なんと!お杉ともども暮らす事に・・・。その理由なども説明不足だと思う。美作で武蔵は田を耕し始めた。しかし、耕し方がヘンだった。腰がまるで入ってないのだ。これが天下の宮本武蔵かと目を疑ってしまうほどだった。芽を出した事で喜ぶ武蔵とお通。どう見てもまだ2人の幼さを感じた。そして開墾は進むが、開墾と言えば、法典ケ原の開墾があまりにも有名。設定を美作に変えたメリットは何か?疑問をかんじずにはいられない。筆者は原作通り、野武士と闘って欲しかったが・・・。それにしても剣持さんも書いていたが、『武蔵とお通はどこを開墾したのか?』と、これから観光客に聞かれるんだろうなぁ〜?と、余計な心配をしてしまった(笑)。

D柳生十兵衛は登場しないのか?
柳生宗矩の嫡男・柳生十兵衛が誕生した。知る人ぞ知る!十兵衛は隻眼だが、”それからの武蔵”では、武蔵が片目を斬った事になっているから面白い。今回、その事が”父の稽古の際に父の太刀先を受けきれず片目を失った!と、”早々とネタばらしされた所を見ると、十兵衛登場はなさそうだ。

E今後の柳生一族は?
柳生兵庫助は、宗矩から、”わしの味方になれ”と頼まれた。考えさせてくれと言う兵庫助。これからは、奇麗事だけでは生きてはいけぬと諭すが、今後は手を結ぶようだ。今後の柳生家の行く末はいかに?

F真田幸村?
真田幸村を訪ねる児島備前。武蔵と備前との関係から、大方の予想通り武蔵は大阪方に付くようだ。もしそうなら、武蔵はどう生き延びたのかを描かねばならない。『うそだろ〜?』と声を出してしまうほど、さぞかし、ドラマチックな作りをする事だろう。

【来週の展望】
池田輝政が再び登場するようだ。ご存知!原作での”宮本武蔵”の命名者である。その由来を”宮本村のタケゾウ”と思いつきのように命名した訳だが、その名を感謝しているのか?していないのか?”宮本武蔵”という名前に誇りを持っているのか?など、ちゃんと描写して欲しいものだ。たぶん、そんな演出はないと思うが・・・。そんな池田輝政も、柳生兵庫助と思われる男から殺されるらしい。う〜ん。なんかすっきりしない。期待するだけヤボだな。

第38回 「決闘!巌流島」(9月21日放送)

商いで来た大坂の宿で、又八(堤真一)は、朱実(内山理名)に武蔵(市川新之助)と小次郎(松岡昌宏)が立ち会いをすることを告げる。そして、自分も武蔵と小次郎のように、この戦国の世を己の力だけで生きていくのだと意気込む。 美作では、お杉(中村玉緒)とくらすお通(米倉涼子)が、武蔵の無事を祈っていた。 京では、柳生宗矩(中井貴一)が、亜矢(寺島しのぶ)に、己の力を信じて生きていく者などは、これからは無用だと持論を説いていた。 慶長17(1612)年4月13日、いよいよその日が来た。喧騒(けんそう)を避けて身を潜めていた下関から、武蔵は小次郎の待つ巌流島へと小船で向かった。 武蔵が現われぬことにいらだつ細川家の面々を制し、悠然と待ち構える小次郎。船が近づき、互いに見詰め合う2人。削った櫂を手に武蔵が船からび降りる。 細川家の家督争いと、それにまつわる幕府方・宗矩の思惑が渦巻く中、武蔵と小次郎は互いの剣の技の全てを賭けた勝負の時を迎えた。

【牛嶋のズバリ解説】
いよいよ巌流島の決闘。これまでの”宮本武蔵”では物語のクライマックスとして描かれていたが、今年の大河は巌流島以後も描かれるという事で、第一部終了といった感じか。NHK側も番宣を多く打ち、また特番も組むなど、視聴率アップに懸命な様子を感じた。しかし、その巌流島の決闘は、史上最低の出来と言ってもいい内容だった。厳しい評価かもしれないが、いろいろ筆者なりに書いていこう。なお、筆者の本業はラジオ番組制作者。そして、大の吉川武蔵ファンという観点から書かせてもらいます。

@説明入りすぎ
冒頭から橋爪功さんのナレーションからスタート。”武蔵は櫂で闘う事を決めた。櫂と一体となって闘わないと小次郎に斬り捨てられる・・・”このような件(くだり)だったが、この辺りは初歩の初歩の解説といった感じ。要は巌流島の決闘を初めて知る人に対しての説明だった。それはそれで必要なのかもしれないが、ここは動きで武蔵の心境を伝えて欲しかった。筆者なら、動と静をうまく使って撮るが・・・。要はサイド的なネタはもっとゆったりめに、巌流島の闘いが始まる間際は激しく!そして、2人が相対(あいたい)した時は、波の音、砂浜の音だけをバックに静かに描くが・・・。ナレーションを入れる事で巌流島の決闘を盛り上げたつもりだろうが、巌流島の決闘に過剰な説明はいらない。

Aなぜ急にムサシなのだ?
お通は武蔵勝利を願って神頼みをしていた。今では美作でお杉と暮らしているが、『何を祈っておるのじゃ?』というお杉の問いに対して『武蔵(むさし)様の・・・』と答えるお通。初めてお通はタケゾウではなく、ムサシと言った瞬間だった。なぜ急にムサシなのだ?どうも理解しがたい。一方、又八は下関から大坂(大阪)へ戻った。朱実を前に、又八もムサシと1度だけ言ったが、これも理解出来ない。小倉からあまりにも早く戻りすぎでは?という疑問もあったが、それはよしとしよう。それもそうだが、見る限り、お杉は腰がかなり曲がってしまったようだ。これで年をとらせたつもりなのか?

B亜矢が殺される?
忠利が武蔵と小次郎の決闘場所を船島にする事にしたのは企みがあるのでは?と不審を持つ忠興。それを幕府よりお達しがあったのでは?と解釈する。一方、武蔵が小倉から姿を消した事を知った宗矩は、亜矢に『武蔵と小次郎のどっちに勝って欲しい』と尋ねる。亜矢は武蔵に勝って欲しいと答えるが、その理由として、武蔵と闘いたいというのが長年の望みと言う事だった。申し訳ないが、このセリフには絶句してしまった。長年の望み?そんな経緯がどこにあったと聞きたい。それにお前は忍びではないのか?それとも女武芸者か?あかね屋絃三に続いて、またしても、亜矢というキャラが殺されようとしている。

C立場のない細川家
岩間角兵衛から、”勝った方を斬る?”と、恐るべき企みを聞いて驚きを見せる忠利。そしてそれが柳生宗矩の指示である事を知る。わしの立場は?と身を心配する忠利だが、相打ちする事によって、武芸者同士の闘いがいかに空しいものであるかを世に知らしめる事が出来ると言い放つ角兵衛。巌流島の決闘は、細川家のお家騒動をきっかけに、次第に話が変わってきたという設定になったようだ。う〜ん。細川家の立場が・・・。

Dおい、潮、潮、潮・・・ってなぁ〜
決闘前に、”潮の流れを利用して源氏が平氏に勝った”という橋爪功さんのナレーションが入った。これもどうかと思う。潮の流れをこんなに丁寧に描いてどうするのだ?と疑問を感じてしまった。しかも、武蔵は潮の流れが変わったら教えるようにと船頭に申しつけて・・・。これは”策”でもなんでもない。確かに武蔵は潮の流れを考えて巌流島に渡り、勝利した後、すぐさま巌流島を離れる事に成功した。しかし、こんなに潮、潮、潮・・・と事前に説明しすぎると、潮の流れが変わる事を誰しも事前に気づくのでは?と1人突っ込みを入れてしまった。筆者なら、『潮の流れが変わるのは何時(なんどき)だ?』に留め、『宮本さま、そろそろ出立しないと大変な事になります』と急かされながらも、筆を走らせる冷静な武蔵を描き、後で遅刻したのは潮の流れを考えての事だったのか?と周りの人に気づかせるようにするが・・・。あっ、原作通りか。でも、武蔵がどんな所に厄介になっているかもしっかり描いて欲しかった。船頭の佐助の紹介もちゃんとして欲しかった。

E得物を知られないため?
小次郎は、勝った者も斬り捨てられる事を察知して、”勝ったら彦島に渡る。そこで待っていてくれ”とお篠に告げた。これはなかなかストレートでいいではないか?小次郎とお篠の関係もうまく描かれたと思う。しかし、一方の武蔵だ。”下関に渡った理由は、どんな得物で闘うか知られない為である・・・”と、ここでまた余計なナレーション。こんなにもバカ丁寧な説明はこれまであっただろうか。筆者なら、その理由など脚本に書かなかった。だいいち、なぜそんな説明を入れる必要があるのだ!

F佐助は重要な人物
武蔵が満を持して巌流島へ。この決闘で武蔵が遅刻したのはあまりにも有名な話だが、遅刻した様子があまりハッキリ描かれていなかったように思える。原作では、小次郎の苛立ちぶりが描かれるが、ここは原作通りに描いて欲しかった。個人的には松岡小次郎の苛立つ様子を見たかったが・・・。武蔵は船頭に”佐助、人の目につかない所で待っていてくれ”と告げる。この時初めて船頭の名前が佐助である事が判明。剣持さんの”決闘巌流島”にも登場するなど、”船頭の佐助”はある意味重要なポイントになる人物であるが、”武蔵”という人物に惚れて一生懸命に船を漕ぐ佐助の姿を描いて欲しかった。

G巨人の星を参考にすべき
船の上でたすきを掛け、鉢巻をする武蔵。お通は美作で祈る。又八、朱実も大坂で神頼み。ここは緊迫感があって良かった。しかし、船の上で櫂を削る様子をカットしたせいか、船の上での武蔵が軽く描かれてしまった。せっかく櫂を陸上で事前に削ったのならば、ここは腕組みして到着を待つ、落ち着き払った武蔵が見たかった。確かに陸から巌流島までは近い。でも、”巨人の星”の星飛雄馬が、1球投げるのに30分も使った演出を見習って欲しかった。

H原作に勝る巌流島はないぜよ、NHKさん
巌流島に到着した武蔵。待ちかねた小次郎は武蔵の元に歩み寄り、鞘を投げ捨てる。その瞬間、『小次郎、敗れたり!』という御馴染みのセリフ。続けて、『勝つ身であるなら、なぜ鞘を投げ捨てた?』と勝利を確信したセリフを言う武蔵だが、『そなたを斬ったらこの刀は無用だ。そなたを斬った刀を俺は二度と使わぬ。来い!』と言われてしまう始末。ここも原作と同じように、動揺する小次郎を描いて欲しかった。

I小次郎の勝ち?
勝負は一瞬で決まった。真剣勝負とはこういうものである。その点、吉川英治先生はこの辺りをうまく描いたと思う。三船武蔵のように少し殺陣があると、それだけ面白みがあるかもしれないが、やはりここは一瞬で勝負が決まるのがベストだ。大河もこれを採用したが、描き方がお粗末だった。まず、小次郎が武蔵を斬る。武蔵の鉢巻が切れる・・・。そして、映像の事はあまりよく分からないが、武蔵がジャンプして小次郎を斬る映像・・・あれはなんだ!筆者は言葉を失ってしまった。あれで迫力を出したつもりなのだろうが、もう語りたくない。あれでは、櫂を使う意味もなかったように思う。『見事だ』という言葉を発して倒れる小次郎。鉢巻からは血流れ出た。小次郎は武蔵に『引け!』と指図する。武蔵はすぐさま巌流島を後にしたが、演出面では小次郎の勝ち!といった感じ。

Jあっぱれ!松岡小次郎!
佐々木小次郎は見事に散った。散り方があまりにもカッコ良すぎて、思わず”小次郎の勝利!”と叫んでしまったが、松岡小次郎は本当に良くやった。実は最初、佐々木小次郎をTOKIOの松岡くんが演じる事を知った時に、『おいおい!』と思った筆者だが、予想以上に小次郎を演じきったように思う。先日もテレビで『小次郎登場場面以外は台本を読んでいない。だって小次郎自身は武蔵がどう行動したのかは知らないから・・・』と堂々たるコメントを発した松岡くん。プロ根性の持ち主ではないか!拍手を送りたい。ここまでのMVPは間違いなく、松岡小次郎だと筆者は思う。

K面目躍如?
小次郎に勝利した武蔵は彦島への向かう。なんと!小次郎と全く同じ行動を取ったのだ。ご存知!源平の合戦、壇ノ浦の戦いで平家最後の砦となったのが彦島だが、そこには小次郎を待つお篠の姿が・・・。武蔵の登場で小次郎敗北を知るお篠。なんか見ていて可哀想だった。そこに追っ手が武蔵を襲う。しかし、それを余裕で交わす武蔵。殺陣の腕はともかく、お通を思いながら剣を振るう武蔵の姿はカッコ良かった。巌流島で小次郎に1本取られた武蔵はここで面目躍如かっ?

【来週の展望】
巌流島の決闘が終わった。吉川武蔵ならここで終わりだが、大河がここで終わったらと思うと、ゾッとする。もう描いてしまったものは仕方ない。第二部に期待しよう。これからは鎌田敏夫氏のオリジナルストーリー。筆者の好きな真田幸村も登場するという。オリジナルになる事で、原作との比較がされないと思ったら大間違い。筆者は今後も鋭く”武蔵”を見ていきたい。

第37回 「巌流島への道」(9月14日放送)

九州・細川家では藩主・忠興(夏八木勲)が、武蔵(市川新之助)と小次郎(松岡昌宏)の立合いを正式に三男・忠利(阪本浩之)に申し込む。が、忠利は家康が武芸者の無用な立合いを嫌がっているのを気にし、躊躇(ちゅうちょ)する。 しかし江戸では宗矩(中井貴一)が、武蔵と小次郎を戦わせ、残った勝者も角兵衛(寺田農)に殺させてしまおうと企み、真剣のみでの勝負を許可する。 武蔵と小次郎はそれを承諾するが、武蔵は小次郎が三尺一寸の長刀を自在に操るのを見て、生まれて初めてこの相手なら命を落とすかもしれないと感じていた。 一方、宗矩と父・角兵衛の策略を察知したお光(すほうれいこ)は、それを小次郎に伝える。小次郎はお篠(宮沢りえ)を通じて、武蔵にもそのことを知らせる。その時、武蔵は小次郎とお篠が信じ合う心をもっていることを聞き、小次郎の自信を垣間見る。どうしたら小次郎に勝てるのか。武蔵はその手立てが見つからないでいた。 二人の決闘が小倉だけではなく近隣の評判になってしまい、武蔵は備前の屋敷を出て下関の宿に身を潜めた。そこへ又八(堤真一)が現れ、お杉(中村玉緒)の世話で来られないお通(米倉涼子)が作った真新しい肌着を手渡す。 決戦は目前に迫っていた。

【牛嶋のズバリ解説】
いよいよ巌流島まであと1週となった。今回は巌流島を盛り上げるための重要な回である。これまで武蔵と小次郎のライバル関係がしっかり描かれなかっただけに、ここでちゃんと描いておかないと巌流島の闘いも無駄になるだけに重要な回だったと言える。さて、今週の解説にいきましょう。今回も厳しく書いた事をお許し下さい。

@オリジナルに固執しすぎた功罪
細川忠興は、三男忠利に武蔵と小次郎を闘わせるよう申し込んだ。しかし、無用な闘いをするべきではないと、将軍家の意向に従う。そんな中、真剣勝負なら許すと将軍家から書状が送られてくる。それは2人を闘わせて相打ちにさせるという宗矩の企みからだった。忠興と忠利、そして宗矩の3人の意向が色濃く反映されて巌流島の闘いが実現するが、一番の悪(ワル)は宗矩。巌流島以後の展開を考えると武蔵と宗矩の遺恨がうまく描かれていると思う。しかし、原作にない部分を強調したいがために、その他の物語、展開が雑になってしまった感がある。今までの吉川武蔵を覆したい意図は分かるが、オリジナルに固執しすぎた功罪は大きい。

Aここにきて・・・
徳川の意向を受けて岩間角兵衛は”全てを任せて頂きたい”と忠利に頼む。宗矩の意向の通り、勝った方の命も奪う事を画策したのであった。角兵衛の娘お光は、その企みを小次郎に伝えるが、屈しないと答える小次郎。しかし、お篠を介してその事を武蔵にも伝えたのだった。敵に塩を送る・・・という表現は正しくないが、ここに来て武蔵と小次郎の関係が描かれるようになった気がする。これまでの36話の中でお互いを意識するシーンがもっとあれば良かったのだが・・・。巌流島の決闘という史実があり、ドラマでも武蔵、小次郎双方が描かれているので、2人がライバルというのは説明するまでもないが、武蔵と小次郎の接点がここにきて表現されるようになったのは残念でならない。

B小次郎対策が遅い?
武蔵、小次郎両者合意の上、巌流島の闘いが決まった。三尺一寸余りある小次郎の剣に対して秘策はあるのか?と聞く児島備前。しかし、”ありません”と答える武蔵。加えて”巌流とはどういう型なのか?”と備前に尋ねる武蔵。以上の事から、現時点では小次郎をどう倒すかの作戦がなく、事実、ここから武蔵の小次郎対策が始まったと言える。いくら剣豪といえども相手を知らないと勝てる試合も勝てない。だから、小次郎をどう倒すか?対策を立てるのは人間の自然の流れであるのは間違いない。しかし、あまりにもダイレクトすぎる演出に筆者は疑問を感じてしまった。

C原作では小次郎対策をすでに済ませていた武蔵
テレビや映画で描かれたこれまでの”宮本武蔵”では、巌流島の決闘が決まった後、”小次郎をどう倒すのか?”という武蔵の作戦面はしっかり描かれていない。これは原作がそうなのだから仕方ない。だから今回の物語に対して、さすがNHK!丁寧だ!という気はない。なぜなら、吉川英治先生は決してこのシーンを見落としていた訳ではないからである。原作での武蔵は、自然に小次郎対策をしていた。小次郎との初対面の時、武蔵は五条大橋の上で小次郎の身長を目で測り、研師の家では小次郎の刀を直に見ている。剣の長さはもちろん、江戸での小次郎の振る舞いなども含めて小次郎の事は百も承知なのである。要は巌流島の決闘が決まった時点で、すでに小次郎対策は出来上がっていたのである。この展開を書いた吉川先生には”あっぱれ!”としか言いようがない。大河のように、決闘が決まってからしか小次郎対策が描けないのは、ここまで2人を軽く描いてきた結果である。『これまで会った中で最強の相手かもしれない』というセリフがしきりドラマで出てくるが、2人の接点をしっかり描いていない上でのセリフなので、この言葉には説得力がないのである。

D下見のシーンはいるか?
決闘が決まった後、武蔵は小倉から姿をくらました。しかし、それは騒ぎから逃れる為に下関に移動したのと、決闘の場である船島(巌流島)を下見するためであった。まさか下見するシーンが出るとはびっくりだったが、そこで武蔵は太陽の光、潮の流れなど一連の動きまでを確認してしまった。この時代、決闘に下見があったのかどうか分からないが、ドラマの演出上、表に出さない方がいい秘策もあると思うので、ここは下見のシーンはいらなかったように筆者は思う。ここにきて丁寧に描いてどうするのだ?

Eお通のいない巌流島
高札も立って、いよいよ決戦の時を待つばかりとなった。そんな中、又八は久しぶりに美作を訪ねた。すでにお通とお杉は美作で一緒に暮らしていたが、又八は武蔵が小次郎と闘う事を知らせる。しかし、お袋様を置いておけないとお通は美作に留まる。お通が行ってこその巌流島・・・だと思うが、ここは今後の展開に期待するしかない。

F小次郎の武蔵対策は?
絶対に勝つと自信みなぎる小次郎。そこには絶対に生き抜くという意思も表れていた。ただひたすら剣を振る小次郎。武蔵対策というより、自分の剣を信じるしかないといった感じだ。そんな中で小次郎は潮の流れを聞き、なぜあの島で決闘をするのか?を尋ねていたが、小次郎よ、お前は何を思う?それはそうと、常に女性の影がつきまとう小次郎。八重、琴、お篠、そして、中途半端?に小次郎とかかわる角兵衛の娘お光など、かつての女性をフラッシュバックさせる演出があっても良かったのではないか?と思ったが・・・果たして来週あるのかな?

G櫂を陸で削る武蔵
海岸を歩いていた時、武蔵は船にあった櫂を見つけ、決闘用にと削った。小次郎との決闘で櫂を使ったのはあまりにも有名な話だが、原作では小次郎の待つ巌流島へ向かう船の中で削るのである。『佐助、これをもらっていいか?手頃なのだ・・・』というセリフが聞けないのは残念だが、これは仕方ない。もちろん、原作通り船で削って欲しいという願いもあるが、巌流島と陸の距離を考えると、実際のところ船の上で削るほど時間的な余裕はなかったようだ。さぁ、いよいよ決戦は間近だ!

【来週の展望】
いよいよ来週は巌流島の決闘だ。これまでの”宮本武蔵”なら”物語のクライマックス”となるが、今年の大河は巌流島以後も描かれるという事で、まずは一区切りといった所か。武蔵がどんな風に巌流島に向かうのか?小次郎はどんな感じで待つのか?決闘の後はどうなるのか?とにかく注目だ。

第36回 「武蔵と小次郎」(9月7日放送)

父・無ニ斎(回想・ビートたけし)に懇願され、九州・小倉に着いた武蔵(市川新之助)は、当主・細川忠興(夏八木勲)に仕えることになる。 忠興は徳川家康(北村和夫)が三男・忠利(阪本浩之)に家督を譲るように言っていることに反発し、忠利の剣術指南の小次郎(松岡昌宏)に対抗して、武蔵に細川家内で無敵の強さを見せつけるよう命じる。 武蔵は大勢の家臣が見守る中、片山幽鬼(田中要次)という無敗の剣豪を破り、あらためてその名をとどろかせる。忠利側は、武蔵に小次郎を立ち合わせようと考えるが、家康が武芸者の無用な立合いを禁じていることから、人目のつかぬ小島で戦わせようとする。 小次郎は角兵衛(寺田農)から武蔵が小倉に来ていることを知らされ、武蔵も小次郎が忠利に仕えていることを備前(宇津井健)から聞かされる。二人のどちらが強いか、それが細川家内部争いの象徴となっていた。 一方、又八(堤真一)と朱実(内山理名)は船を買い、江戸と大坂の間で荷物を運ぶ商いをしようとしていた。 その頃、武蔵と小次郎は海辺で出会っていた…。

【牛嶋のズバリ解説】
以前、家康を出す必要がないと書いたが、巌流島以降も描かれるのを忘れていた。武蔵が大阪の陣に参戦する事を考えると家康登場があってもいいわけで・・・軽はずみで書いてしまった事をお詫びします。さて、いつもは先週の物語のおさらいから始まるが、今週は、亡き豊臣秀吉の嫡男秀頼が上洛したという動きを伝える所からスタート。秀頼の成長ぶりから家康は不安を感じ、豊臣家を滅ぼす事を決意したという。そんな中、武蔵はようやく豊前小倉に到着。さぁ、今週もスタートだ。

@細川家への仕官があっさり決定!
武蔵が細川家に到着し、三之助、児島備前と対面した。備前の”忠興様に仕えてくれるな?”という問いに”仕えさせて頂きます”と答える武蔵。こうして細川家への仕官が決まった。原作では徳川家への仕官話もあった武蔵だが、こうもあっさり細川家への仕官が決まるとは・・・ちょっと複雑な感じだ。その後、細川忠興とも対面。”私に何が出来ましょうか?”との問いに、”強さを見せ付けて欲しい”と言う忠興。それだけの事で仕官出来ることに疑問は感じなかったのか?まぁ、いいや。この件に関してはここまでにしておこう。

A武蔵の心の声が聞こえた
強さを見せ付けて欲しいという忠興の言葉を受けて、今まで1度も負けた事がないという片山幽鬼と立ち合う事に。きっと今までの闘いぶりから、何のインパクトもないまま終わると思いきや、”この男はいったい何者だ?”という武蔵の心の声が・・・。正直言ってこれは良かった。良い演出だ!今まで心理を読み取るのが難しかった武蔵だが、橋爪功さんのナレーション以外で、初めて武蔵自身の心理が表れたシーンだったのでは?今思うと、なぜこれまでこういう演出をしなかったのか残念でたまらないが、吉岡一門との対決の際に、『清十郎を倒したぞ!』『一乗寺で俺はもしや敗れるかもしれない』と言った武蔵の心の声が聞きたかった。残念だ。

B忠利が武蔵を本当に召抱えるのか?
片山幽鬼を倒し、お見事!と忠興にその腕を称賛される武蔵。一方で、忠利は岩間角兵衛から、忠興、武蔵の動きが報告された。佐々木小次郎に対抗する人物を得た事で父の動きを読んだ忠利は、武蔵が名を上げぬうちに小次郎と戦わせよ!と命令を出す。しかし、無用な闘いはしてはならぬという徳川家の法度に、父上が勢いを盛り返すのをただ黙ってみていればいいのか?と激怒する忠利。ご存知!史実では細川忠利に客分として召抱えられる武蔵だが、もしかして史実を覆すのでは?と不安が・・・。しかし、それはないと信じているので、今後の展開に期待しよう。召抱えられるのは、巌流島から18年後の1640年であるのだから・・・。

Cお互い、勝てると言ったのか?
児島備前が、忠興様が大変喜んでいたという事を武蔵に告げる。武蔵も役に立てて満足気だった。武蔵は細川家の剣術指南役?それとも?と疑問を持ったが、佐々木小次郎と立ち合わせるために小倉に呼んだ。武蔵に敗れれば忠興の意向も忠利より劣る。家康への意地も通せない。勝てるか?と武蔵に問う。しかし、その答えは描かれなかった。一方、小次郎サイドも同じやりとりをしており、岩間角兵衛から武蔵にの勝てるか?との問いが・・・。この答えも描かれなかったが、きっとお互い、勝ちます!と答えたのであろう。なぜ、描かなかったのか疑問に思ったが、描かないで良いという事もある。これは良しとしよう。でも、勝てます!という言葉を聞きたかった。

D武蔵と宗矩は今後どうからむ?
江戸の柳生屋敷では、兵庫助と宗矩が政(まつりごと)について議論を交わしていた。世の行く先を読まねばならぬ。新陰流も世の中の役に立たねばという話を兵庫助に説く宗矩。一方、家康様の気持ちは叔父上の気持ちなのですか?己を捨てる事ですか?と問う兵庫助。それに対して、上様の気持ちがわしの気持ちだ。やがて、秀忠様の時代になる。秀忠様の時代には宗矩の気持ちにさせると言い切った宗矩。誠に凄い野心家である。世は2代将軍秀忠の時代だが、実質は”大権現”の家康が握っていたのだ。今後、武蔵と宗矩がどうからむのか注目だ。

Eライバル関係?
武蔵と小次郎が海辺で久々の再会。今回の2人のやりとりは、良いカタチで締めくくり、今後の展開に大いに期待させるものだったと思う。しかし、お互い闘う運命だと思った!と言うが、これまでの武蔵と小次郎のからみを思うと少し疑問を感じずにはいられない。原作では京の五条大橋で出会って以来、吉岡一門との決闘の際や江戸で会い、その考え方の違いから対立する様子が描かれるが、今回の大河では、単にすれ違うだけだったり、一乗寺の際には相手は子供だぞと小次郎が武蔵に告げに来るのみで、ライバル関係とはどうも言い難い展開であったように思う。巌流島で闘うという誰も知る内容だからこそ、視聴者の目を誤魔化す事は出来るが、宮本武蔵を全く知らずに見ている人にとっては、『そんなに意識し合う関係なの?』と疑問に思うのでは?2人のイバル関係という図式が薄すぎる事が残念でならない。明らかに演出ミスだと言っておこう。

F内容が凝縮されすぎ?
その他、船を買った又八、美作に向かうお通とお杉、亜矢と武蔵の再遭遇、お甲が藤次の死を知るシーンなど、登場人物の動きがたくさん描かれたが、1話の中に凄く内容が凝縮されていた。そうそう、書き忘れたが、渡辺謙の長男が秀頼役で初登場。良い男でびっくりした。今後、良い役者になる事を期待したい。

【来週の展望】
今回は面白かったが、正直言ってあっさり巌流島の決闘が決まった感じがする。細川家のお家騒動に巻き込まれるとは、この時武蔵は知るよしもなかった・・・と散々ナレーションであおっていたので、多少なりとも武蔵が『おいおい』と突っ込みを入れるのかと思っていただけに、あっさり了承するとは意外だった。まぁ、何はともあれ武蔵と小次郎の闘いが決まった。来週の”巌流島への道”に期待しよう。

第35回 「武蔵、小倉へ!」(8月31日放送)

武蔵(市川新之助)は小倉の細川家に向かっていた。染め布がはためく道筋で、武蔵は追ってきた藤次(阿部寛)に行く手を阻まれた。2人は斬り結ぶ・・。 その頃、小倉では、小次郎(松岡昌宏)が敵なしの勢いで道場を開いていた。 江戸。またまた身代を棒にふってしまった又八(堤真一)を、朱実(内山理名)は道に落ちているものは何でも銭になると励ます。そんな朱実を見たお甲(かたせ梨乃)は、高価な品々を朱実に与え、自分は江戸を去っていく。 また、京では、亜矢(寺島しのぶ)が、小次郎の後ろ盾の細川家重臣・岩間角兵衛(寺田農)に、武蔵が小倉へ向かっていることを伝え、2人に対する宗矩(中井貴一)の思惑を明かしていた。武蔵は故郷、美作国の宮本村に通じる峠を下る。そこには、諸国行脚中の沢庵(渡瀬恒彦)がいた。江戸でお通(米倉涼子)を待ちきれず、悩んだ末に父(ビートたけし)に懇願されて仕官することにしたと話す武蔵に、沢庵は「迷え、迷うことは人の心を広くする」と説くのだった。

【牛嶋のズバリ解説】
2週間続けて後味悪い内容で、今週は”見るのが恐い”という視聴者も多かったのではないだろうか?”恐い”といういのは、もうこれ以上自分の宮本武蔵像を崩されたくない気持ちからで、実は筆者も恐る恐る見てしまったのは言うまでもない。全ては原作無視がそうさせているが、その思惑は全て失敗に終わったという事を制作者側は反省して欲しい。新しい武蔵像を作りたいのなら、何も吉川武蔵を使う必要はない訳で、最初からオリジナルでやればこんなに非難される事はなかったのである。さて、怒ってばかりもいられないので、今週の解説いきましょう。と言いながら、また怒るのだが・・・。

@ナレーターも生かしきっていない
今週は、武蔵が小倉へ歩を進める様子からスタート。剣持さん指摘の通り、本当に歩くシーンが多い新之助武蔵だ。正直言って、無二斎と再会した後、武蔵が何を考えているのか筆者は分からなかった。しかし、それは番組開始早々の”無二斎を救うため・・・”という橋爪功さんのナレーションで明らかにされた。それについてはもう何も言うつもりはないが、思えば今年の大河ほど、主人公の表情を読み取るのが難しいドラマはなかった。ナレーションも少なく、常に視聴者に考えさせる姿勢を貫いた。それが通じないと見るや、途中からナレーションを急に増やしたり・・・とにかく一貫性がなかった。橋爪功さんを起用したのにも、それなりの理由があると思うが、これではナレーターさえも生かしきっていない事になる。

A諸説ある巌流島
武蔵と小次郎の闘いが迫っている。言わずと知れた巌流島の決闘であるが、この闘いが実現した理由については諸説ある。剣客として雌雄を決するため・・・と言えば格好がいいが、細川藩の剣術指南役として増長した小次郎を、藩が決闘に名を借りて殺害するためだった・・・という説もある。だから、大河で描かれているように、目立つ所で闘っていはいけない、2人の闘いは相打ちで終わるように仕組まれた・・・などのエピソードは十分ありえる話なのである。さぁ、細川家の企みによって徐々に機運が高まってきたぞ!!!と・・・・言いたい所だが、ホント、頼むぞ!

Bさらば、祇園藤次!
祇園藤次がついに散った。いつかはそうなる運命にあったが、今回の大河ほど格好良く描かれた藤次はいなかったのではないだろうか?代々、藤次は一癖ある役どころであり、小次郎に髷を切り落とされた格好悪さも持ち合わせていた。それなのに演じる俳優は男前で、従来持つ藤次を覆すほどのキャラになっていた。思えば、祇園藤次を阿部寛さんが演じると聞いた時、ミスキャスト?と思ったが、これも制作者側の思惑がはずれたと言っていいだろう。それにしても、ことごとく失敗する天下の国営放送のセンスを問いたいものだ。それは藤次の死に方に表れていたが、ここまでひっぱっておきながら、一瞬のうちに勝負が決まり、あまりにもあっさりし過ぎていたのは残念でならない。なぜ、ここまで藤次を生かしたのか?武蔵にとってどんな存在である事を想定していたのか?その意味がドラマに表れなかったのが悔しかった。これなら、前半で消えた方がよっぽど良かったのではないか?これで、またしてもキャラを見殺しにした事になる。藤次も成仏出来たとは思えない。斬られた後の『これでいい』というセリフも意味不明だった。それと最後に・・・武蔵と藤次より、よっぽど、この事が気になって仕方がなかった。染め布屋はえらい迷惑だったろうという事・・・。情けない!こんな事を書かせるなんて・・・。

C現代風の演技に一考を!
一文無しになった又八と朱実は、新たな商いを画策していた。ある日お甲に会った朱実は、お甲から高価な品々を渡される。その品を売って船を買った又八は、新たなビジネス展開を企む。う〜ん。誠に申し訳ないのだが、最近、又八の存在意味が分からなくなってしまった。単なる幼馴染だから・・・というのであれば、当然今後、武蔵とリンクする事が必要だし、リンクしないのであれば、毎週出す必要はないのではないだろうか?しかし、武蔵に相反して評判の良い堤又八。このまま最後まで出ると見た。武蔵とリンクもさせていく事だろう。決して出てはいけないという訳ではないが、存在意義をしっかりと描いて欲しい。それと、堤又八の演技が現代風すぎて違和感を感じる。しゃべり口調など、とても当時の人とは思えない。一考してみてはいかがだろうか?

Dリアリティがない・・・
お杉とともに江戸まで一緒に来た権六が死んだ。演じる谷啓のふくよかな顔を見る限り、とても死ぬようには思えなかったが、突然の事だけにインパクトがなかったのが残念だ。リアリティがなかったというのが正しい表現か・・・。

E本当に故郷に帰ったのか?
釜坂峠を通って、久々に美作に戻った武蔵。これまで武蔵の故郷が”美作”と曖昧な表現になっていたが、”釜坂峠”と言うのなら、原作通り”吉野郡讃甘村宮本”と特定した方が良かったのではないか?もうひとつの生誕の地である播磨に気を使っての事らしい?が、曖昧すぎてかえって不自然に思えた。美作は広いのである。そんな中、故郷を訪ねる武蔵。それと同時に勝山町の神庭の滝も回想シーンとして登場。でも、これまで全話見てきた我々には武蔵の故郷が故郷に見えなかったのが残念だ。

F沢庵の存在価値は?
美作で沢庵に会った武蔵。細川家に仕官する旨を話すが、仕官しないと言ったのにどうしたのだ?と逆に訊ねられる。おまけに、お主の言葉がわしの生き方を変えたとまで言われてしまう始末。最後には、迷う心が大切じゃ!と沢庵に言われるが、このやりとりに重みがなかったのが残念だ。あぁ、沢庵のキャラが弱すぎる!

【来週の展望】
正直言って今週も後味の悪い内容だった。怒ってばかりだったのをお許し頂きたい。俳優は良いのだが、脚本と演出が完全に負けている気がして誠に残念だ。さて来週だが、武蔵は忠興と対面するようだ。巌流島への動きも加速する事だろう。そして、小次郎とも久々に会うらしい。でも、”武蔵と小次郎”というタイトルでやる以上、最後の数分だけの遭遇で終わるのはやめて欲しい。最後数分の遭遇でも、意味ある遭遇にして欲しい。

第34回 「対決!夢想流」(8月24日放送)

【物語】
京で、父・無ニ斎(ビートたけし)から細川家への仕官を懇願された武蔵(市川新之助)は、小倉へと向う。 お通(米倉涼子)は「もう武蔵を追いかけていく力がない」と、美作に帰るお杉(中村玉緒)と権六(谷啓)の供をして江戸を去ることを決意し、又八(堤真一)と朱実(内山理名)の家を去って行く。 その家に、絃三(江守徹)の盗賊一味となったお甲(かたせ梨乃)が捕り手に追われて、逃げ込んでくる。母娘の対面を果たすが、朱実はお甲を追い返す。 武蔵は旅の途中、夢想権之助(大柴邦彦)と、その母・たか(左時枝)に出会う。武蔵に勝てば息子の仕官が叶うと強烈に思い込む、たか。そんな母の意に内心反発しながらも、息子・権之助は杖で武蔵に必死に向かってくる。 その頃、絃三は江戸の町の治安を守ろうとする宗矩(中井貴一)の命を受けた亜矢(寺島しのぶ)との死闘の果て、ついに捕らえられる。 また、藤次(阿部寛)もお甲のもとを去り、武蔵を追って西へと旅立つ。

【牛嶋のズバリ解説】
後味の悪い先週の放送から1週間。これ以上期待を裏切るなよ!と言いたいが、その期待は今回、またしも裏切られた。第34話の撮影風景を見た剣持氏から、事前に『武蔵が負ける!』とは聞いていたが、まさかこれほどひどい負け方だとは・・・。このままでは、巌流島の闘いが本当に心配である。もしかしたら、佐々木小次郎に負けてしまうのではないか?そんな不安さえ生まれてしまった。怒っても仕方ないが、どうしても怒らざるをえないのをご了承頂きたい。

@なぜ出た?無二斎!
父・無二斎の『細川家に仕官して欲しい』という願いを受け入れて?小倉に向かう武蔵。多くの視聴者が、こんな理由で武蔵は本当に仕官してしまうのか?と、疑いを持って見ていた事だろう。それと同時に不快感が残り、我々が見ているのは宮本武蔵ではない!と、大河ドラマの存在を打ち消したくなったのではないだろうか?大袈裟な書き方かもしれないが、武蔵ファンには衝撃的なシーンであった事に変わりはない。それにしても、無二斎の再登場はいらなかった。登場するにしても、仕官とは?武芸者とは?なんぞや?という話を武蔵にして欲しかった。それを受けての仕官なら許せたと思う。何回も言うが、無二斎の再登場失敗が悔やまれてならない。

A今は西暦何年?
お通は又八の家に厄介になっているが、”厄介”とは言えないほど又八の家は立派だった。一商人の家とは思えず、あれじゃ、大富豪の屋敷だ。いつの間にあんな屋敷を・・・と思ってしまったが、まぁ、それはそれでよしとしよう。お通は、タケゾウに私の居場所があるとは思えない・・・と、お杉、権六とともに美作に帰る決意するが、この行動がゆくゆくちゃんと物語としてつながっていく事を祈るばかりである。思えば武蔵、お通、お杉が江戸に来て、どのくらいの時が経ったのだろう。今年の大河は、年齢も含めて時間の経過があまりちゃんと描かれてないが、秀忠が2代将軍になったのが1605年だから・・・え〜っと。でも、姫路城での3年がないから、原作と違って武蔵は相当若いのではないだろうか?

B情が入っていない?
お甲と朱実が再会した。盗人になっていたお甲の逃げた家が、なんと!又八と朱実が住む家だったのだ。追っ手を遮る為、お甲は甘い言葉で朱実に助けを求めようとするが、朱実は落ちた母親を見て、きっぱりと追い返したのだった。武蔵と無二斎が対面するのと時を同じくして、お甲と朱実も再会した事になるが、置かれている立場は違えども、対照的なシーンだった。思えば武蔵と無二斎、お甲と朱実も、『そういえば親子だったなぁ〜』という程度にしか描かれていないが、これは”視聴者の情”を入らせないように作っている証拠である。人物をあまりにも軽く扱いすぎだ。

Cまた史実を変えた
夢想流杖術の始祖、夢想権之助が登場。原作ではしっかり描かれているのに、これまで映画などではことごとくカットされてきたキャラクターである。それだけに、『よくぞ!出てきた!』といった感じだが、演じていたのは電撃戦隊メガレンジャーを演じた大柴邦彦。若さといい、元気さといい、権之助のイメージにぴったりだった。物語は、通りすがりの武蔵に権之助の母がいきなり突っかかり、権之助と勝負してくだされ!と頼み出る。頼まれる方はたまったもんじゃないが、ほぼ強制的に闘いが始まってしまった。勝負開始とともに、武蔵に負けて下され!と頼む権之助。しかし、武芸に生きている者が負ける訳にはいかぬと断る武蔵。子供の学芸会のような殺陣が繰り広げられた後、母の声に隙を作ってしまった武蔵は、権之助の杖をみぞおちに受け、倒れ込んでしまう。息も容易に出来ぬほど急所に入り、武蔵は起き上がる事が出来ず。これは正真正銘、権之助の勝ちだった。おいおい、ちょっと待った!生涯で一度も負けた事がないと言った宮本武蔵を負けにしてもいいのか?これで、吉岡清十郎、柳生石舟斎と3敗目である。前は、新免タケゾウだったから許したが、今度は”宮本武蔵”と名乗っていた。またもや史実を変えてしまった罪は大きい。

D権之助の存在とは?
正直言って宮本武蔵の無残な姿は見たくなかった。うめき声をあげるなんて、俺の武蔵を返せ!と言いたい。それはそうと、夢想権之助はなんのために登場したのか?武蔵を破った後、このお方はわざと負けて下さったのだ!とフォローを入れたが、フォローになってない。現に『わざと負けたのではない。子を思う母の愛に武蔵は負けたのだ』というナレーションが入っていた。権之助ともそれっきり。何のために権之助は出てきたのか?仕官したくない?田を耕したい?だと。権之助は夢想流杖術の始祖ではないのか?原作では弟子にしてくれ!と、その後行動を共にしたではないか?権之助を何のために出したのか?憤りでいっぱいだ。役所武蔵では三浦浩一さんが演じた権之助。とっても気性が激しく、それでもって師匠を立て、最後は巌流島の決闘を見守ったが、とてもうまく描いていたのを覚えている。それだけに期待していたのに・・・うううう・・・。気分が悪いので、この回の解説の最後に”お口直し”を書いてみた。

E語るの、やめます
あかね屋絃三が捕らえられた。亜矢に追い詰められ、あっさりと捕らえられたのは意外だった。そして、宗矩と久々の対面。訳のわからないやりとりの後、張りつけの刑に。『俺は風魔小太郎だ!家康に張りつけにされて生き返った。風魔は死にはしないんだよ』と言いながら、口から桜吹雪?を出して笑いながら死んで行った?が、最後までその存在価値が分からず・・・。生き返るとでもいうのか?いや、もう語るのはやめよう。

Eその他、いろいろ
祇園藤次は、江戸を去った武蔵を追うとお甲に告げた。いよいよ、藤次の最後か?又八も商いに失敗。落胆する又八に対して力強さを見せる朱実。良い関係になりつつある。そして、佐々木小次郎と武蔵を立ち会わせるであろうと読む宗矩は、豊前の動きを見て欲しいと亜矢に頼む宗矩。俺を裏切るなとも言ったが、武蔵と出会って亜矢の心が変わる事を予感させた。う〜ん、サイドストーリーが多すぎると思うが・・・。

【来週の展望】
いよいよ、祇園藤次との決着戦が見られるようだ。予告を見る限りでは、一撃で決まりそうだが、阿部藤次の最後をしっかりと見届けよう。そして、権六が死ぬようだ。お杉のわがままで権六も良い迷惑だったろうが、最後くらいは権六というキャラをちゃんと葬って欲しいものだ。そして、巌流島の対決の予告が早くも流れたが、ここまで武蔵と小次郎のライバル関係がしっかり描かれなかっただけに、巌流島までの盛り上げに期待したい所だ。



【お口直し】
今回は、夢想権之助を楽しみにしていた人が多かった事だろう。しかし、期待を裏切る内容となってしまった。こんな状態では締められないので、ここで役所武蔵で大絶賛を受けた三浦権之助の登場シーンを簡単に書いてみよう。

<第27話>
お通を探しながら旅を続ける武蔵と城太郎は、途中、罵声を浴びせられながら若者のまたぐらをくぐる男を見た。恥さらしという言葉がぴったりだったが、よく見るとそれは、あの青木丹左衛門だった。すっかり落ちぶれてしまった姿に、武蔵は『城太郎が見ている!』と丹左衛門に告げる。しかし城太郎は、その姿こそ我が父である事をすぐに知ったのだった。見かねた武蔵が割って入り、若者を素手で打ち負かして追い払う事に・・・。なんと!その若者こそが、三浦浩一演じる夢想権之助だったのだ。久々に父と対面した城太郎に武蔵は、父と一緒に暮らすように言うが、城太郎は首を縦にふらず。父を軽蔑する態度まで見せた。さて、この親子関係はどうなるのか?その後、権之助が負けたと聞いて怒った母は、権之助と手下を従えて仕返しに向かった。その時の母と権之助の形相は恐かった。武蔵危うし!を思わせるほどだった。この回はここで終了。

<第28話>
夢想権之助とその母は、武蔵の所へ再度やって来た。再試合をという夢想親子の願いを一旦は断る武蔵だが、母親の熱心な頼みを受けて権之助と勝負することに・・・。杖で向かう権之助に対して、初めて見る杖に苦戦を強いられる武蔵。なんと!杖はただの杖にあらず、剣と違って自由自在に長さを変えて打ち込むことが出来るのであった。その後、武蔵の刀を受けて力む権之助に、『腰!』という母の大きな声が・・・。その声にハッとした武蔵は飛びのき、倒れかかった権之助に斬りかかった所で勝負あり。しかし武蔵は、権之助を斬らなかった。なんでも母が『腰!』と言ったのは、権之助が腰を下げれば、武蔵がつんのめって、その喉元めがけて杖の先を打てば勝てる!と声をかけたとの事。それを武蔵は、権之助より早く母の声に気付いたから勝てた・・・と、引き分けと自ら裁定。そんな武蔵の言葉に感激した夢想親子は、権之助の弟子入りを懇願する。武蔵は老いた母の土下座に負けて、『弟子などと言わず、一緒に修行しよう』と返事をする事に。喜ぶ夢想親子。勝気な態度から一変したのが、逆に好感が持てた。さて、その一部始終を見ていた城太郎は、武蔵が自分以外の人の弟子入りを許可したことに腹を立て、その場を立ち去ってしまった。城太郎の後を追う丹左衛門。武蔵は城太郎を丹左衛門に託したが、こうして武蔵と”少年城太郎”との別れが描かれたのであった。まさか江戸で再会しようとは、この時は思ってもみなかっただろう。その後、武蔵は権之助を伴って江戸へ。武蔵と権之助が一緒に歩くシーンで終了。希望に満ちた権之助の顔が印象的だった。

以上。お口直しになりましたか?役所武蔵はとにかく絶賛!

第33回 「父との再会」(8月17日放送)

【物語】
父・無ニ斎(ビートたけし)に会うために京へ向かう途中、武蔵(市川新之助)は、親の仇(かたき)である本多家重臣を鉄砲で撃って、追われている娘・お菊(広末涼子)を救う。そして、仇を討った今、自分の命はどうなってもいいと言うお菊に、武蔵はどんなことがあっても生きていかなければならないと諭す。 武蔵が京へと去った後に江戸についたお通(米倉涼子)は、江戸を離れるべきではなかったと後悔する。そんなお通に又八(堤真一)と朱実(内山理名)は一緒に暮らそうと言うのだった。 一方、細川家では当主・忠興(夏八木勲)が小次郎(松岡昌宏)に対抗して、武蔵を何としてでも小倉に呼び寄せようと側近の児島備前(宇津井健)とともに策をめぐらせる。 そんな細川家の対立を利用し、宗矩(中井貴一)は小次郎と武蔵を立ち合わせて、どちらが勝っても両方とも死に至らしめ、武芸者の腕比べとは虚しいものだと天下に知らしめようと考えていた。 京に着いた武蔵は無二斎と再会する。年老いた無二斎は武蔵に。

【牛嶋のズバリ解説】
今回も鎌田敏夫氏のオリジナルストーリー。オリジナルはいいが、今回は全く時間が無駄な物語だった。まだ分からないのかNHKと鎌田敏夫!と言いたい。奇しくも16日に高橋英樹、17日に三船敏郎の宮本武蔵がBS2で放送されたが、やはり原作は良い!という印象を与えてしまったのではないだろうか。という事で久々に厳しい文句をいろいろ書いていこう。

@無責任なNHK
お通がやっと江戸に帰ってきた。家には誰もおらず、武蔵の荷物さえもなかった。落胆するお通。橋爪功さんのナレーションに”タケゾウの元を離れて半年の月日が流れていた・・・”とあったが、なぜ、手紙の一通も出せなかったのか?柳生が妨害を入れるのなら、もっと徹底して欲しかった。武蔵も荷物を置いて行っても良かったのではないか?武蔵が父に会いに行く意図もはっきりと分からず、武蔵とお通のすれ違いを描くにはあまりにも単純な設定すぎると思う。制作者はキャラクターの行動にもっと責任を持つべきで、それが視聴者の心にもしっかり伝わっているという事を肝に銘じて欲しい。

A大河の基本姿勢にガッカリ
徳川家康が登場。重臣の本多正信までもが登場したが、キャラに責任を持たない今年の大河のやりそうな事である。天下がどう動いているのか?というのを伝えようとしたのだろうが、家康を出すなんて単なる客寄せパンダ的な事でしかあり得ない。武蔵と家康は対面しているのなら別だが、大河にファンション性はいらない。家康は家康・・・武蔵は武蔵・・・そういう解釈は出来なかったのか!出す必然性は全くないし、むしろ出して欲しくなかった。なんのためにナレーターがいるのか?ナレーターの説明だけで十分ではないかのか?というより、さりげなく伝えた方がいいという事をなぜ分からないのか?思えばかつての大河”独眼流政宗”では、本能寺の変を描かなかった。信長が討たれた事にショックを受ける政宗というシーンがあったが、東北でその報を聞いた政宗の表情だけで本能寺の変が伝わったのは見事だった。描かない方がいいという場合もあるのだ。あれもこれもじゃ、メリハリがなさすぎるよ、NHKさん。

B無駄だよ、無駄・・・
父に会うために京に向かう武蔵は、近江で広末涼子演じるお菊と出会う。命を奪われかけているお菊を助けるのだが、お菊は親の仇を討った事で命を狙われているという事だった。回復したお菊は。毒を探して死のうとする。しかし、助かった命をなぜ捨てるのだ!と武蔵が諭す。国境で武蔵とお菊は別れるが、このショートストーリーはいったい何を伝えたかったのだろう。意図が分からない。ましてやこんな場面を作るNHk側の姿勢に疑問を感じる。しかも登場は1回限り。無駄もいいとこだ。筆者の好きな広末の登場は嬉しい限りだが、こんな出し方はあるかい!と言いたい。客寄せパンダ的な発想はもうやめて欲しい。そりゃ、『うちの広末を出す場を作って欲しい』などという、事務所側の強引な売込みがあるのは芸能界では日常茶飯事だが、あまりにも視聴者をバカにしすぎている。

C客寄せパンダはもういらない
児島備前が新免無二斎を訪ねた。そのやりとりは描かれなかったが、武蔵と無二斎が対面した時にそれが明らかになった。”名を挙げたそうだな”と無二斎。”父上に弱いと言われ、ひたすら強くなる事だけを考えて生きてきた”と答える武蔵。このやりとりなら、納得はいく。しかし、その後のやりとりには疑問を感じた。細川家への仕官を勧める無二斎。その理由は、200石もらえるからだと、息子に対して深々と頭まで下げた。これを見て愕然としてしまった。なんのために無二斎を出したのだ!もう、呆れて言葉も出ない。おいおい、NHK!いい加減にしろ!これじゃ、無二斎も客寄せパンダだろうが!無二斎と武蔵のやりとりを期待していた視聴者になんと言うのだ!

【来週の展望】
今回の物語には大いに失望した。武蔵ファンはもちろん、このドラマをずっと見続けた人もこれで引いてしまうのではないか?と思うくらいひどい回だった。来週は、待望?の夢想権之助が登場するが、あまり期待しない方がいいらしい。詳しくはNHKでこの回の撮影風景を見学した剣持氏からその様子が書かれると思うが、ここに来て期待をまだ裏切るNHKに、この場に出て説明して欲しいくらいである。

第32回 「武蔵の決意」(8月10日放送)

【物語】
武蔵(市川新之助)は、ひたすらお通の帰りを待っていた。その江戸の町では、あかね屋絃三(江守徹)が風魔小太郎と名乗り、藤次(阿部寛)やお甲(かたせ梨乃)とともに大名から大金を盗んでは、町衆に撒いていた。亜矢(寺島しのぶ)は宗矩(中井貴一)の命で絃三をおびき出そうと、同じ名を語って江戸の町で悪事を働いていた。ついに二人は闘うことに。傷を負った絃三は武蔵の家に逃げ込む。 一方、又八(堤真一)は古着を積んだ船が沈んで全財産を失うが、朱実(内山理名)と共に一芝居うち、木曾の材木を買い占めて復活を図ろうとする。 九州・小倉では、藩主・細川忠興(夏八木勲)が、敵なしとなっている小次郎(松岡昌宏)に対抗できる剣豪を探していた。忠興側近の児島備前(宇津井健)は仕官を望まない武蔵を呼ぶために、中津にいるという父・無ニ斎(ビートたけし)を使うことを思いつく。 その頃、お通(米倉涼子)はまだ関所に足止めされていた。

【牛嶋のズバリ解説】
今週も鎌田敏夫氏のオリジナルストーリー。武蔵が剣の道をはずれてかなり時間がたった気がするが、今週のタイトル『武蔵の決意』とあるように、再び剣の道へと進むようだ。というより、そろそろ進んでもらわないと困る。原作ではストイックなまでに剣にこだわった武蔵だけに、ちょっと遅いような気もするが、素人考えで、剣の腕が落ちてるのでは?と心配してしまったのは筆者だけだろうか?さて、今週の解説にいきましょう。

@もっと丁寧に・・・
今週は、キリシタンの疑いがかけられたお通が、関所で足止めを食っているシーンからスタート。お通は身の潔白のために柳生に遣いを出したとの事だが、”送り届ける”と言った柳生が一緒に付いていなかったのには大いに疑問を持った。こういう場合、ついついドラマ上の事だから・・・と片付けてしまわれがちだが、制作者も”なぜ柳生がいないのか?”を考えながら制作すべきではないか?筆者なら、お通と一緒に付いていく柳生を誰にするか?お通1人が捕らえられるようにするため、”ここからは私1人で参ります”とお通に言わせよう・・・などと細かく考えるのが、こういう細かい部分も大切に描いて欲しい。今年の大河は、視聴者の素朴な疑問を無視して、雑に作っている感が否めないが、武蔵とお通の運命を左右した出来事を作るのなら、もっと丁寧に描いて欲しいものだ。

A柳生はA級戦犯
お通が捕らえられている事を知らず、ただひたすら待つ武蔵。お通は、武蔵はちゃんと待ってくれるか?と心配するが、通信手段が発達していないこの時代だからこそ、こういうすれ違いは凄く多かったのではないか?早馬で書状を送った後、届く頃に形勢変化!すぐに次の馬を走らせた・・・などという事もあったであろう。あくまでもドラマ上の事だが、武蔵に誤った情報を伝え、お通を引き止めた柳生はA級戦犯である事に間違いない。

B大阪の陣で明らかに?
あかね屋絃三が、”風魔小太郎だ!”と名乗りながら、大衆に大金をばらまいていた。祇園藤次とお甲も一緒にからんでいるが、その目的が不明確だ。あかね屋が出てくる事によって物語を複雑にしているような気がしてならない。そんな中、亜矢が現れるが、あかね屋は逃走。どこへ行ったのかと思いきや、潜伏先は武蔵の家だった。強引すぎるのではないかと思うが、武蔵の家を訪れるのなら、その目的をしっかり描くべきではないのか?まさか偶然という訳ではあるまい。あかね屋を追って亜矢は武蔵の家を訪れるが、そこで天井から血がこぼれ落ちているを発見。あかね屋は負傷しているのか?亜矢が去った後、武蔵の元へ現れるあかね屋。風魔小太郎は、家康の手にかかってはりつけにされたという・・・。だからなんなんだ?風魔小太郎とあかね屋の関係は?どうも不明確で仕方ない。物語に大どんでん返しがあるのか?それならいいが、誰しも思うあかね屋への疑問を解消する一発逆転を期待したい。子供達に読み書き指南をしている武蔵に、お前さんには似合わないと言うあかね屋。もうすぐ徳川と豊臣が戦(いくさ)をする。また会おう!と言って去るあかね屋。あかね屋の行く末は、大阪の陣で明らかになるのか?

C又八の行く末は?
又八と朱実は、江戸に火事が多い事に着目。火事になると材木屋が儲かると、又八は材木を買い占めようと企む。木曽に足を運び、美作屋の主(あるじ)と名乗る又八。子供に小判を渡、金がある事を見せ付けるなど、腕利きの商人という感じだが、又八の行く末はどうなるのだろう?大商人になるのか?それとも1度地獄に落ちるのか?全く読めない。それと、朱実が色っぽくなってきた気がする。妹キャラを克服してきた感があるが、夫婦になるまであと少しを予感させた。

D早く斬られろ!藤次!
右腕を失ったと思いきや、今日のシーンで藤次にはちゃんと右腕があった事が証明された。ご存知!右腕は一乗寺で武蔵に斬りつけられたが、使えなくなったものの、切断だけは免れたようだ。相変わらずお甲と暮らし、悪の道をひた走る藤次だが、このままダラダラ生かしておくのではなく、早く武蔵に斬られた方が浮かばれるような気がするが・・・。

Eいかに野望を持つか
満を持して柳生宗矩が柳生の里に到着した。亡き石舟斎の墓に向かって、”これからは徳川家が天下を治める。太平の世を守るために生きていきたい”と告げたが、それは単なる父への反発ではなかった事が明らかになった。最後まで柳生の里を離れなかった石舟斎、その苦悩ぶりを見た宗矩が、”自分はこうならない”と、自分の道を歩んで行ったという事だった。ずっと父の存在を意識して、父を見返したいという宗矩の思いを感じた。それなら、もっと父とコミュニケーションを取れば、良い親子関係が維持出来たのでは?と思ったが、宗矩の意思の強さからそれは出来なかった事なのだろう。この時代は、いかに野望を持つかによって出世も決まっていたのだろうなと思った。

F巌流島のはじまり
細川忠興が登場。筆者の大好きな夏八木勲さんが演じていたが、この人は貫禄があって、味があってとても良い俳優だと思う。もっと別の良い役があったのではないか?とも思ったが、細川忠興は、豊前藩主で、織田信長、豊臣秀吉、徳川家康の時代を生き抜いた上、妻は明智光秀の娘・ガラシャ・・・という事を考えると、これ以上の役はないのかもしれない。”佐々木小次郎を倒すやつを捜せ”と指令を出し、児島備前が宮本武蔵の名を出したが、これが巌流島の決闘のはじまりになる訳である。なお、新免無二斎は武蔵の父ではないかという話が出たが、父の存在が武蔵にどう影響を与えるのか注目だ。

G小次郎らしさ
矢を放たれながらも勝利した小次郎。次々と刺客が差し向けられるが、自信たっぷりの小次郎にスキはなかった。”俺が負けると思うか?(小次郎)””いいえ・・・(お篠)””その言葉が俺を強くする(小次郎)”なんともカッコ良いセリフではないか?日常でこんな言葉を使ったら、”何言ってるのよ、あんた!”と言われるのがオチである(笑)。また、”お篠は影である”とも言いきっていたが、小次郎ならではのカッコ良いセリフだ。

H武蔵よ、どこへ行く
柳生からの書状により、ようやくお通は開放された。急いで江戸に向かうが、そんな中、江戸の武蔵には動きが見られた。小島備前の孫・三之助から手渡された細川家からの書状に、無二斎の消息が書かれていたのだ。あくる日、又八が武蔵の家を訪れた時、もう武蔵は荷物をまとめて家を後にしていたが、武蔵よ、何を思う?そして、どこへ行く?父に会って何を話しする?

【来週の展望】
武蔵と無二斎が対面するようだ。そこでどういうやり取りが見られるのか注目。それと、広末涼子も登場。最近、めっきり綺麗になった広末だが、どんな演技を見せてくれるのか?

第31回 「お通、いずこに」(8月3日放送)

【物語】
武蔵(市川新之助)は細川家重臣・児島備前(宇津井健)から仕官の誘いを受けるが、お通(米倉涼子)を待っていることを理由に断る。 柳生では石舟斎(藤田まこと)が重体に陥るが、秀忠の将軍宣下を控えた宗矩(中井貴一)は江戸を離れなかった。代わって赴いた妻・りん(和久井映見)は、父を思う気持ちが強いからこそ、宗矩は父を越えるために権勢の中で生きようとしているのだと、兵庫助(高嶋政伸)らに語る。 石舟斎が息を引き取り、兵庫助の頼みでお通は笛を吹く。それを聞いた石舟斎の次男・久斎(岸田敏志)が「同じような笛を吹く女がいる」と言う。お通は実の母かもしれないと、その女を訪ねるが、もう去った後で、残されていたマリア像をお守り代わりにお通は江戸へと向かう。 関所でそのマリア像を咎(とが)められ、お通は足止めされる。親の愛を受けずに育った武蔵が、自分が帰るのを信じて待っていられないのではないかとお通は心配する。 一方、細川忠利(阪本浩之)に仕える小次郎(松岡昌宏)は細川家の剣豪をことごとく打ち破り、無敵の名をとどろかせていた。 その頃、又八(堤真一)と朱実(内山理名)は京で仕入れた古着を船で江戸に送ろうとしていた。

【牛嶋のズバリ解説】
ここ数週間は鎌田敏夫氏のオリジナルストーリーで展開している。宮本武蔵を核に、お通、又八、佐々木小次郎、沢庵、柳生家など、いろんなキャラクターが存在しているために作り甲斐もあると思うが、ふと、自分が脚本家だったらどう作るだろうと考えてしまった。でも、自分だったらセリフも含めて原作に忠実に作るだろう。巌流島の対決の際にも『小次郎、敗れたり!』ではなく、原作通りに『小次郎、負けたり!』とやるだろうなぁ〜。でも、そうなると脚本はいらないのかもしれない(笑)。さて、今週も解説いきましょう。

@番組の始まり方
歴代の大河ドラマは、ナレーターなどが、時代背景、裏話などを入れた上で1話1話をスタートさせていた。しかし、今年は”先週の放送”の映像を流して番組スタートという演出をしている。先週の内容を簡単に振り返る事で、今週の放送が生きるという効果もあるが、筆者は前者のスタイルが好きだ。武蔵の裏話をもっと入れて欲しいという理由に他ならない。かつての大河である『独眼流政宗』『葵・徳川三代』などの冒頭はいつも楽しみにしていた。ここまで来たからにはもう設定を変える事はないだろうが、その分最近は、本編で橋爪功さんのナレーションが増えたので嬉しい限りだ。

A身も心も宮本武蔵だ
今週は武蔵が読み書きを教えている場面からスタート。相変わらずたくさんの子供に囲まれて充実した日々を送っていたが、そんな中、児島備前宅にいる三之助が登場。細川家に厄介になっているからか、汚い格好から綺麗な身なりになっていた。登場するなり、『下手くそ!』と他の子供達に暴言を吐いたが、『無礼な事を言うんじゃない』と説教する武蔵。貫禄があって良かった。身も心もすっかり宮本武蔵になっている感じがした。本人が『俺はタケゾウだ』というのが解せないが・・・。『宮本武蔵』と再び名乗るのはいつなのだろう。

B制作者のこだわり
三之助が武蔵の家を訪れたのは、”爺(児島備前)が会いたいと言っている”のを伝えるためだった。武蔵はすぐ細川家の屋敷を訪れるが、児島備前の案内で廊下を歩いていると、陰に隠れる人気(ひとけ)を感じて廊下を降りた。これは武蔵の腕を試す為に児島備前が差し向けたものだったが、このシーンはもったいなかった。シチュエーションは違えども、このシーンは実際に原作にあるのである。確か武蔵が、柳生宗矩の屋敷に招かれた際だったと思うが、武蔵の落ち着き払った姿に、沢庵、柳生宗矩が驚いた様子が描かれ、『さすが!武蔵!』を思わせた。今回も『さすが!』とは思わせたが、もうちょっと武蔵をカッコ良く描いて欲しかった。欲張りかもしれないが、こういう大事なシーンは気合を入れて欲しい。制作者のこだわりが発揮されるのはこういう部分だと思う。

C武蔵が、お通化
武蔵に、細川家に仕える気があるか?と聞く児島備前。その理由は、小次郎を倒す武芸者を連れて来いという細川忠利の命によるものだという。しかし、武蔵は仕官する考えのない事を伝えると同時に、”私には待つ人がいます。何よりも大切なのです”とも答えた。それと、江戸に戻った又八から、柳生の殿様が死んだと知らされた武蔵。石舟斎の訃報にショックを受け、ではなぜお通は帰らないのだろうと不思議に思う武蔵。まさに、原作のお通と立場が全く逆になってしまった。

D石舟際の最期が見たかった
病に伏す柳生石舟斎。先週の元気な様子から急変した感があるが、その姿が見られなかったのは残念だった。”柳生石舟斎”という偉大なキャラだからこそ、病床の姿を写さないようにしたのだろうが、そこは見せて欲しかった。最後の姿を見せてこそ石舟斎だと思うのだが・・・。しかし、石舟斎の句『兵法の梶をとりても 世の海を 渡りかねたる 石の舟かな』が紹介され、田舎に住む兵法者の苦悩が伺えたのは良かった。今回は、兵庫助の父で石舟斎の長男の柳生厳勝、次男久斎も登場した。岡山県落合町出身の岸田敏史さんがその役を務めていたのは嬉しかった。石舟斎の死を弔うため、お通が笛を吹いたが、その音とともに石舟斎の映像がフラッシュバックしたシーンは良かった。

Eキャラが軽い
又八が朱実と一緒に京から江戸へ戻った際、沢庵と会う。沢庵は、”禅の教え人に説くものではない。己の心に説くものだ”と武蔵に言われ、諸国を行脚しているという。それにしても、登場する度に思うが、沢庵のキャラが軽すぎる。筆者の認識としては、”武蔵に影響を与えた人”というイメージがあるが、まさか沢庵が武蔵に教えられるとは・・・。沢庵のキャラ・・・うん。やっぱり死んでると思う。そうは思いませんか?

Fお通が捕らえられた!
お通が亡くなった石舟斎に向けて笛を吹いていると、”その笛は誰に習ったか?”と聞く久斎。その笛に聞き覚えがあるという。もしかしたら生き別れになった母に会えるかもしれないという事で、江戸にまっすぐ帰らず、母と思われる人の元へ。しかし、母親はおらず、”キリシタン”を証明するマリア像のみが残されていた。そのマリア像を持って江戸に向かうお通。しかし、キリシタンと疑われ、捕らえられてしまう事に。これはなかなか良いアイデアだった。これも運命のいたずらか・・・。”人はどれくらい信じられるものでしょうか?”と、武蔵が待っていてくれるのか不安に思うお通。捕らえられたのは、武蔵との再会が遠のいた瞬間であった。

Gどうする?又八
京から古着を手に入れた又八と朱実だったが、古着を乗せた船が沈没して、全部ダメになってしまった。又八は大変ショックを受けたが、大商人になるのでは?という筆者の予言が早くもはずれたのか?しかし、これにくじける堤又八とは思えない。奮起するか?借金地獄に陥るのか?又八と朱実がどう夫婦になるのか?今後に注目だ。

H強いぞ!小次郎
細川家で豊前の剣術者、細川家の剣術指南役をことごとく破る小次郎。その闘いぶりから、”豊前の兵法はこれしきのものか?”と言わせてしまうほどだった。結果、屋敷を与えられた小次郎だが、お篠に一緒に住もうと申し出るが、お篠は小次郎の出世にかかわると拒否。しかし、”誰もそなたの事で文句を言わせぬ。構わない”と言う小次郎。その行動ぶりからも佐々木小次郎、わが道を行くというのを感じさせた。今後は小次郎を厚めに描いて欲しい。そして、巌流島へと進んで欲しい。

Iなぜ児島備前?
小次郎に破れた児島備前の次男が自害した。それを聞いて武蔵はショックを受けたが、児島備前に人のぬくもりを感じていたという。原作では”長岡佐渡”が武蔵の良き理解者だが、それを”児島備前”にした設定はなぜか?不思議だ。

第30回 「石舟斎の遺訓」(7月27日放送)

武蔵(市川新之助)は三之助(小池城太朗)の祖父、細川家重臣・児島備前(宇津井健)を訪ねた屋敷で、弥次兵衛(哀川翔)を助けてくれと頼みに来たお杉(中村玉緒)に出会う。騒動の発端である余五郎が自害し、喧嘩両成敗で弥次兵衛も処刑されることに。自らの力が足りなかったと弥次兵衛の死に涙する備前を見て、武蔵は父のぬくもりを感じるのだった。一方、小次郎(松岡昌宏)は細川忠利(阪本浩之)と一緒に豊前に向かい、岩間角兵衛(寺田農)の娘・お光(すほうれいこ)が同行して世話をするようになる。その行列に影のようにお篠(宮沢りえ)がついて行く。2人は絶対の信頼で結びついていた。柳生に着いたお通(米倉涼子)は、石舟斎(藤田まこと)と再会する。死期の近い石舟斎の側にしばらく居て欲しいという兵庫助(高嶋政伸)の頼みを、お通は江戸で待つ武蔵を気にしながらも、聞くことにする。その頃、祇園藤次(阿部寛)とお甲(かたせ梨乃)が江戸に現れる。そして、2人は大商人から金を盗み世の中を騒がせていた絃三(江守徹)から仲間になるよう誘われる。備前は小次郎に対抗するため、藩主・忠興のもとに武蔵を仕官させようとする。

【牛嶋のズバリ解説】
さて、今回も鎌田敏夫氏のオリジナルストーリー。設定をどんどん変えて展開している大河だが、それだけ期待感も倍増していると思う。だって、今はまだいいが、巌流島以降は全くのオリジナルになるのだから・・・。さぁ、それでは今週の解説いきましょう。

@三之助はただの子供ではない
細川家の世継ぎ問題が起こっている中、武蔵は三之助と暮らし始めた。黙々と絵に向かい、その様子はまるで親子のようだった。のちの養子・伊織なのだから・・・というと納得するが、これがどういう流れで養子・伊織となるのかは鎌田氏の腕の見せ所である。巌流島の対決が決まるカギを握る人物が三之助という事だが、児島備前を『爺!』と呼ぶなど、子供といえども只者ではない存在だという事を窺わせた。

Aお光?新たに三角関係構築か?
岩間角兵衛の娘・お光と小次郎が出会った。お光というと、広州流軍学の先駆者・小幡勘兵衛の娘ではなかったのか?役所武蔵では小林麻美演じるお光の美しさに惹かれ、中康司演じる小次郎が強引に妻に迎えたが、設定はどうあれ、”お光”という名から、今後、お光がなんらかのポイントになるような気がする。今回、小次郎は九州豊前に出発したが、お篠もしっかり後を追った事から、”小次郎とお光&お篠”という新たな三角関係が生まれるような気がする。

B哀川翔の俳優魂?
半瓦弥次兵衛が死んだ。まさか死ぬとは思ってもみなかったが、曖昧にいなくなるより、無残に殺された方が俳優・哀川翔の存在が浮き出て良かったのかもしれない。”一寸の虫にも五分の魂があるっていうじゃねーか”という最期の言葉も良かった。思えば今年の大河は数多くの俳優を死なせてきた。死なせたというのは、個性や存在感を殺してしまったという事だ。それを考えたら、哀川翔は良いカタチで去る事が出来たのでは?そう言えば、筆者の映画関係者の知り合いが『哀川翔さんの俳優魂は素晴らしい』と絶賛していたが、”大河に出る”というだけの”ステイタス”にとどまらず、”出る意味を持つ”俳優魂は素晴らしいと思う。良い死に様だった。

C又八は当時の成り上がり者?
又八は朱実とともに京へ行くと宣言。商人の才能をいかんなく発揮しているが、どうも大河の又八がカッコ良すぎて仕方ない。決して悪いと言っている訳ではないが、全て堤真一の存在感がそう思わせるのに違いない。それが内山理名演じる朱実とのバランスを崩している原因である事は否めない。今後又八はどうなるのだろう?原作では武蔵と対照的に描かれたが、大商人になるような気がしてならない。

D武蔵との糸が切れ掛かっているお通
柳生石舟斎とお通が再会した。お通は武蔵からの”一乗寺で鳥の声を聞いた”というメッセージを伝えるが、石舟斎が、”新免武蔵”という名前で覚えているのには疑問を感じた。確かにそうだが、原作では既に”宮本武蔵”だったはず。未だに持って解せない話だ。それでも、”わしを超えるのだ兵庫!先に逝くものを超えてこそ後を歩む者の意味がある”この言葉は良かった。是非、無刀取りの極意を兵庫助に伝授して欲しいし、そのシーンは必ず描いて欲しい。兵庫助が、石舟斎が自分の死期を分かってる事を知り、しばらく柳生に一緒にいてくれないか?とお通に頼むが、お通もこれを了承。武蔵とお通の運命の糸がここでプツリと切れた瞬間でもあった。

E共通点を作ろうとする努力
武蔵の家を訪れた児島備前が、武蔵と一緒に完成させた襖絵を見て泣いた。”お前の父から絵筆を取り上げて武者修行に出したのは間違いだった”と言ったが、三之助の父親は絵を描くのが好きだったらしい。その遺伝子を受け継ぐ三之助と武蔵が出会ったのも運命だったのか。でも、武蔵と伊織の接点を作ろうとするNHK側の意図が感じられた。これはある意味強引だが、努力と受け止めよう。

Fオリジナルキャラが分からない
あかね屋絃三が登場。突然、風魔小太郎だと名乗り出たが、おいおい!今さらなんだ!と突っ込みを入れてしまった。家康に恨みを持つ立場にいる事は分かっていたが、ここで本当の自分の姿をさらけ出すとは・・・。いくらなんでもいきなりすぎないか?その後、亜矢が宗矩から風魔とは何ものぞ?と調査するよう指令を受けた。風魔はあかね屋であると知った亜矢は必ず捕らえると答えたが、亜矢とあかね屋の対決第2ラウンドが始まった。正直言ってこの2人の存在感は筆者の中ではそれほど大きいものではない。相変わらず、このキャラを作った意図が分からない。

G強く見えたぞ!武蔵
祇園藤次とお甲が久々に登場した。そして、あかね屋とも対面。”俺は人を殺すのが目的だ”と言う藤次。その相手は武蔵ただ1人という並々ならぬ遺恨を感じた。その後、武蔵と再会した藤次は、武蔵に対して剣を構えた。一方の武蔵は、剣を捨てたと答え、無刀で構えた。どう立ち合うのか注目だったが、無刀の武蔵に対して藤次は勝負をせず。でも、とても武蔵が強く見えた瞬間であった。これは武蔵の内面が磨かれ証拠ではないか?前は役柄上強かっただけで、殺陣の未熟さ?から弱々しく見えた武蔵。しかし、今回は武蔵が頼もしく思えて嬉しかった。これからも強い武蔵を期待したい。

Hかわいそうな武蔵
お通の柳生滞在期間延長により、柳生兵庫助は、”少し遅れるが、お通殿を必ず江戸に送り届ける”という伝言を武蔵に届けるよう、木村助九郎に託した。木村助九郎は、指示通り武蔵の家を訪ねるが、”お通は当分帰れない””石舟斎様は兵庫助様と立ち合うほど元気”と誤った内容を伝えてしまった。ここが運命の分かれ道か?木村助九郎は、兵庫助を思う気持ちで、武蔵とお通を引き離そうとしているのだが、人の手によって引き離されるとはなんともかわいそう。武蔵も寂しそうな顔をしていたが、今後、武蔵とお通はどうなるのか?

【来週の展望】
来週は動きが見られそうだ。剣の道を離れた武蔵を、時代は放っておかなかったようだ。武蔵が再びどう剣を握るのか?今後の展開に期待したい。

第29回 「小次郎動く!」(7月20日放送)

【物語】
お通(米倉涼子)が柳生へ出かけ、ひとりになった武蔵(市川新之助)は家の襖(ふすま)に武蔵野の絵を描き始める。 又八(堤真一)は古着を京で仕入れて江戸で売る商いを思いつく。そして、朱実(内山理名)に湯女(ゆな)をやめさせて、一緒に京へ向かう。 小次郎(松岡昌宏)はお篠(宮沢りえ)と暮らし始める。2人の生活のために、小次郎は細川家に仕官の口を求めていた。 その頃細川家は、当主・忠興側と徳川家康が跡継ぎにと推す忠利側に分かれ対立していた。細川家重臣・岩間角兵衛(寺田農)から、その内情を聞いていた柳生宗矩(中井貴一)は、小次郎が仕官を求めていることを聞き、将軍家指南役の小野忠明(林邦史朗)と立ち合わせることを画策。宗矩は自分のライバルと小次郎を戦わせ、どちらが負けても邪魔者が減るとの思いからだった。小次郎は小野を倒し、角兵衛の推薦で細川家に仕官することになる。 一方江戸の町では、大山軍学所の跡継ぎ・余五郎(宮内敦史)が酔って弥次兵衛(哀川翔)の人足の曲尺(かねじゃく)を踏んで揉め事になり、稚児の小六(永堀剛敏)を斬ってしまう。弥次兵衛はお咎(とが)め覚悟で城の普請に人足を出さないことを決断。そのため奉行所に連れて行かれる。 ある日、武蔵はけんかをしている子供たちの中に、旅の途中に出会った三之助(小池城太朗)を見つけ、引き取って一緒に暮らし始める。

【牛嶋のズバリ解説】
今週は、久しぶりに入稿が遅れてしまった。いつもは剣持氏が入稿する前にUPしているのだが、剣持氏の原稿を先に読んでからの執筆となってしまった。だからと言って内容に変化がある訳ではないが、後から書くと、『剣持さんはそう思ったんだ。俺はそうは思わないなぁ〜』と思ったり、実に書きにくいという事が判明した。だから、これからはなるべく早く入稿するようにしよう。わははは。さて、そんな中で解説いきましょう。

@運命の時
さて、今週は武蔵が子供達に読み書きを教えて平穏な日々を送っている姿からスタート。関ヶ原の残党が処罰されたという世間の噂話にも耳を傾けず、『私は戦とは関りのない者です』と言い切った武蔵。相当武蔵の意識が変わったと言える。その差別化が図れた演出はとても良かったと思う。そんな中、お通は柳生石舟斎の見舞いに行って不在。これは原作になかったシチュエーションだが、これがお互いの運命を変えるような気がしてならない。

Aやっと武蔵を笑わせたNHK
以前、NHKのスタジオパークに市川新之助さんが出演した時、”後半の武蔵は笑う”と予告していたが、それが今回だったとは。その決定的瞬間は、又八が武蔵の家を訪れた時だった。『タケゾウ!』と呼びかけられ、『又やんか・・・』と答えた武蔵。その笑い顔はとても良く、心から笑っている様子が伺えた。『又やんがいなければ、俺とお通は笑う事を知らなかったのかもしれない』と言っていたが、やがて細川家の客分となる武蔵の表情が、今後どう変わっていくかは要チェックかもしれない。それはそうと、あれほど感情が表に出なかった新之助武蔵だが、これだけの顔が出来るとは!新之助さんも心から武蔵を演じているようだ。何かと口調が気になると非難された武蔵だが、制作サイドは、全ては”武蔵が笑う瞬間”を目指して、世間の批判に耐えてきたのではないだろうか?

B時代劇らしいぞ
細川家重臣・岩間角兵衛が登場。演技派の寺田農さんが演じるのは嬉しい限りだが、宗矩役の中井貴一さんとのやりとりは、”これぞ時代劇!”を感じさせた。細川家の対立という濃いストーリーというのもあるが、何よりも2人の演技力がそうさせたのだろうと思う。”大河はホームドラマ”と言われるが、”時代劇”であるのも事実。その辺りを生かさないでなんとなる!そう、筆者は思うのだが、いかがだろう?

C芸術家武蔵
お通のいない間ひたすら絵を描く武蔵だが、芸術家・画家としての武蔵も徐々に表現されるようになってきた。今回は武蔵が死ぬまで描くという事だから、その辺りもしっかり今後は描いて欲しいと思う。

D女の力は凄い
小次郎とお篠が一緒に暮らし始めた。こう簡単にいくもんだろうか?と思うが、まぁそれはいいとしよう。それと、小次郎の衣装が少し派手になった。剣持氏曰く、”柄が白糸巻き”という事だが、スキルアップした感じで筆者は良いと思った。それと、これまで何を考えて生きているのかが不明確だったが、小次郎は仕官を求めている事が判明。全てはお篠との生活のためだが、女の力は凄いものだ。

Eキャスティング難しい
のちの細川藩主である細川忠利が登場した。登場はとても嬉しいが、演じる俳優の風貌と演技を見て、『ん?』と拍子抜けしてしまった感は否めない。出来れば、もっと名のあるカッコ良くて存在感ある俳優を起用すべきだったと思う。失礼!北大路欣也さんが演じた『それからの武蔵』では橋爪淳が演じていたが、あれはハマリ役だったと思う。巌流島以後の武蔵に大きくかかわる訳なので、しがらみ抜きでキャスティングすべきだと思う。でも、芸能界の実情を考えると無理な話か。

Fどうして養子になるのか?
武蔵が江戸へ向かう途中で出会った三之助と再会。いずれは武蔵の養子伊織になる訳だが、この部分では武蔵がなぜ養子にしたのかがポイントだと思う。1人苦しむ三之助に、かつての自分の姿を見たのか?三之助を抱きしめた武蔵だが、三之助がきっかけで巌流島の戦いが行われるという展開は気になる。

Gいいぞ、ナレーター
番組のナレーターは、俳優の橋爪功さん。前にも指摘したが、橋爪功さんのナレーションが多いのはとても良い事。俳優さんとしてとても存在感をある訳だし、何よりも説明があると全然楽しみ方が違う。今後も是非増やして欲しい。

【来週の展望】
柳生石舟斎が死ぬようだ。それによってお通は?一方、武蔵もこのままの生活からどう変化するのか?見所だ。それはそうと、なぜ長岡佐渡が出て来ないのだろう

第28回 「つかのまの愛」(7月13日放送)

【物語】
お通(米倉涼子)の病が治ってから数か月が過ぎた。武蔵(市川新之助)はお通と2人で、近所の子供たちに読み書きを教えながら、生まれて初めての平穏な日々を過ごしていた。 その頃、江戸・柳生屋敷には兵庫助(高嶋政伸)がいた。宗矩(中井貴一)は武蔵を屋敷に呼び兵庫助に引き合わせ、徳川秀忠(中村獅童)の御前で、かつて闘った胤舜(浜田学)との立会いをさせる。修羅の道をくぐりぬけてきた武蔵は、胤舜に簡単に勝利する。秀忠は武蔵に柳生の師範代を命ずるが、武蔵は断る。沢庵(渡瀬恒彦)も武蔵に仕官を勧めるが、武蔵は、剣は人に教えるものではない、自分は今のこの暮らしを大事にしていきたいと告げる。この成長した武蔵の言葉に心を動かされた沢庵は、江戸を去り再び流浪の旅に出ることを決意する。秀忠の前で恥をかかされ、また沢庵をも失わせた武蔵を宗矩は苦々しく思うのだった。 兵庫助がかつてお通に思いを寄せていたことを知った宗矩は、お通を兵庫助とともに石舟斎(藤田まこと)を見舞いに柳生へ行かせることを画策。兵庫助は武蔵も共にと誘う。お通は悩むが、武蔵は石舟斎への恩を感じてお通1人を行かせる。 一方、商いが大きくなりつつある又八(堤真一)は湯女(ゆな)になっている朱実(内山理名)を見つけ……。

【牛嶋のズバリ解説】
今回も鎌田敏夫氏のオリジナルストーリー。お通が石舟斎の見舞いのために柳生に行く話は原作にもあるが、状況や展開の仕方が違うので、オリジナルと捉えていいだろう。今年の大河は巌流島以降の武蔵も描くという事で、これからはオリジナルが多くなる事と思われる。しかし、オリジナルこそ今年の大河の見せ所。原作を無視するのなら、徹底的にオリジナル部分に力を注いで欲しいと思う。

なお、放送業界にいる筆者だからこそ言うが、当初は全てオリジナルで行く予定だったのではないかと思う。それが、いろんな”しがらみ”の中で吉川英治氏の原作を使わざるを得なかったのではないかと推察する。実は筆者も経験があるのだが、我々若い制作陣が『こうしたい』と思っても、最後に制作決定権を出す上役がOKを出さないと決まらない事があるのである。よって、考えていたものと全く違う設定になってしまうという例も結構多いのだ。冒険を試みる若手社員と保守的な上役・・・これはどこの会社にもあると思うが、放送業界でも同じなのである。ましてや天下のNHK。国民的文学と言われる吉川英治の宮本武蔵を無視してのオリジナルストーリーは、武蔵像を大きく変えてしまうのではないか?オリジナルで視聴率が取れるのか?そう思われても仕方がないのである。これに対して『当初からの方針に全く変わりはありません』と言われればそれまでだが、原作の設定をことごとく変え、オリジナル部分に重きを置く所から筆者はそう推察したのだが、みなさんはどう思われただろうか?さっ、それでは今週の解説にいきましょう。

@微笑ましかった
今回は先週から1ケ月後という設定で始まった。お通も正気を取り戻し、武蔵と近所の子供達に読み書きを教えながら幸せな生活を送っていた。吉川武蔵を愛してやまない筆者からすると想像もしない展開だったが、武蔵が子供を抱き抱え、大声を張り上げて子供達と接している姿はとても微笑ましく思えた。先週から表情が出てきた武蔵だが、やはり表情が出ているのは良い事だ。でも、気になったのは『俺はタケゾウだ!そう思え』とお通に告げた事。思わず、おいおい・・・とテレビに向かって突っ込みを入れた筆者だが、設定上今は仕方がないのかっ。

A嵐の前の静けさ
『子供達と一緒にいるだけで楽しい。何事にも変えがたい幸せ』と言わせるほど、生まれて始めて平穏な日々を送っている武蔵とお通。このまま2人が夫婦になったら巌流島の対決もないのかと・・・余計な心配をしてしまった筆者だが、その平穏な生活も”天下の宮本武蔵”を世間は放っておかず。仕官話や佐々木小次郎を倒すために助太刀して欲しいと言われる始末。嵐の前の静けさだ。

B胤舜の立場がない
柳生四高弟の1人である木村助九郎が”柳生家に来て欲しい”と武蔵の元を訪れた。それに応えて再度柳生宗矩の屋敷を訪れた武蔵だが、なんと!そこには宝蔵院の胤舜の姿が・・・。武蔵と再び立ち合うために胤舜が柳生宗矩に頼んだらしい。一旦は断る武蔵だが、2代将軍徳川秀忠の命令で胤舜と再び立ち合う事に。『あの時の俺と思うなよ』と、お互い言い合う中で勝負が始まったが、勝負はあっさりしたものだった。武蔵は木刀を手に二刀の構えで胤舜の槍をはたいてしまった。二刀流はすでに完成したのか?いずれにしても恐るべき成長を果たした武蔵を見る事が出来た。しかし、浮かばれないのは胤舜である。原作では立ち合ってない両者だが、これで2連敗である。武蔵の強さを改めて知る事が出来たが、胤舜の立場がないと思うのだが・・・。それはそうと、市川新之助の殺陣には相変わらず迫力がなかった。殺陣が下手なら、下手なりにもっとうまく撮れると思うのだが・・・。なお、今回から徳川秀忠役で中村獅童が初登場。なかなか良い味を出していた。

C仕官出来た武蔵
胤舜との闘いぶりから、『柳生家に仕えろ』と言われる武蔵だが、修羅の道を歩んできたから教える事は出来ないと断ってしまう。前にも書いたが、原作では徳川家の兵法指南役の面接を受けに行く武蔵。仕官するつもりなど全くなかったが、沢庵に諭され渋々受けに行ったのだ。しかし、一乗寺で子供を斬った事から『この話はなかった事に』と言われる始末。『なんだ!仕官出来るじゃないか』とまたまた1人突っ込み。でも巌流島以後、細川忠利によってどのように迎え入れられるのか楽しみだ。

D武田信玄を思い出した
柳生兵庫助が江戸の柳生宗矩の屋敷に登場。兵庫助は宗矩に石舟斎の元を訪れるよう頼むが、『家康から秀忠の時代になる今、江戸を離れる事が出来ない』と断った。また、『柳生新陰流を兵庫助に継がせる』という伝言も伝えに来たが、『新陰流よりももっと大きなものを手に入れたい。いつまでも剣術指南役に留まるつもりはない』と答えた宗矩。その並々ならぬ野心が伺えた。これまで事あるごとに、父親である柳生石舟斎とぶつかってきた宗矩だが、その野心は”一介の田舎侍”というコンプレックスがそうさせたのだという事が、妻おりんを目の前にして明らかになった。武蔵を仕官させようと思った宗矩だが、思った事が叶わない苛立たしさに、人間的な部分を垣間見る事が出来て良かったと思う。それはそうと、中井貴一の演技を見て、かつての大河ドラマ”武田信玄”を思い起こしたのは筆者だけではないだろう。思えば、武田信玄を中井貴一が演じる事を知った時、『イメ−ジと違う』と否定的な目で見たのだが、中井貴一の演技力と存在感から、”中井貴一こそ武田信玄の生まれ変わり!”と思わせたものだった。以来、筆者は中井貴一の大ファンになったのは言うまでもない。中井信玄のビデオを全話持っているが、久しぶりに見てみようかなぁ〜と思った。

Eお杉のキャラも危ない
又八が湯女になっていた朱実と再会した。相変わらず又八と朱実のからみぐあいがしっくりいっていなかったが、今さら言っても仕方がないので諦めるとしよう。それと、武蔵が又八の母お杉の元を訪れたが、権六が病に倒れて必死に看病していた。武蔵に対する恨みは相変わらずあるようだが、中村お杉にパワーが感じられなくなったのには残念だ。存在感もなくなってきている。お杉の再浮上はあるのか?それと、権六を演じる谷啓が、実は中村錦之助の”宮本武蔵”に出ていた事を知ってる人はどれほどいるだろうか?

Fやっと報われた沢庵
仕官を断った武蔵の前に沢庵が現れた。沢庵は『世の中に出て行く事も大切な事。仕官を頑なに断ると、生きる道を狭めてしまう』と助言するが、『今の暮らしが大切。これまで人とともに生きた事がなかった』と沢庵に告げる。さらには、『和尚に禅の心を教わった。和尚に言われた事が身にしみた。和尚には人の心を揺るがす力がある』と沢庵を師匠と仰ぐようなコメントが発せられた。これまでは様々な場面で遭遇してきた武蔵と沢庵だが、はじめて師匠と弟子のような関係が築けたような気がする。沢庵も報われたのでは?

G無意味なシーン?
あかね屋絃三が柳生石州斎の元を訪れた。鳥の声を聞き、風の音を聞けば・・・などというやりとりがあったが、この2人がからんで何か生まれるのか?大いに疑問を持った。それと、あかね屋が死を思わせるコメントをしていたが、またひともんちゃくがありそうだ。

H『私を行かせたいの?』には笑えた
お通は、石舟斎が病気で、お通に会いたがっているという事を知る。見舞いに行きたいが、武蔵を1人残して行く訳にもいかず、『タケゾウが一緒に行かないのなら柳生に行かない』と答える。しかし、『一生悔やむ事になるぞ』とお通を説得する。その際に『タケゾウ、私を行かせたいの?』というお通のセリフがあったが、この時代における男女のやりとりとは思えず、良い意味で笑ってしまった。武蔵はお通に、『石舟斎様に”一乗寺で俺は鳥の声を聞きました”と伝えて欲しい』と授けた。これも意味不明な感じがしたが、どこでどうつながっていくのか注目だ。

I来週に期待?
今回の最後は、お通が兵庫助と一緒に柳生に向かうシーンだった。そして、それを優しい顔で見送る武蔵。その際に橋爪功のナレーションで、『この時2人は、運命が再び引き裂こうとしている事を知るよしもなかった』とあったが、次回以降に期待を持たせるカタチで終了したと思う。今回はなかな面白かったと思う。

【来週の展望】
来週は小次郎がメインになるようだ。小次郎は琴亡き後はお篠と暮らすらしい。そして、細川家への仕官話が・・・。それと、”将来の宮本伊織”こと三之助も登場するらしい。

第27回 「再会! 武蔵とお通」(7月6日放送)

【物語】
武蔵(市川新之助)は江戸で又八(堤真一)とめぐり合い、お通(米倉涼子)が又八の家で正気を失って暮らしていることを知る。お通は武蔵を見て怖がるが、又八は武蔵に「お前しかお通を元に戻せない」と家を明け渡す。 又八は干物でもうけたことで目をつけられ、役人に捕まるが、金をとられて赦免されると、もっと大きな商いをしてみせると言い放つ。 お通は隣のさと(鷹家昌子)の家にとりあえず厄介になり、武蔵はお通のために子供のころ美作で食べたものを作ってさとに託し、お通に食べさせようとするが、なかなか食べてもらえない。武蔵はお通の心がわからないと悩む。 一方、遊女となったお篠(宮沢りえ)は小次郎(松岡昌宏)と再会。小次郎は琴(仲間由紀恵)に「江戸を離れる」と告げる。琴は小次郎の心の乱れを感じ、お篠に直接会いに行き額の傷を見せる。だが、お篠に「自分を哀れむというのは女の一番陥る過ち」とはっきり言われてしまう。お篠の小次郎に対する強い気持ちを知った琴は。

【牛嶋のズバリ解説】
今日もハイビジョンで地上波より2時間早く見た。もちろん夜8時からの地上波でも見たし、毎回録画もしている。さんざん”原作と違う!脚本が悪い”と厳しい事を書いておきながらも、やはり武蔵が好きなのだと思った。正直言って今年の大河には、大いに不満がある。しかし、そんな中でも”これぞ武蔵!”というわずかなシーンもある訳で、それを見たいがために見ているのかもしれない。いずれにしても、”新しい武蔵像”と捉えて、最後まで見守りながら見ようと思う。そんな訳で今回からなるべく非難は避けたいと思っていたが、今回の物語は、その筆者の気持ちを訂正させる内容だったのが残念だ。筆者なら・・・という意見が多いかもしれないが、書かせてもらおう。なお、今回は鎌田敏夫氏のオリジナルストーリー。解説というよりは感想になっています。

@鬼太郎のおやじ?
舞台は江戸。又八が武蔵の元を訪ねてくる場面からだった。いきなり又八が『タケゾウ!』と呼んだのは鬼太郎のおやじのマネか。ちょっと悪ふざけしすぎではないか?でも、これも堤真一の演技がうますぎるから、そう感じるのだろう。又八は、お通がずっとタケゾウを捜していたと武蔵に告げる。武蔵をお通の所に連れていくが、一乗寺の決闘の事が頭から離れないようでお通は武蔵に近づこうとせず。正直言って今頃一乗寺を出すなよ!というのが筆者の感想。武蔵を捜すために江戸に向かったのは一乗寺の後のはず。一乗寺、人は1人で生きていけない・・・何が関係あるのだろうか。

A沢庵は武蔵にとってどんな存在なのだ?
又八は、『お通を正気に戻せるのはタケゾウしかいない、美作のタケゾウに戻ってやれ!』と指示した。そして、必死にお通を正気に戻そうとする武蔵。しかし、武蔵にはどうすればいいのか分からない。そんな中、沢庵が登場。どうしていきなり沢庵なのだ!と、見ていて突込みを入れてしまったが、沢庵の存在が今イチ薄いだけに、今回は『おおっ、御坊!助かった!』という感じでもっと大事に扱うべきだったのでは?沢庵は、『御仏が試練を与えてくれたのだ。人の気持ちを分かってやるのは難しい事ではない。己を捨てて考えてやればいい。相手の心をそのまま受け止めてやればいい。剣の道も人の道も同じ事。お通を治してやる気持ちよりも、ただ愛しいと思え!』と助言。武蔵は悩むが、誠意を込めてお通に接する。美作の味をと粥を作り、徐々にお通の心がとぎほぐれてきたが、”沢庵のアドバイス=武蔵の行動”これがあまり結びついたカタチで表現されなかったのが残念だ。でも、料理人武蔵が出たのは新鮮だった。

B何を謝りに来たのだ?
又八が、商いが大きくなった事で奉行所に連れていかれた。又八は金を取り上げられて釈放されるが、このシーンに何の意味があったのだろう。武蔵とお通を2人にするためのブレイクのためか?でも、ドラマの中でも言っていたが、又八は商いに向いているようだ。このまま商人になるのか?それはそうと、釈放された後、『又やんに謝りに来た』と武蔵は言うが、いったい何を謝りに来たのか内容が結局出なかった。残念!

C納得いかない琴の行動
小次郎が琴に、江戸から離れる事を告げた。江戸に飽きたと言う。江戸にいなければならない理由はないとも言う。じゃあ、なぜ江戸に来たのか?先週も書いたが、小次郎の目的が分からないのが残念だ。琴はお篠の存在があるからだと、琴はお篠に会いに行く。お篠は江戸から去ると告げるが、琴は、小次郎とお篠に、強い結びつきがある事を悟って、自殺を図った。『なぜだ』と小次郎は悲しむが、小次郎以上に『なぜだ!』と思ったのは視聴者では?というのも、琴が死ぬ理由が”失恋した悲しみ”以外に見つからないのだ。これなら、古い恋愛ドラマの展開。その謎は、琴の遺書があったのですぐ解けたが、その理由を筆者はどうも理解出来ない。確かこんな件りだった。『小次郎さまと離れる時は琴の死ぬ時。お篠殿への小次郎さまによる思いを感じた。小次郎さまが幸せにする人はお篠殿である。私の幸せをあの方にあげてください。これは、わたしの恨みではありません。望みでございます』。おいおい、こんな事を言うヤツがこの世の中の何処にいようか?これなら、失恋の悲しみから自殺を図った設定にした方がまだましだった。鎌田敏夫氏が書いたとは思えない。

D馬鹿正直な小次郎
琴が死ぬやいなや、小次郎はお篠の所に行き、『身請けしたい』と申し出る。おいおい、琴の気持ちに応えるのもいいが、あまりにも馬鹿正直ではないか?とまたまた突っ込み。小次郎は、『琴の頼みなのだ。琴が命をかけて託して言った事なのだ』とお篠に言う。あまりにも素直すぎないか?篠も良い迷惑だと思うが・・・。カッコ良い男なら、『わしは生涯、妻を持たぬ。わしの妻は琴以外にあらず』と言うと思うが・・・。小次郎よ、何処へ行く!鎌田脚本よ!どうするのだ!

Fめでたしめでたし?
番組最後にはお通が正気に戻った。タケゾウ・・・と口を開くお通。笑顔も見せた。それに対して武蔵も号泣。抱きしめ合った・・・。めでたしめでたし・・・なのか?剣豪宮本武蔵が、人に対して優しくなれたという事を描きたいのだろう。

【来週の展望】
来週は新たな展開になりそうだ。武蔵が普通の人に戻る姿が見られるらしい。そして、あの宝蔵院の胤舜と再び立ち合うらしいが、あっさり勝ってしまうようだ。こうなると胤舜の立場がないと思うが・・・。オリジナルは大いに結構。原作との比較をするつもりもない。しかし、視聴者に『そりゃ、ないぜ・・・』と思わせたら最悪ではないかと思う。

第26回 「柳生の誘い」(6月29日放送)

【物語】
江戸に着いた武蔵(市川新之助)は、尋ね人の似顔絵を書いて又八(堤真一)を捜し始める。普請場を回っていると、武蔵の高名を知る伊達家の家老・石母田外記(沼田爆)に出会い、伊達政宗(西村和彦)が会いたがっていると言われる。 政宗と会った武蔵。政宗は武蔵に仕官を勧めるが、武蔵は断る。 また、柳生宗矩(中井貴一)も亜矢(寺島しのぶ)から、武蔵が政宗の誘いを断ったこと、父・石舟斎が武蔵を宗矩に似ていると言っていたことを聞き武蔵に会いたいと思う。2人は正式に対面する。宗矩は武蔵にこれからの武士は剣を捨てて徳川の世を支える石垣の石にならねばならないと言い、柳生家への仕官を勧めるが、武蔵はこれも断る。 名だたる家に招かれた武蔵の噂を聞いた又八は、二人の間に開いた人生の差を感じるのだった。そして、武蔵の名を聞くとおびえるが、いつか正気に戻ったら武蔵の元へいくであろうお通(米倉涼子)をやりきれない思いで抱きしめた。そこへ、武蔵が描いた又八を探す貼り紙を持った朱実(内山理名)が現れる。 一方、小次郎(松岡昌宏)は遊女となったお篠(宮沢りえ)を身請けしようとするが、お篠はそれを拒否し、自らルソンに。

【牛嶋のズバリ解説】
江戸に着いた武蔵。又八を探すが、その本当の意味がよくわからない。なぜ又八に会いたいのか?それが今後の物語に何か重要なモノが隠されているのか?明らかに説明不足だと思うし、無駄な回を増やしている感は否めない。さて、今週の解説いきましょう。

@伊達政宗をしっかり描いて欲しい
久々に伊達政宗が登場し、武蔵と政宗のツーショットが実現した。それにしても2人の出会いはあまりにも強引すぎたと思う。武蔵は又八を捜すために江戸を練り歩くが、偶然にも伊達政宗の家臣の石母田外記に会う。そこで”宮本武蔵”と名乗った事から、伊達政宗に会う事になった。政宗は、武蔵が原田休雪とともに黒脛巾衆と立ち合った事を知っていて、以前から会いたがっていたらしい。政宗は武蔵を気に入り、仕官するよう勧めるが、武蔵は『人を捜しに来た』とあっさり拒否。天下の剣豪が、なんとも寂しい返答をしたもんだなと思った。これでは、お通の『人は1人では生きていけない』というセリフと一緒ではないか?あの鎌田敏夫氏の脚本とは思えないが、”東北の暴れん坊”伊達政宗というキャラクターをわざわざ出したからには、今後も何かとからんでくるものと思われるし、からんでもらわないと困る。前半ではキャラクターの良さをことごとく殺してきたので、”筆者の大好きな武将”伊達政宗はしっかり扱って欲しいものだ。

A語りはもっとあってもいい
今週は伊達政宗登場を受けて、”支倉常長をローマに派遣したのは謀反であると疑惑が残った・・・”という橋爪功の語りが入っていたが、こういう説明はもっとあってもいいのではないかと思う。前半は語りが少なく、視聴者を戸惑わせた点が多々あったが、映像で描ききれない部分や、視聴者に誤解されかねない部分は絶対に説明を入れるべき。もちろん、視聴者に考えさせる事も時には必要だが、あまりも今年の大河は視聴者に考えさせすぎだ。というより、説明不足といった方がふさわしいかな?後半は”視聴者に親切な作り”を望む限りだ。

B宗矩が巌流島以後のライバル?
かつて石舟斎に仕えていた亜矢が、江戸の柳生宗矩に仕える事になった。これは先週の放送で描かれていたが、それでも亜矢を手のうちに入れる石舟斎の懐の深さは見事である。これは良い設定だと思う。仕えるなやいなや、宗矩に宮本武蔵の情報を流した亜矢。そして政宗に続いて宗矩も武蔵に会いたいと言う。関ヶ原の時に瞬間的に会っている2人だが、顔を合わせて話をするのは今回が初めて。宗矩も政宗同様に仕官を勧めるが、NHKによると宗矩は武蔵の巌流島以後のライバルになるらしい。事実、宗矩は武蔵が仕官を断れば敵になると告げられたが、この2人、なんかつりあいが取れてないような気がするが・・・。会話が軽すぎるのか?どう見てもライバルになりえない気がするのだが・・・。

C迷惑な話?
武蔵は又八の絵を描いて浅草寺付近に貼った。絵の方もなかなかと褒められたが、武蔵の芸術家としての一面が見え出した。しかし、犯人ならいざ知らず、ああいう手法で人捜しされる又八にとっては迷惑な話だと思うが・・・。

D小次郎は女性ネタしかないのか?
小次郎が遊女となったお篠に”お前を女郎にはしておけん”と身請けしようとした。しかし、お篠はそれを拒否。そして、小次郎と離れるためにルソン行きを決意した。それはそうと最近の小次郎ネタは、いずれも女性がらみばかりのような気がする。確かに原作でも女性ネタが多いのは確かだが、今何を考えて生きているのかが不明確である。原作のように仕官がしたいのか?それとも何も考えてないのか?それは全て、女性ネタしか描かれていないからである。9月に巌流島の闘いを放送するそうだが、このままだと小次郎キャラも消しかねない頑張っている松岡小次郎を殺すな!

Eあかね屋はなんなんだ
奈良井大蔵ことあかね屋絃三が又八の元に現れた。又八が家康暗殺に失敗した後、すぐ登場するのかと思ったが、ずいぶん遅い登場となった。普通は失敗した又八の元を訪れ真っ先に命を狙うと思うが、ちょっと間延びした感は否めない。それに家康暗殺という大それた命令にもかかわらず、又八にあっさり反抗されるなど、家康暗殺をあまりにも軽く扱いすぎている印象がある。又八はもっと恐がるだろうし、それより何よりも、奈良井(あかね屋)はもっと恐いキャラのはず。役所武蔵の奈良井は、謙虚で、それでもって目が鋭くて、それはもう本当に恐かった。江守徹はとても良い俳優だが、あれでは不気味さもなく、ヘンな口調で話す訳の分からないキャラになってしまっている。

Fあかね屋と亜矢は今後どうからむ?
亜矢があかね屋と対立。忍びらしいハイテク殺法?で引き分けに終わるが、あかね屋の存在も薄くなっているような気がする。亜矢も武蔵に恋こがれるようになるらしが、それをどう生かすか注目したい。

Fお通をどうするんじゃ
お通がおかしい。又八の所に厄介になるものの言葉も発せず、ノイローゼ状態だ。何を考えているのか?それとも本当に記憶喪失になってしまったのか?お通のイメージをことごとく変えるNHKの方針は単なる嫌がらせかっ。

Gかわいそうすぎる
前にも触れたが、朱実のキャラが死んでいる。今回も最後にチョイ役状態。かわいそうで見ていられない。妹キャラが今後どう又八の心を動かすのかも疑問だ。後半に突入して、絶対に全体のキャラの生かし方を間違えていると強く感じてしまった。

【来週の展望】
来週は武蔵と又八が対面。『人を捜しに来た!』と大々的に言っていた武蔵。次の目標は?

【雑学】
ここ最近はNHKハイビジョンで、地上波より2時間早く見ている著者だが、ハイビジョンでの放送が終わったら武蔵クイズなる番組を放送している。今回は、岩国を訪れた際に吉川英治が泊まった宿の仲居さんが”お通”という名前だったという裏話が放送されていた。

第25回 「お通の涙」(6月22日放送)

【物語】
武蔵(市川新之助)は江戸へ向かう途中、泥鰌(どじょう)を捕っている三之助(小池城太朗)という少年に出会い、泥鰌を分けて欲しいと頼むが、父親に食わせるものだからと断られる。 その夜、偶然、軒を借りようとした家に、三之助とその父親の亡きがらを見つけた武蔵は、埋葬を手伝う。その後、自分のあとを付いてくる三之助を心配した武蔵は、親戚の家まで送ると言うが、三之助は断り姿を消してしまう。 一方、江戸の又八(堤真一)の家で、お通(米倉涼子)は正気を取り戻せずにいた。又八は干鰯を売る新しい商いに自分の道を見出しつつあった。また、お通を連れていった風呂屋で、又八は下働きをしている朱実(内山理名)を見つける。 小次郎(松岡昌宏)は、半瓦弥次兵衛(哀川翔)から、蓬莱屋という店に小次郎を知っている遊女がいると聞く。それは花桐と名乗るお篠(宮沢りえ)だった。柳生の里。亜矢(寺島しのぶ)が、江戸にいる宗矩(中井貴一)に忍びの腕を買われ、石舟斎(藤田まこと)のもとを去って行く。石舟斎は兵庫助(高嶋政伸)に柳生新陰流の技を伝え、徳川の権勢の中で生きて行こうとする宗矩に、一本の太刀の強さを知らせたいと思っていた。

【牛嶋のズバリ解説】
今回から後半がスタートした。前半は期待を大きく裏切られただけに、後半の巻き返しに期待したい。でも思えば今年の大河はもう半分が終わった事になる。もうそんなにやったのかと寂しい気もするが、毎回毎回視聴者の怒りを買う意味では、印象に残る大河?になるかもしれない。ここ数週間のNHKは、視聴率回復のために様々な努力をしているのが見受けられる。タイトルバックを変えたり、ナレーション部分を多くしたり・・・。それが功を奏すであろうか。さぁ、それでは後半一発目の解説いきましょう。

@武蔵が、よりカッコ良くなった
今回は武蔵が江戸に歩を進める所から始まった。その姿は以前より凛々しく見えたのだが・・・。道中で、どじょうを捕っている三之助なる少年と出会うが、少年に話しかけた口調は自然でとってもよかったと思う。それに、後半にしてようやく”宮本武蔵”としての風格も身についたように見受けられた。前半の武蔵には表情が全くなかたのが、今後は落ち着き払った上で表情のある武蔵に期待したい。

Aのちの”宮本伊織”三之助登場!
武蔵が江戸に向かう途中で、三之助なる少年と出合った。どじょうを捕り、死んだ父を刀で切り刻んで運ぶ・・・などの話は原作にある話である。しかし、それは下総の法典ヶ原での話で、その少年はのちに武蔵の養子となる伊織であった。武蔵は孤児となった伊織を弟子にし、鍬を持つことで剣の道を探ろうと、しばらくの間剣を措き、百姓として暮らすことになるが、今回の大河では設定を変えたようだ。三之助が伊織なの?と大いに疑問を持ったが、裏情報で三之助が伊織になる事が判明。今後どう武蔵とかかわっていくのか?武蔵がなぜ養子にしたのかなどもしっかり描いて欲しい。子供ながら、武蔵の気配を察したり、剣術の腕があるのも今後ポイントになるのでは?それはそうとう、城太郎役の三浦春馬くんといい、大河に出る子役の演技がうまいぞ。なお、のちの宮本伊織は滝沢秀明が演じるらしい。

B狂ったお通
又八に助けられたお通だが、精神状態がおかしい。一種の記憶喪失状態なのか、又八を見ても何の表情も出さず、お杉を見て『かか様!』と詰め寄る始末。まさに狂ったお通と言わざるをえない。『人は1人では生きていけない』というのを伝えるためだけに武蔵を探すお通にしてはドラマチックすぎると思う。これでは廃人寸前。今後、又八、武蔵と3人で暮らすらしいが、お通と武蔵の関係が線でつながってない気がしてならない。このままでは武蔵がお通に再び巡り合えても意味のないシーンになりかねないのでは?お通の描き方を間違えている気がしてならない。

C小次郎の目的は?
半瓦弥次兵衛の所で剣術指南をしている小次郎。弥次兵衛に『先生!』と呼ばれるなど、表情にも”小次郎”としての風格が出ている。大山勘兵衛の門人北見新蔵を『お前は怯えている。俺には勝てない』と、余裕でかわしたのも小次郎たる所以。今回は遊女となったお篠と再会したが、原作の小次郎も女性がらみの話が多い。男前ならではか?個人的に、今後琴とはどうなるのか?と心配してしまった。琴の幸(さち)薄い顔がそれを物語っている。それはそうと、原作では細川家への仕官願いを出して、仕官したいという野心がありありだった小次郎が、大河では何を目的に生きているのかが今イチはっきりしないが・・・。

D堤又八の功罪
堤真一演じる又八が良い。何度も書いてきたが、今回の大河において唯一、キャラ設定がしっかりしているのではないだろうか?本来ならもっと情けないキャラなのだが、コンセプトがしっかりしない中でうまくバランスを保ち、今回の大河は又八にずいぶん救われているような気がする。しかし、堤又八がしっかりしているせいか、朱実のキャラが弱くなってしまっているのも確かだ。今回のやりとりを見ても朱実は完全に又八の妹キャラ。朱実は堤真一と対等に近い女優を起用すべきだったと思うが・・・。なお、内山理名を責めている訳ではないのでご了承頂きたい。

E柳生のいざこざ
柳生宗矩が悪人のように描かれている。それは父・石舟斎との対立が根底にあるが、このいざこざがどうストーリーに影響するのだろうか。それはそうと、石舟斎が兵庫助に柳生新陰流の技を伝えていたが、柳生新陰流とはなんぞや?がしっかり描かれていなかったのが残念だ。確か原作では、石舟斎が死ぬ間際に、兵庫助に無刀取りの極意を伝えたが、もっとドラマチックに描いても良かったのではないかと思われる。しかも、柳生仕様の”スポーツチャンバラ剣”を使ったのでは説得力と迫力に欠けると思うが・・・。

【来週の展望】
来週は伊達政宗が出るようだ。武蔵と政宗は歴史的にも何の共通点もないが、戦国武将の誰かとリンクさせたいという願いから、伊達政宗に白羽の矢が立ったのでは?NHKの強引さが感じられて仕方がないが・・・。でも、”生まれてくるのが遅かった名君”と言われ、徳川政権の元でも天下盗りの野心を捨てなかった政宗だからこそ、適役なのかもしれない。それから、柳生宗矩とも対面するようだ。武蔵の”後半のライバル”という設定らしいが、

第24回 「蘇る!戦いの日々」(6月15日放送)
【物語】
武蔵(市川新之助)は江戸への旅の途中、病に冒され洞窟で寝こみ高熱にうなされる。 一方、江戸では、お通(米倉涼子)が行き倒れていたところを、偶然又八(堤真一)に助けられ、又八の家で、お通もまた、夢にうなされる。 2人はそれぞれの夢の中で、関ヶ原の合戦の後、故郷の宮本村を出て、姫路、京都、柳生、京都での吉岡一門との戦い、そして江戸へとたどってきた今までの道のりを振り返る――。 武蔵、お通、又八が再び一か所に集まって新たな展開を見せる次回からの「江戸編」を前に第1回の野盗との戦いに始まり、急展開で進んできた今までの物語を、武蔵とお通の軌跡を中心に振り返る。

【牛嶋のズバリ解説】
今年の大河は全49話。今回が24話目だから、ほぼ前半戦終了で、今回は前半の総集編と捉えていいだろう。随所に”今の武蔵、又八、お通”の映像を入れて、過去を振り返るという工夫を施していた。1年を通して描かれる大河なので、こういう会があってもいいと思うが、視聴者の反発を買う事も否めない。NHKとしては前半と後半の区切りをつけたいのと、途中から大河を見始めた人に対する親切心から作ったと思うが、熱心に第1回から見ている聴取者からは、逆に手を抜いたと思われるだろう。というのも、『こんな回を作るなら、もっとじっくり描く回があっただろう!』そう思われても仕方がないからだ。事実、今回の総集編を見て、いかに原作を無視しているか、いかにコンセプトが薄いかが改めて分かってしまった。まぁ、何はともあれ来週からの後半戦に期待したい所だ。

@西田半兵衛がいれば・・・
関ヶ原の残党として逃避行を続けた新免武蔵と本位田又八は、お甲と朱美親娘に雇われた。そして、その家を毎年襲う辻風典馬一党と戦うことになるが、武蔵は、同じ雇われ牢人の内山半兵衛に『闘うことは生き抜くこと』と教えられる。豪雨の中の死闘の末、ついに典馬を倒した武蔵は『俺は強い!』と絶叫。こうして第1話がスタートした訳だが、『七人の侍』をパクったと騒動が起きた回でもあった。パクりとはいえ、この展開に『面白くなりそう!』の予感があったのだが・・・。2話目でその期待は裏切られるが、第1話は西田敏行の存在が大きかったのでは?あのまま西田敏行(内山半兵衛)が生きていたら?と思うと残念だ。

Aなんのための姫路城だったのか?
宮本村に戻った武蔵にもう居場所はなかった。お通とともに村を出ようとするが、途中で崖から落ち、沢庵の取り計らいで姫路城で修行をする事になる。一方のお通は花田橋の茶屋で働き、武蔵が修行を終えるのを待つ事に。しかし、武蔵は修行に耐えられず脱走してしまうのであった。この展開に『おいおい・・・』と突っ込みを入れた人は多いだろう。1話目で既に原作破りをしたNHKは、姫路城で修行する事で人間的に大きくなった武蔵を描く事なく次へ進ませてしまったのだから・・・。なんのための姫路城か?今でもNHKに問いたい気持ちでいっぱいだ。原作では更生した武蔵が剣の道を歩むが、人間的に成長したからこそ剣も強くなれたのだと思う。しかし、この大河は荒くれ者状態から、いかにして強くなっていったのかが描ききれていない。誠に残念だ。

B史実を変えたNHKはA級戦犯
姫路城を脱走した武蔵はひたすら修行に打ち込み、京の吉岡道場に挑む。名もない武芸者に、当主である吉岡清十郎自らが相手をしたが、結果は清十郎の勝ち。この瞬間、自らを”六十余戦して無敗”と称した剣豪・宮本武蔵の史実が変わってしまった。このシーンに多くの武蔵ファンは涙を流した事だろう。筆者も『ばかやろう!』とNHKに乗り込みたい気持ちでいっぱいだった。リベンジする武蔵を描きたかったのだろうが、そこまでしたいのなら、小次郎に1度敗れてリベンジする展開を描いて見ろと言いたい。

C宝蔵院での闘い
吉岡を後にして宝蔵院に挑む武蔵。まずは阿厳を一撃のうちに倒し、宝蔵院当主・胤舜と立ち合うが、なんと!胤舜に勝ってしまうのであった。原作では胤舜と立ち合う事なく終わるが、次々と原作を変え、新たにストーリーを加える展開に疑問を感じてしまった。原作に反旗を翻しているとしか思えなかったが、視聴者はこれをどう見たのだろう。バガボンドでは実際に立ち合っているらしいが、バガボンドが原作ではないのだぞ!と言いたい。

D2敗目を喫した武蔵
宝蔵院を後にした武蔵は柳生の里へ。柳生石州斎に挑むが、“無刀取り”のもと武蔵はまったく歯が立たなかった。これも原作にない話だが、これで武蔵は2敗目を喫した事になる。う〜ん、物語が進むにつれて原作無視も進み、”原作はこうだったのに・・・”と比較しても仕方なくなってきたのもこの頃だった。

E吉岡清十郎にリベンジした
柳生を後にして再び京へ。吉岡清十郎にリベンジするためだが、ここで初めて”宮本武蔵”を名乗る事になる。原作では姫路城で3年修行した後、城主・池田輝政に命名されるが、このシーンもカットされたのは残念だった。さて、リベンジするため吉岡道場を再び訪れるが、この時代において、同じ相手と2回立ち合う事などなかったのではないか?生きるか死ぬかの時代にこんな事が在り得るのか!と思うが、そんなドラマ上のチャンス?をもらった武蔵。みごとにリベンジを果たす事になる。今回は総集編だが、ドラマの中では”いよいよ決戦!”という所で次週に持ち越され、翌週の冒頭で決闘シーンを描いたのには迫力に欠けた。清十郎、伝七郎、一条寺と全てこのパターンだったのが残念だ。

F吉岡伝七郎との闘い
清十郎を倒された吉岡は、清十郎の弟・伝七郎が仇を打とうと武蔵の前に立ちはだかった。ご存知!三十三間堂での闘いだが、なぜ木刀で闘ったのかが未だに疑問だ。『なぜ真剣ではないのだ?』という伝七郎の問いに対して『木刀には己の気が伝わる』と答えた武蔵。その後、一乗寺では真剣で闘うのなら、なんの意味があったのか・・・。それに、今回の大河では、今までとは違う”温厚な伝七郎”が描かれていたが、それものちのち意味がなかったのが残念だ。

G一乗寺下がり松での闘い
清十郎、伝七郎と相次いで倒し、今度は吉岡総がかりで命を狙われる事になった武蔵。ご存知!一条寺の決闘だが、この決闘がどう描かれるのかを楽しみにしていた方も多いだろう。事実、筆者もそのうちの1人で、これまでいろんな役者が武蔵を演じたが、このシーンをどう描くかで”そのドラマの質”が問われたものだ。筆者はある意味、巌流島以上に重要なシーンだと思っている。それをなんともあっさりと描いたNHK。番組スタートから5分足らずで終わってしまったのだ。これには相当ショックを受けたが、このシーンだけは45分全て使いきるくらいに描いて欲しかった。と言っても今さら仕方ないが、背後から壬生源次郎を斬るシーンも迫力がなかった。武蔵を目の前に源次郎の表情が全然変わらないのも不自然だったし、一乗寺の決闘のスケール感が全くなかったのが残念だ。今回は、視聴率低迷を続けている現状に、新たな武蔵ファンを呼び込む策もあったと思うが、途中から武蔵を見た人、あるいは初めて武蔵を見た人はどう思うか気になる所だ。

【来週の展望】
来週は三沢伊織らしき人物が登場するらしい。この子供が本当に伊織なのか定かではない。次に楽しみなのは、夢想流杖術の始祖である夢想権之助がいつ登場するかだ。登場すると聞いているが、果たして演じる俳優は誰だろう。それにこの解説も、前半は批判が多かったので、ある意味”解説になってなかった”所が多かったかもしれない。しかし、ここ数週間NHKも批判を受け止め、たくさんの視聴者に愛されようと努力しているように見受けられる。とにかく後半に期待したい。

第23回 「夫の仇(かたき)!」(6月8日放送)

武蔵(市川新之助)は梅軒(吉田栄作)との約束を果たすため、かつ(水野美紀)とその子を送り届けに、かつの故郷・御嶽へ向かう。道中、かつは夫の仇をとろうと度々武蔵を狙うが、武蔵は子どもを1人にするなと諭す。襲ってくる牢人からかつ母子を守った夜、山小屋で、武蔵はたった1人で武芸者として生きてきた気持ちを語るのだった。 そんな武蔵たちを、山賊となったお甲(かたせ梨乃)が見つけ、藤次(阿部寛)一味は山小屋を襲う。一乗寺の仇をとろうと藤次は武蔵に立ち向かうが、左腕だけでは武蔵の相手にはならなかった。武蔵は去り、藤次は雪辱を誓う。 御嶽に着き、武蔵は梅軒を斬ったことをわびるが、かつは武芸者として生きた夫の気持ちがわかったと武蔵を許す。 一方、お通(米倉涼子)は世捨て人(ダンカン)の一党に捕われる。だが、どんなことがあっても武蔵に会うため江戸へ行くという一心で命からがら逃げ出し、山中をさまよいぼろぼろになりながらも、江戸にたどり着く。そして、道端で行き倒れとなるが。同じ頃、お篠(宮沢りえ)も遊女となって江戸に流れ着いていた。

【牛嶋のズバリ解説】
今回は大河オリジナルストーリー。今年は、原作よりもオリジナルが面白いという”異例”の大河ドラマになっているが、これも原作部分の演出を徹底無視しているからに他ならない。さて武蔵一連の決闘が終わり、現在は登場人物が”江戸”に集結する過程を描いているが、その中でも武蔵、お通が中心になっている。武蔵が人間的に成長している場面、そして原作とは正反対の強いお通が必死に生きる姿が目立つが、これも今後の展開にカギを握る部分として捉えておこう。では今回もポイントを挙げて解説してみよう。

@人を生かす剣?
武蔵に敗れた梅軒から、”妻のかつを里まで送り届けて欲しい”と頼まれた武蔵。今週はその道中からスタートした。夫の仇として武蔵を狙うかつだが、スキやタイミングが悪く狙えない。一方の武蔵は無用な闘いを避けようとし、ただただかつを無事に送り届けようと徹する。そん中で命を狙われ、かつを守り、また、かつも武蔵を守ろうとするが、長い道中で武蔵の心を理解したようだ。夫を殺した相手を理解するなんて現代では考えられない行為だが、これも武芸者が存在するこの時代ならではの事か。最後は本当に恋愛に発展するのでは?と思わせるほど信頼関係が結ばれたのにはびっくりした。そんな中で人を斬る剣ならず、”人を生かす剣”という武蔵の考え方が変わってきたように思える。この”人を生かす剣”は”吉川武蔵の魂”であるが、これを見た視聴者がどう感じたか?ちょっと説明不足ではないか?と思ったのは否めない。

Aお通の苦労は報われるか?
ここ数週間は、お通が江戸を求めて必死に生きている様子が描かれている。先週の”両手を縛られながら芋に食いつくシーン”はとても印象的だったが、今週も山賊に捕らわれ必死に逃げるシーンや、自分で火をおこし、わずかな食べ物を口にする姿、また擦りむいた足に布を当てるシーンなど、これまでのお通像から懸け離れた様子が描かれた。髪もバサバサ、着物も汚れていたが、これがいいか悪いかは別にして、これまでの弱々しいお通を登場させたのなら、こんなシーンは作らなかっただろう。米倉涼子という健康的な女性を起用した鎌田氏の狙いはここにあったのか?お通は苦労のかいあって無事に江戸に着いたが、水売りをしていた又八に助けられた。先日放送された”スタジオパーク(NHK)”にゲスト出演した市川新之助が、”今後は武蔵、又八、お通としばらく3人で暮らす。その時武蔵が笑う”とネタばらしをしていたが、お通の苦労が報われる事に期待したい。

B阿部藤次がひさしぶりに登場
祇園藤次が久々に登場。梅軒の妻かつを送り届ける武蔵を急襲するが、”久しぶり、武蔵”と、少し笑みを見せた阿部藤次はカッコ良かった。この2人の立合いは一乗寺の決闘の際に行われたが、藤次の右腕を斬った武蔵が勝った。その時は腕にキズをつけられただけと思いきや、右腕を切断?するほどの重傷だったようだ。本当に切断したのかどうか確認はとれなかったが、映像を見る限りでは右腕はないようだ。左腕1本では武蔵にかなうはずもなく、またしても敗れ去ったが、武蔵はとどめをささなかったので、今後もこの2人のからみは続いていくのだろう。今後はお甲もからんでくると思われるが、どういう展開になるのか?原作のように奈良井大蔵がからむのか?

C殺陣に不満
殺陣に迫力がない。下手な殺陣であるのもそうだが、刀と刀が当たる音(効果音?)にも迫力がなく、武蔵の強さがなかなか表れにくいのでは?これは今回の大河の質を落としている原因のひとつではないかと思う。大袈裟な音を使え!と言うつもりはないが、殺陣に迫力がないのが残念だ。

Dチョイ役の多い大河
大河ドラマには、1回のみのゲスト出演という俳優やタレント、スポーツ選手が数多く登場している。今年はプロレスラーの武藤敬司が宝蔵院の阿厳役として、また、メジャーリーグ・シアトルマリナーズの佐々木主浩も大野治房役で登場。その他、内山半兵衛役の西田敏行、池田輝政役の中村勘九郎、田口玄竜役の本田博太郎宍戸梅軒役の吉田栄作もゲスト出演と言っていいのではないだろうか?今回もダンカン、池田政典が出演していたが、登場してすぐ斬られる池田政典は可哀想だった。今後、誰が出てくるのか注目だ。マニアックな所では武蔵を巌流島まで船で送る佐助を誰が演じるか楽しみだ。

【来週の展望】
来週はこれまでの闘いを振り返る回らしい。1年という長いサイクルで放送するのでそんな回があってもいいだろう・・・と思いつつ、正直言ってもったいない気がした。それなら、一乗寺のシーンをもっと長く撮るべきだし、いろんな名シーンもカットせずに済んだのでは?・・・と、あまり言っても仕方がないが、事実上、第一部終了といった感じか。そういえば日曜日の読売新聞で”新之助の力の入った演技で視聴率下降中”と再び叩かれてた大河だが、NHKさんの逆襲に期待したい。

第22回 「対決! 宍戸梅軒」(6月1日放送)

武蔵(市川新之助)は宍戸梅軒(吉田栄作)の家を訪ね、鎖鎌の技を見て、どうすればこの武器に勝つことができるか悩む。梅軒は武蔵に酒を飲ませて酔わせてから夜中に襲おうとするが、武蔵はそれに気づき隠れる。梅軒の妻・かつ(水野美紀)は夫が武芸者であるのにもかかわらず卑怯な手を使ったことをなじるが、梅軒には、妻と子のために死にたくないという気持ちが芽生えていたのだった。 夜が明け、武蔵と梅軒が1対1で勝負するときがやってきた。一方、江戸に向かうお通(米倉涼子)は山賊となった祇園藤次(阿部寛)とお甲(かたせ梨乃)たちに囚われる。しかし、お通はお甲に、どんなことをしてでも生き抜きたいという、必死の思いを訴えるのだった。

【牛嶋のズバリ解説】
@鎖鎌は凄い!
奥方かつの案内で梅軒の家に招かれた武蔵。そこで梅軒の鎖鎌の技を見る事になる。最初にテレビで鎖鎌を見た時、『離れた相手に鉄製の分銅を投げつけるなんて卑怯だ!』と思ったが、一撃必殺の破壊力を持つ技の凄さに脱帽してしまった。

Aやっぱり上品な梅軒
吉田栄作さん演じる宍戸梅軒は恐い!気味悪い!というより、カッコ良い梅軒になっている。確かに辻風天馬もそうだったし、演じていたのも若い俳優だったので、その弟である梅軒も若い俳優が演じるのだろうと予期はしていた。しかし、あまりにも上品すぎて恐さが伝わってこないのが残念だった。

B梅軒の方が強そう
武蔵と梅軒との対決が終わった。原作では子供の泣き声によって梅軒にとどめをささなかった武蔵。やがて再会して、改めて雌雄を決する訳だが、”大河”では今回の放送であえなく梅軒は武蔵に敗れ去った。この2人の闘いをじっくり描いて欲しいと先週書いたが、制作サイドからその思いは十分感じられたのでは?。しかし、じっくり描こうとするばかりに、武蔵があちこち動き回ったり、刀を奪われ、丸腰で襲い掛かり、最後は梅軒の刀で仕留めるなんていう展開になってしまったのではないか?確かに勝てばいいのかもしれないが、二刀を有効に使ってカッコよく勝つ武蔵を描いて欲しかった。あれを見る限りでは梅軒の方が強く見えたが・・・。それと、出来れば夜に撮影して欲しかった。

Cのちのち活きる?
先週の放送で祇園藤次に捕らえられたお通。その目的は武蔵と思ったが、考えてみればお通と武蔵がつながっている事を藤次は知らないはず。お通の『どうしても生きたい』という必死の思いから、お甲に逃がしてもらう事になるが、今回のこのシーンは無意味に思えて仕方がなかった。でも、のちのち”活きるシーン”であると祈りたい。それはそうと、『人は1人では生きていきたい』という言葉をわざわざ言いに行くなんて軽すぎないか?

D無意味なシーン多し
お通のシーンもそうだが、小次郎が斬るシーン、宗矩と沢庵のシーンなど出す必要があるシーンが多すぎるのではないか?同時進行でこんな風に進んでいると、分かりやすくしているつもりだろうが、かえって入れない方がいいと思うのだが・・・。

【来週の展望】
来週は梅軒の妻かつが武蔵に復讐するという内容らしい。藤次とも再会するらしいが、藤次は片腕になっているとの事。それと、お通がまた捕らえられるらしい。う〜ん、やっぱり無意味なシーンかも。

第21回 「必殺の鎖鎌!」(5月25日放送)

武蔵(市川新之助)は世話になっている木地師の家を訪ねて来たかつ(水野美紀)が持っている鎖鎌に興味をもつ。牢人者を倒したという鎖鎌の技を、かつは武蔵に見せる。 かつの夫の宍戸梅軒(吉田栄作)は鍛冶師でありながら、鎖鎌の使い手で、武芸者として名をはせていた。梅軒は武蔵の名を聞き、兄の辻風典馬(永澤俊矢)を斬った仇であると察する。 一方、江戸の小次郎(松岡昌宏)は仕官のために柳生宗矩(中井貴一)に会う。宗矩は自らの剣に絶対の自信をもって生きている小次郎にいらだち、自分が射った矢を斬ってみろと命じる。果たして小次郎は。 そんな小次郎の姿に、沢庵(渡瀬恒彦)は武蔵と同じものを感じ、小次郎が剣術を教えている弥次兵衛(哀川翔)の家を訪ねる。そこで、沢庵はお杉(中村玉緒)と再会。さらに又八(堤真一)とも会い、武蔵を支えてきたのは又八とお通(米倉涼子)だと話す。又八は家を出て行った朱実(内山理名)を気にしながらも武蔵と張り合うのではなく、違う自分の道を探し始めようと思いだす。 その頃、木曽路では、かつが仇討ちのため、武蔵を待ち構えていた。

【牛嶋のズバリ解説】
@腕は落ちてないか?
武蔵が木地師の家を後にしたが、橋爪功のナレーションによると一冬過ごしたとの事。凄く長い間滞在したもんだ。その間に剣の腕が落ちてないか心配になったのは私だけではないだろう。

A綺麗な梅軒
満を持して宍戸梅軒が登場した。原作なら、吉岡清十郎と一戦まじえる前に登場するのだが、ずいぶん遅くなったものだ。実際問題、吉岡一門との闘いの後に、”決闘的”に少し間延びするのをカバーするために、ここに持ってきたのだろう。それはそれで悪くないと思う。宍戸梅軒は吉田栄作さんが演じたが、率直に、”なんて綺麗な梅軒”なんだろうと思った。原作では恐くて気味が悪い梅軒で、武蔵を語るのに絶対になくてはならない人物なのに、大河では恐さが伝わってこない。凄くもったいない気がした。ましてや髪の毛を上げてるから、吉田栄作が火野正平に見えてしまったのが残念だ。

Bなぜ、辻風を倒した武蔵と知った?
武蔵は梅軒留守の際に家を訪れるが、留守番をしていた水野美紀演じる奥方に”宮本武蔵”と名乗る。そして、”宮本武蔵が訪ねてきた旨”を梅軒に伝えるが、それを聞いて梅軒は、”兄を倒したタケゾウ”と言い当てる。う〜ん。これってあまりにもあっさりしすぎてないかっ。原作では武蔵を招き入れて”お前、名前は?”などとやりとりがあった中で兄を倒した武蔵と言い当てるが、そのやりとりをカットしたのは問題ではないか?もったいない。来週の放送でなんらかのやりとりがあるのかもしれないが、タケゾウ=ムサシを知ってしまった梅軒を見てもつまらないと思う。NHKさんよ!失態またしても!だぞ!

C夢のあるシーンはやるべき
柳生宗矩の希望があって宗矩と小次郎が初対面。これは原作にはなかった設定だ。しかし、こういうのは大いに結構。面白くなるなら、どんどんやって欲しい。”放った矢を斬れるか?”との問いに”斬れる!”と答えた小次郎。案の定、一本の矢を三つに斬ってしまった。正直言って人間技ではないが、こういう夢のあるシーンはどんどんやるべきだと思う。物語がそうなら、小次郎も”血が騒いだ”と琴を抱きしめる。小次郎が人間らしくなってきたぞ。

D沢庵が久しぶりに登場
知らない間に沢庵が柳生家へ。凄く久しぶりの印象があるが、逆になぜもっと出さないのか?と言いたい。役所武蔵では事あるごとに登場し、武蔵に”我が師の御坊”と言わしめた沢庵。大河では、その存在が薄くなっているのは間違いない。残念だ。もっと登場させて欲しいと思うが、1話の中に登場人物が多すぎるという問題点からだと思う。

E沢庵と小次郎
沢庵が小次郎に”腕が立つだけではダメ”と説教した。この2人の遭遇も原作にはなかったと思うが、立ち会うまでに至るとは。しかし、お杉婆の登場で中止。これはもったいなかった。立ち会っていたら、どうなっていたのだろう。

F又八はどうなるのだ
又八が普通の生活に戻ったようだ。修行僧にならなかったのは残念だが、この先どうなるんだろう。朱実は家を飛び出したが、その意味も分からず。もっと一つの事を大事に描いて欲しいと思った。でも、あかね屋(奈良井)が又八を捜して再び登場するだろうから、そこが又八の運命を握っているのかも。

G藤次よ、再び
江戸に向かうお通がまたまた襲われた。しかし、あの時代なら日常茶飯事だっただろう。さて襲ったのは祇園藤次。藤次が今後どうからんでくるか興味津々だが、きっと武蔵にはまだ恨みがあるだろう。復讐戦が始まるのかっ。

【来週の展望】
来週はいよいよ宍戸梅軒との一戦だ。予告を見る限りではかなり激しい戦いという感じだが、どうなるか注目。奥方も使い手だけに対鎖鎌勝負は2戦あるのか?でも、出来るだけ時間をかけて欲しい。それはそうと、一乗寺は5分足らずだったなぁ〜。あれはひどすぎる。思い出すだけで怒りがこみあげてきた。NHKさん、反省しろ!

第20回 「家康暗殺!」(5月18日放送)

慶長9(1604)年、武蔵(市川新之助)は江戸へ向かう途中で、木地師(木を材料に椀や盆などを作る職人)の夫婦(岩崎宏・田根楽子)の家に留まり、二人の巧みな技に魅せられる。その夫婦の仕事ぶりは武蔵に「人は一人で生きているのではない」ことを伝えていた。 一方、お通(米倉涼子)と城太郎(三浦春馬)は城太郎の母・たみ(洞口依子)を探し当てる。しかし、自分を捨てた母との再会を素直に喜べない城太郎に、お通は自分も母の手掛かりがあるなら何が何でも探したいと諭し、母と一緒に暮らすよう厳しく言う。そして、女の一人旅を心配する城太郎を残し、お通は一人で江戸へ向かう。 その頃、又八(堤真一)は絃三(江守徹)から江戸城内の木の根元に埋めてある鉄砲で家康を暗殺しろと言われる。朱実(内山理名)は危ない話に怖気づいた又八から、それを聞き出し、何とかやめさせたいとお参りに行った神社で偶然、お杉(中村玉緒)と出会い・・・。

【牛嶋のズバリ解説】
@木地師との出会い
武蔵が木地師の家に厄介になっているという事だが、武蔵の目的が今イチ分からないのが残念。江戸になぜ向かっているのか?でも、のちのち描かれる芸術家への伏線の回なのかな?

A表情がないなぁ〜
相変わらず武蔵に表情がないのが残念。笑う所は笑ってもいいと思うのだが、武蔵は笑えないキャラになってしまった気がする。役所武蔵は表情豊かに笑っていたのだが、あんな表情のない顔をこれからも続けるのか?というより、覇気がないように見えるのだが・・・。

Bさらば!三浦城太郎
三浦春馬くん演じる城太郎が今回を持ってさよならとなった。母親を捜し当てて、母親と一緒に暮らすためだが、今回の話で青木丹左衛門の息子ではないという事がはっきりした。予想はしていたが、残念だ。原作のままでいいのになぁ〜と思うが、大人に成長した城太郎が再び登場する事だろう。あのまま母親の家にいるとは思えないからだ。その時は誰が演じるのかな?

C又八の行く末に拍子抜け
奈良井大蔵の命令を受け、将軍暗殺をする事になった又八。失敗すれば死を覚悟しなければならないのに、それをなんとも気にしない、ふざけた又八に見えて仕方がない。今で言えば総理大臣を暗殺するようなモノなのだぞ。結局、事前に捕えられるが、松の木窃盗未遂で捕まるというふざけた結末。役所武蔵では、鉄砲を持って将軍秀忠に銃口を向けた所で武蔵に止められるシーンが、とてもうまく描かれていたが、それがなかったのが残念。しかも、百叩きの刑なんて甘すぎる。原作では打ち首になる所を沢庵に助けられ、僧の道を歩むのではなかったのか?なんか拍子抜けした感じ。

D朱実と又八の関係は?
朱実と又八はすっかりデキているのかと思ったら、『お前とは男と女の関係じゃねーんだ』という又八の発言があった。原作で2人は、お互い同じ悲しみを持った中で自然にデキてしまうのだが、その流れはあっぱれであった。しかし、大河の2人の関係には疑問を感じる。2人がデキてしまうのさえ疑問だ。

E小次郎よ、疲れないか?
次第に小次郎らしくなってきた松岡小次郎。しかし、松岡小次郎は『ストレスたまらないのか?』と思ってしまう。要は『しゃべり方が疲れないか?』という事で、我々が日常であんなしゃべり方をしていたら、生きていけないだろう。考えてみると、市川武蔵、松岡小次郎ともに表情がない。たまには笑ってもいいのではないか?と思ってしまうが・・・。

【来週の展望】
柳生宗矩と小次郎が遭遇するらしい。確か原作ではそんなシーンがなかったと思うが、この2人がどんなからみをするか注目だ。そして、宍戸梅軒が満を持して登場。吉田栄作さんが演じるが、”上川武蔵”で小次郎を演じた吉田さんがどんな演技をするか注目だ。小次郎をやった後に梅軒というのは屈辱では?と思ったが、違う役が出来るのは嬉しい事なのでは?剣持さんが又八をやるようなものか?(失礼!)そして、祇園藤次も再登場。今後が楽しみだ。

第19回 「風雲の江戸!」(5月11日放送)

又八(堤真一)と朱実(内山理名)は江戸に着き、又八は働きながら家康暗殺の機会をうかがうことにした。何も知らない朱実は不安を感じながらも、又八との新しい生活に心を躍らす。 お杉(中村玉緒)と権六(谷啓)も又八を追って江戸に来るが、巾着をすられたところを半瓦弥次兵衛(哀川翔)に助けられる。弥次兵衛は江戸に流れてくる荒くれ者を取りしきる任侠の徒でもあった。それが縁で、お杉と権六は弥次兵衛の家に世話になることになる。 そこへ、琴(仲間由紀恵)とともに江戸に流れ着いた小次郎(松岡昌宏)が生活資金をかせぐために賭け試合を申し込みに現れる。荒くれ者たちは小次郎の相手にならず、小次郎は弥次兵衛に頼まれて彼らに剣術を教えることになる。 一方、お通(米倉涼子)は旅の途中で通った場所が、城太郎(三浦春馬)が幼いころ母と別れた場所だったと知り、城太郎の母親探しを始める。 その頃、お篠(宮沢りえ)と旅をしていた原田休雪(遠藤憲一)に、伊達の黒脛巾衆(くろはばきしゅう)が近づいていた。

【牛嶋のズバリ解説】
@小次郎の名シーン登場
琴と共に江戸に向かう途中に襲われた小次郎。しかし相手を殺さず、知らぬ間に髷を切り落とすシーンがあった。実はこのシーン、原作ではまだ初期の頃、船の上で祇園藤次を相手に行った行為。今回の大河は祇園藤次をカッコ良く描いているために設定を変更したようだが、名シーンが登場して良かった。でも、路上と船の上を考えたら船の上の方が良いと思うが・・・。『燕を斬れる!(小次郎)』『じゃぁ、斬ってみろ!(藤次)』『燕をここへ呼んでくれ(小次郎)』・・・などのやり取りがあった原作部分をカットしたのは残念だ。

A今イチ緊迫感がない又八の家康暗殺計画
奈良井大蔵から家康暗殺を命じられた又八。朱実とともに江戸に着いたが、凄い指令にもかかわらず、今イチ緊迫感がないように思える。理由は簡単!又八と朱実があまりにも落ち着いているからだ。こんな重要な事なら朱実と会話もままらないないほどに又八は緊張するだろうし、朱実も何も知らないとはいえ、又八の行動に対して不信感を持つ事だろう。前にも指摘したが、なんか2人は遠足気分に見えて仕方がない。

Bお杉が久しぶりに登場
どこで何をしていたのか?又八の母お杉も江戸に着いた。なんでみんな江戸に来るのだろう?と疑問に思うだろうが、それはそれでいいとしよう。原作通りだし、徳川政権が始まったからこそ、当時は江戸入りする人が多かったと思われる。

C半瓦弥次兵衛が登場
哀川翔演じる半瓦弥次兵衛が登場。原作にも登場するキャラで、江戸に流れてくる荒くれ者を取りしきる役柄である。そんな弥次兵衛に、お杉と小次郎が世話になるが、原作を読む限りでは弥次兵衛自身、あまり個性がないように思えたのだが・・・。というより、小次郎が目立ってしまうから、キャラが死んでしまっていたのかな?今回は哀川翔が演じるのでそれ相当のキャラ設定になるだろう。

D城太郎、カウントダウン
武蔵の弟子城太郎についてだが、原作では父親の青木丹左衛門と暮らす・・・という事で武蔵と別れた。しかし、今回の大河は青木の息子として描かれていないので、別の方法で別れるシーンを作らねばならないのだ。それが母親捜しになるようで、城太郎も大河を去るカウントダウンに入った。三浦春馬くんの熱演が見られないのは残念だが、今後の彼には注目していこう。

E遠藤休雪死す!
遠藤憲一演じる原田休雪が死んだ。伊達の刺客に襲われて最期を遂げたが、遠藤休雪がいいキャラだっただけに残念だ。牛嶋としては武蔵との再会を期待していたのだが・・・。でも、伊達の刺客が襲っているのを知って自分の最期を予期するなんてカッコいいじゃないか。また、自らの生命を引換えにお篠を守るなんて、遠藤休雪は良いとこどりだ!何より、別れの挨拶?で『お篠!』と声をかけた遠藤休雪の笑顔が印象的だった。

Fワンシーンだけの登場
又八の『人は変われるんだよ』の言葉を思い出し、崖から『ウワァー』と叫ぶだけに終わった新之助武蔵。新之助自身の歌舞伎公演スケジュールの関係からか撮影出来なかったのか?いずれにしても主役がワンシーンだけとは寂しいぞ。

【来週の展望】
母親が見つかって、一緒に住む城太郎と旅を続けるお通との別れがあるようだ。予告編には『私も母様を捜したかった・・・』とセリフがあったが、話が複雑になってねーか!と1人突っ込みを入れてしまった。小次郎、又八の話もあり、武蔵の登場シーンは来週も短いような気がする。

第18回 「女心、揺れる!」(5月4日放送)

薬草屋に身を変えたあかね屋絃三(江守徹)のもとに身を寄せていた又八(堤真一)は、絃三から徳川家康暗殺の命をうけ、何も知らない朱実(内山理名)を連れて江戸へ向かう。 その直後、武蔵を探すお通(米倉涼子)と城太郎(三浦春馬)が薬草屋を訪れる。以前、旅の途中のお通をかどわかそうとしたことのある絃三は、再びお通に術をかけようとする。そこへ、琴(仲間由紀恵)の顔の傷の治療薬を求めて小次郎(松岡昌宏)が現れ、お通は難を逃れる。顔の傷は治せぬと絃三に断られた小次郎は、もう美しくないから小次郎に捨てられると思いこむ琴に、自らの過去を語り、ふたりでこれからも生きていくと話す。 木賃宿で、お通は再び小次郎と出会うが、その男が後に武蔵の最強の相手となるとはその時は思いもよらなかった。 一方、一人旅する武蔵は道中で、ふと母のことを思い出し、宇治の姉・お吟(菊池麻衣子)に会いに戻るが…。

【牛嶋のズバリ解説】
今回も鎌田敏夫氏のオリジナルストーリー。ここ数回はずっとそんな感じだが、原作を短めにして、オリジナルに重きを置いているような気がするが・・・。何度も言うが、今回の大河はやっぱり全編オリジナルでいって欲しかった。困った時の吉川武蔵という気がしてならない。ましてや今回の『女心、揺れる!』というタイトルも死んでいた気がしてならない。さて、そんな訳で今回も感想をつづっていこうと思うが、今回は出演者別に語っていこう。

@宮本武蔵
今回は出番が少なかったが、たくさんの出演者がいる中でこういうケースがあってもいいだろう。今回は、宇治にいる姉を訪れ、『母様に会いたい』と願い出るが、母が既に亡くなっていた事を知る武蔵。今さら母の話が出るとは思わなかったが、せめて原作通りに姉のお吟とは仲が良かったという設定で描いてもいいのでは?と思った。今回も泣き顔での出演となった菊池麻衣子だが、今後の登場はないような気がするなぁ〜。それはそうと、中仙道を通って江戸に向かって行った武蔵が宇治まで引き返すなんて、ちょっと飛びすぎじゃぁないのかっ!水戸黄門じゃないんだから・・・。

A佐々木小次郎
小次郎がお通と遭遇するのとは!今後も何らかのカタチで接点を持つような気がしてならない。お通をめぐって巌流島対決!なんて事にならないといいのだが・・・(笑)。でもここ数回、松岡小次郎がだんだん小次郎らしくなってきたような気がする。衣装こそ地味だが、松岡昌宏も”小次郎になりきろう”と頑張っている様子が伺えるし、TOKIOの松岡としてテレビに出ているよりも”小次郎”はずっと男前だ。強いて言えばまだ俳優としてのスケールが小さい事だろう。あともう少し”小次郎”としての凄みがあるといいかな?でも、ハマリ具合赤丸急上昇の松岡小次郎だと思う。

Bお通
武蔵を求めて旅に出たお通。城太郎が一緒というのは心強いが、武蔵とどんな風に再び巡り合えるのだろう。そのうち、石舟斎危篤の報も入り、柳生に帰ったりするのだろうか?それはそうと、あかね屋絃三との遭遇の意味はなんなのだろう。これも先が全く見えないし、面白くなるとは正直言って思えない。

D城太郎
相変わらず城太郎がいい。いや、城太郎というより、演じている三浦春馬くんにつきるのではないか。来週は母を探す事になるらしいが、城太郎は今後どうなるのだ?母と再会し、母の元で暮らす?それとも?個人的には、運命のいたずらで行方不明になり、大人になってから武蔵と再会するストーリーだといいが・・・。

E琴
琴が受けた傷は意外に軽いものだった。女性が受けたから、軽いというと失礼かもしれないが、正直言って右目を失うほどの傷だと思っていただけに『結構、軽いじゃん』と思ったのは私だけだろうか。小次郎に一緒に暮らして行こうと言われるが、来週はお篠も再登場するらしいし、今後、琴はどうなってしまうのだろうか?残念ながら幸せになりそうもないキャラだが・・・。

Fあかね屋絃三
どうもこのキャラは分からない。奈良井大蔵を名乗っているが、名前が違うだけでキャラは一緒だし、目的はいったい何か?その辺りが不明瞭だ。原作の奈良井大蔵は、世のため人のために生きているという偽りの面を持ちながら、『又八さん、私はあんたと同じ関ヶ原の落武者だよ!』と言い放つなど、違う不気味さを持つキャラを持っていた。今後、2つのキャラをどう演じていくのか?それはともかく、江守徹の白目が凄い!と思ったのは私だけだろうか・・・。

Gお吟
菊池麻衣子がお吟を演じているが、個人的にはもっと出て欲しかった。原作では武蔵と宮本村で一緒に暮らしている設定で、嫁に出たのも確か遅かったはず。それに今回、武蔵は姉の事を『姉様!』と呼んでいたが、ここは『姉者!』と呼んで欲しかった。兄弟でも距離を感じる呼び方だったのは残念だ。菊池麻衣子もいいが、やっぱり役所武蔵での新井春美が最高だ

H又八
あかね屋絃三に雇われ、朱実とともに江戸に向かった又八。家康暗殺の命を受けたが、事の重大さに対してそれほどインパクトあるシーンでなかったのが残念だ。役所武蔵では奥田瑛二が演じた又八だが、脚本の弱さに堤又八は敗れ去ったと言っていいだろう。

I朱実
敗れたといえば内山朱実も、役所武蔵で朱実を演じた池上季美子に完全に負けている。比較するのは良くないと思うが、”朱実”というキャラが持つ悲壮感も漂ってないし、軽い気持ちで又八に付いていくような気がして、これは遠足ではないぞ!と言いたい。

以上、今回はキャラ別に探ったが、20回を前にまだキャラが定着していないような気がする。出演者が多いのか?それともキャラが薄いのか?1話の中にいろいろ詰め込みすぎという感もあるが・・・。

【来週の展望】
来週もほぼオリジナルストーリーと言っていいのでは?原作と同じ部分もあるが、場面設定が原作と大きく異なるためにオリジナルと解釈した方がいいのかもしれない。そんな中、原作にも出てくる半瓦弥次兵衛が登場する。哀川翔さんが演じるが、原作ではそれほど存在感がないような気がしたが・・・。哀川翔が演じる事で小次郎のキャラが死ななければいいのだが・・・。

第17回 「おのれの道!」(4月27日放送)

武蔵(市川新之助)は中山道・福島の関所の近くで牢人・田口玄竜(本田博太郎)と出会う。玄竜は武蔵が子供の頃から知っている有名な剣豪であったが、今は家族との生活のために仕官の道を探していた。 2人は関所破りの牢人たちを捕まえ代官に突き出し、仕官しようとする。だが、吉岡一門を倒し名がとどろく武蔵のみ仕官ができると言われる。武蔵は玄竜に仕官を譲り、去ろうとするが、すでに玄竜は武蔵に勝たない限り仕官の道はかなわないと宣告されていたのだった・・・。 一方、お通(米倉涼子)は心休まる光悦村での生活に幸せを感じながらも、同時に武蔵の孤独を思い、苦しんでいた。ある日お通は、武蔵を探す旅に出ることを決心する。そして城太郎(三浦春馬)もまた、お通を守るため、共に村を出て武蔵を追う旅を続ける・・・。

【牛嶋のズバリ解説】
今回も鎌田敏夫氏のオリジナルストーリー。一部原作を拝借した部分があるが、オリジナルと解釈した方がいいだろう。そんな訳で今回も感想を書かせて頂く。

@リアリティがあるじゃないか・・・
数多くの俳優さんが演じた宮本武蔵。見るたびに『武蔵はどうやって生活をしていたんだろう?』という疑問が生まれたが、姫路城を出る際に池田輝政からかなりの路銀をもらっていたので苦労しなかった!あるいは、剣術を教えていた!などの説があった。そんな中、今回の廻国(かいこく)修行というのを入れたのは良かったと思う。あの武蔵が草鞋を編んでお金をもらっていた・・・凄くリアリティがあるじゃないか。夢をなくす!という意見もあるだろうが、なかなか芸が細かくて良かったと思う。しかし、剣はもちろん、精神的な部分をちゃんと学んでいるのか疑問だが・・・。

A武芸者の末路を見て学んだ?武蔵
牢人・田口玄竜役で本田博太郎が登場。本田博太郎も牛嶋の大好きな俳優だが、先週の遠藤憲一に続いて渋い演技を見せてくれた。士官の道を目指し、また、逃げた妻と子を再び迎えようと必死に生きる姿は、武蔵にどう写った事だろう。剣のみで生きる武蔵とは相反するカタチで武芸者の末路を見て、きっと武蔵も学んだ事だろう。その武蔵の心情をナレーションで説明すべきだと思うが・・・。それと、飛んでいるハエを切った玄竜だが、ハエというと武蔵もハエを箸でつかむシーンがあるが、今後見られるのだろうか?

B武蔵は仕官出来た?
原作にも仕官の話は何度となく出てくる。まずは姫路城で3年間修業した後、城主池田輝政から。武蔵の法典ヶ原での一件に心打たれた豊前小倉の家老長岡佐渡からもあったのは有名な話。また、徳川家のために力を貸してくれと、なんと!柳生宗矩からも直々に話があったのだ。この話は沢庵から宗矩に頼んだものだったが、師の沢庵からの説得に戸惑いながらも老中面接を受けにまでいく。しかし、丸1日待たされた揚げ句、叶わないものとなる。お杉の中傷の手紙や吉岡一門との闘いで13歳の壬生源次郎を斬ったことなどが仕官を阻んだ原因となってしまったのだ。しかし今回の場合は、吉岡一門をたった1人で倒した武蔵が評価されての士官とは!なんだ、仕官出来たのではないかっ。

Bお通は気まぐれ?
お通が本阿弥光悦の所を後にして再び武蔵を求める旅に出た。何度となく指摘したが、どうもこの大河でのお通は気持ちに一貫性がないような気がする。何を考えているんだ!お通!そう叫ばずにはいられない。

C出た!奈良井大蔵
あかね屋絃三役の江守徹が、”奈良井大蔵”として登場。又八も朱実とともに奈良井に身を寄せていたが、又八に暗殺を命じるという設定は原作通りだ。しかし、原作では暗殺命令が出たのは2代将軍の徳川秀忠だったはず。大河では”徳川家康”と指定していたが、今後は家康も出てくるのだろうか?確か奈良井は、関ヶ原の西軍の残党という設定だったが、もしかして、あかね屋も残党なのかもしれない。原作では城太郎も奈良井にいて、又八が将軍暗殺をしくじった際、『おいらがやる!』と決起するが、この大河は原作と比較して物語の順番がメチャクチャだ。

D城太郎よ、男だ
お通が武蔵を探す旅に出る事になったが、城太郎が一緒に着いていくという。沢庵と『お通を守る』という約束をしたそうだが、カッコいいじゃないかぁ〜。原作では、情けない父親・青木丹左衛門の元を離れ、奈良井屋にお世話になり、悪の道に走るのが、大河ではどんどん良い青年に成長してくではないかっ。今後の城太郎に期待だ。それはそうと、城太郎は三浦春馬くんが熱演しているが、成長していくと、いずれは大人の城太郎が出てくるのか?という事は三浦春馬くんの登場も残り少ないのではないか?

【来週の展望】
まず来週のアイトルだが、『女心、揺れる!』はおかしくないか!性格には『女心、揺れる・・・』だと思うのだが、どうだろう?びっくりマークがいる”女心”とは、どんな心だろう。来週は顔を斬られた琴が登場。予告では頭巾をかぶっていたが、今後はどうなっていくか注目。お通と武蔵は何話で再びめぐり合えるのだろう?これも注目。あとは又八が家康暗殺を言い渡されるようだが、”役所武蔵”では、奥田瑛二がそのシーンを熱演したのを思い出す。果たして堤又八は奥田又八を超える事が出来るのか

第16回 「伊達の刺客!」(4月20日放送)

【物語】
武蔵(市川新之助)が雨宿りに入った農家には伊達家から逃げるお篠(宮沢りえ)と原田休雪(遠藤憲一)が隠れ住んでいた。夫婦と思っていた2人に何か妙なものを感じた武蔵は、京都ですれ違った小次郎(松岡昌宏)をお篠が慕っていることを知る。 2人のもとを去ろうとした武蔵は、お篠から「出て行かれると休雪に殺される」と言われ、放って去ることもできず休雪とにらみ合いになっていた。そこへ、伊達の忍びの者、黒脛巾(くろはばき)衆が襲ってきて、武蔵は休雪とともに戦うことになってしまう。 その頃、お通は光悦(津川雅彦)の元で様々な工芸を習い、宗仁(茂山逸平)の優しさもあって穏やかな日々を送っていた。城太郎(三浦春馬)も陶芸の腕が上達し、このまま留まろうと言う。が、お通は武蔵のことが忘れられず、ここを去るべきか悩む。 一方、江戸に向かっていた小次郎と琴(仲間由紀恵)は牢人者に襲われ、はずみで琴が顔を斬られてしまう――。
【牛嶋のズバリ解説】
今回の物語は100%鎌田敏夫氏のオリジナル。よって解説のしようがないので、感想という解釈で書いていこう。

@オリジナルの方が面白いかも
今回の大河は吉川英治先生の『宮本武蔵』だが、なぜ吉川武蔵を原作にするのか?と思わせるほど原作無視の大河になっている。設定を大幅に変え、名シーンと言われる部分を排除したり、吉川武蔵を愛する我々をバカにしている内容になっている。それと同時に、脚本担当の鎌田敏夫氏のオリジナルストーリーも随所に盛り込まれているが、これまでは原作の中にヘンな風に入り込んでいるので、今ひとつしっくりこなかった。しかし、今回は原作に登場する武蔵のみがからむオリジナルストーリーという事で違和感なく楽しめた。今さらながら言おう!鎌田敏夫氏なら全てオリジナルで書けたはずだ。原作を決めたNHKが悪いのか?その辺りは謎だが、100%鎌田敏夫オリジナルストーリーにすれば面白い武蔵が出来たのではいか?とっても残念だ。その一方で、”借りただけの吉川武蔵”という姿勢には相変わらず憤りを隠せない。

A今さらながら伊達政宗・・・?
江戸に向かう武蔵が雨宿りしたのが、原田休雪とお篠が暮らす家だった。お篠は伊達政宗の腹違いの妹で、政宗の謀反にかかわる重要な書状を持っているために、政宗に追われているという設定。また原田休雪は伊達の家臣で、お篠から書状を奪うために来たのに、結局はお篠を助け、一緒に逃げるはめになってしまったという設定だ。政宗といえば、北条と豊臣の決戦の際に、秀吉の上洛命令を最後の最後まで無視して秀吉を怒らせたり、支倉常長をローマに派遣したのは謀反のためだった?などと、最後まで
天下取りの夢をあきらめなかった武将だが、今さらながらこんな格好で伊達政宗が登場するとは思いもしなかった。

B遠藤憲一の再登場を期待
伊達の家臣でお篠とともに逃げるのは原田休雪。この役を遠藤憲一が演じているが、目で演技する非常に素敵な俳優さんだと思う。いろいろなドラマで顔は拝見していたが、まさに名脇役といった感じ。今回は伊達の刺客に襲われ武蔵と一緒に闘うが、最後に毒矢を左腕に受けた事でお篠と愛が芽生える。非常にスムーズな流れなので、これでお役御免?という気がするが、それはあまりにも寂しすぎる。でも、お篠が小次郎と因縁があるのでまた出てくるのかな?休雪の再度の登場に期待したい。出来ればピンチ状態の武蔵に助太刀として突然現れるというのはどうだろう?でも、宮沢りえとのキスシーン?はNHK大河において刺激的だった。それと、伊達政宗の重臣に原田左馬助という人物がいたが、原田休雪はそこからヒントを得たのかな?

C迫力がないっ
原田休雪とともに伊達の黒脛巾(くろはばき)衆を迎撃する武蔵だが、相変わらず殺陣がひどい。強そうに見えないのだ。伊達は強そうに見えたが、武蔵の前では急に弱くなる・・・。なんか迫力不足だ。全て武蔵に合わせたからか?

D琴が目を斬られた?
小次郎と旅を続ける琴が牢人に顔を斬られた。見る限りでは、片目を失ってしまったのでは?と思わせる位置だったが、かわいそうだった。美しくなければ別れる旨の言葉を、小次郎はかつて琴に言っていたが、2人の関係はどうなるのか?普通なら責任を取る所だが・・・。

E三浦春馬くんはは大物俳優に?
城太郎とお通が出てきたが、このやりとりも全くのオリジナルだ。まず光悦の所にいる設定がないし、城太郎が焼物師になるなんてとんでもない話である。
来週は城太郎とお通が光悦の元を離れるらしいが、今後どういう展開になるのだろう。それはそうと城太郎役の三浦春馬くんはマスクも良いし、演技うますぎ

【来週の展望】
来週の予告を見る限り、これもよくわからんなぁ〜。原作があるのにオリジナルストーリーが多いのも問題があるし、まぁ、とにかく面白くしてくれ!って感じ。とにかく今週は以上です。

第15回 「響け! 笛の音」(4月13日放送)

武蔵(市川新之助)は武芸者として吉岡に勝ったものの、お通(米倉涼子)に受け入れられなかったことで素直に喜べないでいた。さらに、名をなした武蔵を斬って自分の名をあげようとする武芸者に狙われるようになっていた。 お通は宗仁(茂山逸平)に紙すきを習い、城太郎(三浦春馬)は本阿弥光悦(津川雅彦)に陶芸を習い、平穏な日々を送っていた。ある日、沢庵(渡瀬恒彦)が訪ねて来て、お通と再会。沢庵は柳生宗矩(中井貴一)の江戸行きに付いて行って欲しいと石舟斎(藤田まこと)に頼まれ、権勢に近づくべきか悩んでいた。お通も妙秀(淡路恵子)から宗仁がお通にずっといて欲しいと思っていると言われ、心安らかでいられる光悦のもとに居続けるか、自分を必要としている武蔵のもとへ向かうか悩んでいた。 小次郎(松岡昌宏)は、琴(仲間由紀恵)との暮らしがうまくいかなくなっていた。ある夜、琴が小次郎の帰りを待っていると・・・・。 一方、山里を行く武蔵は雨宿りのため一軒の農家の戸を叩く。そこには伊達家から逃げるお篠(宮沢りえ)と原田休雪(遠藤憲一)が夫婦のようにして隠れ住んでいた
【牛嶋のズバリ解説】
吉岡一門との闘いが終わり、ちょっと一休み。今後は鎖鎌の宍戸梅軒杖術の夢想権之助が登場するらしいが、そこに話が続くためにどう進んでいくのか注目だ。でも、夢想権之助が登場するとは嬉しい。北大路武蔵、上川武蔵など、特番で放送される武蔵に出て来る事がなかったからである。原作で権之助は、武蔵に敗れて武蔵の弟子になるが、役所武蔵では三浦浩一が演じていてまさにハマり役だった。誰が演じるのだろう。なお、宍戸梅軒は吉田栄作が演じるらしい。う〜ん。ちょっとイメージが違うと思うが・・・。さて、今回も解説いきましょう。

@城太郎よ、おまえは焼物師になるのか?
城太郎がお通とともに本阿弥光悦の所にいるが、作った陶器を光悦に誉められ、『
俺は焼物師になる!』と宣言?した。師匠の武蔵を追わずにこのまま芸術家の道を歩むのか?この状況を見ると城太郎は、姫路城城主池田輝政の家臣・青木丹左衛門の息子という原作の設定ではないようだ。やがて芸術家になった時に武蔵と再会するのかな?

A沢庵の存在が薄いっ
沢庵は吉川武蔵にとって重要な存在である。タケゾウ時代に捕えたのも沢庵。姫路城で修行させたのも沢庵。所々で出演して最後は武蔵から”
師の御坊”とまで言わせた凄い人である。しかも、池田輝政と本阿弥光悦、柳生家とも知り合いという顔の広さ。そんな凄い沢庵なのに今回の大河は存在感がなさすぎ。姫路城で武蔵に逃げられたのがそれを物語ってる。もうちょっと存在感を表わして欲しいが・・・。登場回数が少ないのでは?

B凛々しくなった武蔵
先週の放送から
着物を新調した武蔵。流れからして吉野太夫の贈り物と思われるが、黒の着物が凄く似合っていてカッコ良い。しかも今回は歩いているだけで凄い存在感があった。セリフまわしは気になるが、そんな姿に市川新之助はスターだと思った。武蔵出演をバネに大きく羽ばたいて欲しいものだ。

C追われる武蔵にカッコ良さあり
吉岡一門をたった1人で倒した武蔵。倒して名をあげようと刺客に追われるが、
見事な刀さばで簡単に追い払った。チャンピオンの風格か?とってもカッコ良かった。

D柳生石舟斎の無刀取りの極意は?
中井貴一演じる宗矩の目つきが凄い!
さすが中井貴一!と拍手を送りたくなった。やがて石舟斎は亡くなるが、原作通り兵庫助に無刀取りの極意を伝授するのか?

E小次郎は器の大きい人間?
小次郎と武蔵が今後どうからむかも注目だ。今回も小次郎は
琴との暮らしぶりのみ。なんと!今回は小次郎がいない間に琴が犯されてしまった。吉岡清十郎が朱実に対して行ったモノよりリアルな気がしたが、それを知った小次郎曰く『琴よ、忘れろ!』。器の大きな発言である。世の男性諸君はここまで大きな人間になれるだろうか・・・。

F原田休雪とお篠、どうからむのか
伊達の家臣原田休雪と伊達政宗の腹違いの妹お篠が、隠れるように暮らしていた。そんな2人の家に
武蔵が雨宿りで訪れた。武蔵が雨宿りなんて、?と思ってしまったが、物語上なので仕方ないと理解しよう。しかし、この2人は今後どうからんでくるのか楽しみだ。

G津川雅彦、因縁なり
津川雅彦演じる本阿弥光悦が沢庵と会うシーンがあったが、
津川雅彦は役所武蔵で沢庵を演じていたのだ。そんな元沢庵と現沢庵の対面に不思議さを感じてしまった。さらに面白いのは、津川雅彦演じる本阿弥光悦が家康の話をしていた事。津川雅彦は『独眼流政宗』『葵・徳川三代』で家康を演じたからである。今まで演じた役柄を客観的に見る立場というのはどんな心境なんだろう?

【来週の展望】
原田休雪とお篠が暮らす家に雨宿りした武蔵。その場に異様な雰囲気を感じた武蔵は、休雪と顔をじっと見合わせたまま。そんなシーンで今週の放送は終わったが、この続きが楽しみだ。予告を見る限りでは伊達の刺客が襲い、
原田休雪と武蔵が一緒に闘うようだが、これは全くのオリジナルストーリー。原作無視はいただけないが、今回の大河は原作にはないオリジナルストーリーを加えてナンボなのだ。是非、面白くなる事を祈るばかりだ。

第14回 「美は美なり!」(4月6日放送)

【物語】
一乗寺下がり松で武蔵(市川新之助)は総大将である10歳の源次郎(中野勇士)を斬り捨て、藤次(阿部寛)ら次々と武蔵に挑んでくる吉岡一門を打ち破り走り去る。 戦いの後、「これしか生きる道はなかった」と武蔵はお通(米倉涼子)を抱きしめるが、武蔵を理解できなくなったお通はそれを拒む。そんなお通を城太郎(三浦春馬)は本阿弥光悦(津川雅彦)のもとに連れていく。光悦のもとで生活するうちに、お通は次第に心を癒され、そこで出会った心優しい絵師、宗仁(茂山逸平)と心を通わすようになっていった。 武蔵は比叡山にこもるが、山法師の慧言(麿赤児)たちに子供を無残に斬った事をなじられ、山から追い出される。山道を下る途中、お杉(中村玉緒)が現れ、吹き針で武蔵の目を傷つける。 目の見えぬままさまよう武蔵は吉野太夫(小泉今日子)に助けられる。そして武蔵の目が見えるようになったとき・・・・。
【牛嶋のズバリ解説】
この”解説”も、ここ数回は指摘&批判になっている気がするが、ドラマはまだ前半。今後も厳しい意見があるかもしれないが、とりあえずこのまま続けよう。最終的に面白いか面白くないかは最終回で決まると思うからだ。さて、今回は吉岡一門との三戦目である”一乗寺の決闘”である。先週は”一乗寺の決闘”というタイトルにしておきながら、決闘シーンが全然出なかったという失態を演じたNHKの名誉挽回の回である。そんな中、今回も解説、いや指摘?していこう。

@一乗寺は関ヶ原と同じレベルだ!
先週は、武蔵が吉岡一門に背後から向かって行く所で終了。今週は当然、その続きから始まる訳だが、どんなシーンになるのか期待して見始めた。しかし、前半戦最大の”一乗寺の決闘”は賞味
10分足らずで終わってしまった。『NHKよ、ずいぶん手を抜いてくれたな!』と抗議の電話を入れたいくらいだったが、”宮本武蔵”を題材にしておきながら、ここをこんなに簡単に描いてしまうとは・・・。先週に続いてNHKは、吉川武蔵を愚弄したに等しい。NHKのプロデューサーに告ぐ!『あんたの”宮本武蔵”はその程度の認識でしかないのか!』。宮本武蔵の”一乗寺”は、関ヶ原を描くのと同レベルだぞ!

A決闘がいつも同じパターンで描かれている
清十郎、伝七郎、そして今回の吉岡一門との決闘は全て、45分という時間のラストで対決直前!まで持っていき、
対決する前に番組終了。そして翌週の冒頭でいきなり決闘!しかも、あっさり終わってしまうというパターンの繰り返しだ。前にも指摘したが、決闘シーンを冒頭に持ってくるなんて制作者として構成力が乏しいというしかない。この程度でいいのなら、正直言って俺でも撮れる。

Bあっさり斬り過ぎ
吉岡の総大将は、壬生源次郎。子供でありながら総大将であるから、武蔵が斬るのは当たり前。しかし、あっさり斬りすぎではないか?
背後を突き、言葉も発せずにズバッ!ではドラマとは言えないのでは?残虐なシーンをカットしたい配慮からなのか真相は分からないが、せめて源次郎が『あぁ〜』と叫ぶ声や、『源次郎!』と叫ぶ父親の声が欲しかった(『源次郎!』という声はあったが、鉄砲が誤爆して武蔵の盾になっていた)。その後、お通から『タケゾウは恐い』と言われるが、あまりにもあっさり斬り過ぎて、斬るシーンがいかに悲惨に写ったのかは描写すべきではないか?

Cやっぱり見物人は不自然だ
お杉、お通が見物人として見守る中で行われた一乗寺の決闘。どう考えても不自然。実際にその場にいた訳ではないが、見物人がいるような場所があったとは思えない。

D殺陣が・・・
たった1人で吉岡勢と立ち合った武蔵。それだけに
殺陣シーンが重要になってくるが、今回は『おいおい』と言わざるを得ない。剣先が相手に届いていないのに相手は倒れるし、それを堂々と横から撮るとは信じられない。阿部寛演じる祇園藤次も斬られてしまうが、どう見ても武蔵より強く見えるが・・・。そもそも中村(萬屋)錦之助や北大路欣也の殺陣と比べるのが間違いかっ。

Eよくぞ!阿部藤次を生かした!
阿部寛演じる祇園藤次が生き残った。実は今回で死んでしまうのでは?と思ったが、武蔵に右腕を斬られるものの命に別状はなかった。良かった良かった。ここで
祇園藤次を殺してしまっては面白くないのである。阿部寛の存在感もなくなってしまう。今後は原作のように進むのか?それとも?いずれにしても、この流れだと祇園藤次とはもう1戦まみえるのは間違いはない。

Fお通、新しい恋へ・・・
一乗寺の後、武蔵とお通は再会。しかし、お通は『
タケゾウが恐い』と武蔵に別れを告げる。しかし、お通よ、お前は『死なないでタケゾウ!』と言ったのではなかったのか?子供を斬ったとはいえ、『無事で良かった』と迎えるのが当然ではないのか?言っている事が矛盾しているぞ。その後、お通は本阿弥光悦の元へ行き、絵師の宗仁と出会う。なにやら怪しい関係になりそうな予感だが、女の気持ちってそんなもんなのか!

G城太郎が陶芸を・・・
お通を本阿弥家に連れてきたのは武蔵の弟子の城太郎であった。そこで本阿弥光悦の陶芸を目にするが、
城太郎が陶芸にハマってしまったようだ。このまま陶芸家になってしまうのか?

H小次郎ってひどいね
琴と一緒に留まっている小次郎。しかし、小次郎が何を考えているのか分からず、琴の質問で問答となるが、
美しくなくなったらお前とは別れる旨を琴は告げられる。なんてひどい男だ!と思ったが、見方を変えればそこまで言い切れる所は凄い!でも、それでも琴は付いていくのか?小次郎の何処に惚れた?そんな事言われたら一発で相手への想いが覚めると思うが・・・。

I単純な疑問
一乗寺の後、武蔵は比叡山に篭るが、お杉婆に子供を斬った事を告げ口され、比叡山を追われてしまった。しかし、どうして武蔵のいる場所がわかったのだろう。

J心の成長が遅い?
お杉の吹き針。これはお杉の隠れた技として有名な話である。しかし、両目をふさがれるほど重症を負ったのは初めてでは?それによって吉野太夫に助けられる事になるが、ご都合主義的で安直な作りを責めるつもりはない。しかし、美についての吉野太夫との一連のやりとりはなんかしっくりこない。吉野太夫に説得力がないからか?いや、武蔵の心の成長度が遅いからかもしれない。

【来週の展望】
来週以降はどのように進むのだろう。今後は原作通りには行かないような気がする。原作ではこの後江戸に向かう武蔵だが、どんなきっかけがあって江戸に向かうのか注目だ。お通の恋の行方は?それはそうと、
一乗寺が終わると少し中弛みする吉川武蔵。もちろん、それが悪いと言う訳ではなく、野武士との闘いなどはホントに気持ちがスカッとするが、それをNHKはどう持って行くのか注目だ。

第13回 「一乗寺の決闘!」(3月30日放送)

【物語】
武蔵(市川新之助)には子供を斬ることはできないと考えた藤次(阿部寛)は、10歳の源次郎(中野勇士)を総大将に立て、武蔵を討って吉岡道場を自分のものにしようと意気込んでいた。そのことを聞いた又八(堤真一)は、苦悩する武蔵に、子供を斬るくらいなら一緒に江戸へ行こうと言う。 そこへ病におかされたお通(米倉涼子)が現れる。武蔵は自らの手ですくった水をお通に飲ませて、必ず生きてお通のところに戻ってくると約束し、ある決意を固めるのだった。 一方、朱実(内山理名)は又八とともに江戸へ行くとお甲(かたせ梨乃)に告げる。お甲は取り乱すが朱実の決心は固かった。 一乗寺の闘いの日が来た。 約束の刻が過ぎ、武蔵は斜面を駆け降り、一気に“下がり松”へ――。
【牛嶋のズバリ解説】
清十郎、伝七郎と倒し、今度は吉岡一門全てを相手に闘う一乗寺下がり松の決闘がやってきた。まさに前半最大の見所と言っていいだろう。中村錦之助、北大路欣也、役所広司、上川隆也など、これまでいろんな”宮本武蔵”を見てきたが、この決闘は何度見ても緊張するほどの凄い決闘だ。そんな訳で楽しみにしていた今回の放送だったが、相変わらず『おいおい』と言わずにはいられない放送だった。さて、今回もポイントを挙げて書いていこう。なお、アラ捜しをするために書いている訳ではない事をご理解頂きたい。こんな事を書くためのページではないのだ。

@金を取っているNHKはどう責任を取る?
今回は『一乗寺の決闘!』というタイトルである。見ている者としてはどんな闘いになるんだろう?と期待していただろうが、今回も見事に期待を裏切ってくれた。闘いが始まった所で番組が終わるとは何事か!それなら、こんなタイトルをつけるな!と言いたい。じっくり描きたいのなら、前編後編でも良かったのではないか?これは詐欺にあたると思う。受信料を取っているNHKさん、これはどう責任とるのだ。

A余計な話はいらない
今回は長々と
関係のない&余計な話を見せられた気がしてならない。又八と朱実のエピソードやお杉と又八のからみなど、なぜ入れる必要があるのか!大事な一乗寺の決闘であるから、武蔵中心で描けばいいのである。武蔵がどう吉岡一門に挑もうとしているのか?また、一乗寺で闘うためにどう作戦を練ったか、明らかに説明不足橋爪功がナレーターならもっと活用すべき。決闘までじっくり時間をかけてという意味で作ったのなら明らかに勘違いである。吉川先生を愚弄しているにすぎない。

B決闘シーンは物語の中盤から終盤に持ってくるべき
説明不足と書いたが、本当に説明不足である。1年間という長いスパンがあるのだから、もっとじっくり描けるのに・・・。全く惜しい気持ちでいっぱいだ。そんな中、
描き方に難があるのを指摘しておこう。吉岡清十郎、伝七郎との闘いはいずれも45分という時間の前半で描かれている。今回の一乗寺は最後に持ってくるのか?いいぞ!と思いながら見ていたが、結局決闘が始まる所で終わってしまった。という事は来週は冒頭で決闘?1年間という長いスパンとはいえ、視聴者は1週間おいて番組を見ている事を忘れると大事なシーンが死んでしまうのである。

C意味のないシーンはいらない
前回も指摘したが、『
木刀には己の気が伝わる』と言った武蔵。それなら、どうして一乗寺は剣なのか?前回からすっきりしないが、説明してくれ!NHKさん。のちのち困るような意味のないシーンはいらないのである。

D一乗寺の決闘には見物人がいたのか?
一乗寺は、あんな
見物人がいるような場所だったのだろうか?あんな場所なら吉岡は鉄砲を使わないはず。ドラマでの設定だから仕方がないが、吉岡一門の権威にもかかわる事である事から、見物人がいる設定はどうもおかしい。

E健康的なお通ではなかったのか?
お通が急に病弱になった。奈良から京都に単身歩いてきた疲れが出たのか?それとも病か?原作通りだが、健康的なお通を描きたいという方針ではなかったのか?だから米倉涼子をキャスティングしたのではなかったのか?今後、お通はどんな道をたどるのだろうか?

F小次郎と武蔵の接点は?
前回の放送で初めて会話した両者。
小次郎も一乗寺に立ち合うのかと思いきや、小次郎は琴と一緒にいるだけ。今後、どう接点を持って2人の関係が進んでいくのだろうか?でも、一乗寺に行って欲しかったなぁ〜。

【来週の展望】
来週は、ようやく一乗寺の決闘が描かれる訳だが、
決闘自体はどのくらい描かれるのだろう。あんな大人数を相手に闘う訳だから簡単に終わらない事を望む。予告では、祇園藤次と刀をまみえるシーンがあったが、祇園藤次を倒してしまうのか?とにかく、どんな風に描かれるのか注目だ。それと、お通が子供を斬った武蔵に別れを告げ、違う男性に目を奪われるらしい。吉野太夫も再び登場。原作無視のストーリーが展開されそうだ。

第12回 「俺は死なない!」(3月23日放送)

【物語】
武蔵(市川新之助)は三十三間堂で吉岡伝七郎(光石研)を破った。 復讐を誓う藤次(阿部寛)は、吉岡一門を総動員して一乗寺下がり松での決闘を武蔵に言い渡す。また、お甲(かたせ梨乃)の家にいる小次郎(松岡昌宏)にも加勢を促すが、蔵に自分と同じ生き方を感じた小次郎はそれを断る。 一方、吉野太夫(小泉今日子)のもとに戻った武蔵は、初めて美しいものには力があると感じていた。 その頃、絃三(江守徹)の徳川家康暗殺の企みに誘われた又八(堤真一)、朱実(内山理名)とともに江戸に向かおうとする。 深い霧の中、武蔵は一乗寺の下見をしていた。そこへ小次郎が現れ、「吉岡が総大将に立てる10歳の子どもを斬れるか、武蔵」と言って去ってゆく。一方、武蔵の居る場所を知ったお通(米倉涼子)は、武蔵に会いにお杉(中村玉緒)のもとを飛び出すが・・・

【牛嶋のズバリ解説】
今週は吉岡一門との3連戦の2戦目。宮本武蔵序盤の大きな見所である。しかし、前回同様NHKは期待を裏切ってくれた。なぜ、もっと親切に描かないのか大いに疑問である。さて、そんな中今回も厳しい意見を書いておこう。

@メリハリがないぞ
先週は、清十郎との戦いがあまりにもあっさりしすぎてないか?と指摘したが、
伝七郎との戦いもあっさりしすぎていた。伝七郎が『遅い!』と武蔵に言うが、どのくらい遅れたのか説明不足。伝七郎が助太刀無用!と言いながらも、何人かは吉岡の門弟が来ていたのだろう。しかし、付き添いは1人だけ。なぜそうなのか?北大路武蔵では武蔵を闇討ちしようとした門弟がいたではないか!それと、三十三間堂に向かう武蔵と、待つ吉岡、双方ともに丁寧に描くべきでは?あまりにもあっさりしすぎててがっかりしてしまった。これは総集編ではないのだ。じっくり描く所はじっくり描くべきだ。物語全体にメリハリが感じられない。

Aなぜ真剣で勝負しなかった?
『なぜ、真剣で勝負しない?』との伝七郎の問いに、『
木刀には己の気が伝わる』と答えた武蔵。でも、あそこは真剣で立ち合って欲しかった。真剣で立ち合わなかったからこそ、ジャンプして伝七郎の頭をかっ切るすべしかないのだ。清十郎より上と言われる伝七郎を相手に木刀とは・・・殺陣に物足りなさを感じた。あんなカタチで伝七郎も敗れるとは思っていなかっただろう。と言うより、あんなやられ方はしないだろう。また、今回の大河では温厚な伝七郎が描かれていたが、温厚さの裏に何かあるのでは?と推察していたが、結局はそれもなかった。あれなら、気性の激しい伝七郎を描いた方がよっぽど良かった。

B祇園藤次がかっこ良すぎる
原作の祇園藤次は、剣持さんも指摘していたが、
情けない役回りである。しかし、今回の大河は阿部寛。素晴らしい俳優であるが、原作の藤次が藤次だけにミスキャストだと思っていた。しかし、原作とは大違いでカッコ良く描かれている。これなら阿部寛というキャスティングも納得する。しかも、伝七郎亡き後は吉岡道場を仕切る役柄である。結局は武蔵に斬られる運命?だろうが、今後、どのくらいにくたらしい役を演じきれるか楽しみだ。

Cやっぱり口調はなんとかならないか?
市川新之助の口調は相変わらずだ。最近は
牛嶋も物真似をするほどになってしまった。舌足らずなのか?毎回毎回気になってみているが、いい加減に気になってきた。自然でいいんだ自然で・・・。

Dお通はなぜ武蔵に会いたいのだ?
今回はお通の登場シーンが多かったが、お杉につかまった中で武蔵の居場所が分かると一目散に武蔵の元へ。でも、
なぜ武蔵に会いたいのであろうか?この辺りも不明である。一方の武蔵も『お通さんにずっと会いたがっていた』と城太郎が言うが、 武蔵もなぜお通に会いたいのだろう?普通の友達なら離れているなら俺で会いたい。しかし、奈良から京都まで単身移動してまでも会いたい理由はなんなんだろう。原作を無視するからこうなるのだ

E吉野太夫の存在はなんだ?
吉野太夫の存在感が薄い。いろいろあった中で最後は『
あなたが恐い』と言われる始末。う〜ん、KYON KYONがかわいそうだ。以上。

F研師とのやりとりはあんなもんか!
研師とのやりとりもすっかり御馴染みの名シーンである。原作では、江戸に着いた武蔵が研師の店を訪れ、
刀を研いで欲しいと頼むが、店主は『この刀をどう砥げとおっしゃるので?』 と武蔵に聞く。武蔵は、『むろん、切れるように研いでもらいたいのだが・・・』と答えるが、店主は、不機嫌な顔をしながら刀を武蔵に返し、『うちの看板をご覧になりましたか?御魂研ぎどころと書いてあるように、うちは魂を砥ぐところで、人殺しの道具を砥ぐつもりはありません』と言う。武蔵の刀に残された血の跡や酷使された形跡から、その店主は武蔵を無益な殺生をする野武士と勘違いしたのである。しかし、この後、武蔵とその店主は意気投合し、実に面白い刀談義をはじめるのだが、この名シーンの設定が大河では変えられていた。まず舞台や登場する時期が違うという事もあるが、その刀研ぎを本阿弥光悦にお願いするとは。しかも却下されたまま。情けなさすぎるぞ。ご存知!芸術家として御馴染みの本阿弥光悦は、元はと言えば刀研師。だから、お願いしてもおかしくはないが、原作の名シーンを変えて欲しくはなかった。

G木刀は気が伝わるのではないのか?
前述の通り、『なぜ真剣ではないのだ?』という伝七郎の問いに対して『
木刀には己の気が伝わる』と答えた武蔵。しかし、一乗寺での決闘が決まると『刀を研いで下さい』と光悦に頼む。でも、これは矛盾してないか?そこまで言うなら刀は使うべきではないし、木刀で伝七郎の頭を叩き割った意味がない、どうなっているんだ。武蔵よ。はっきりしてくれ!

H朱実と又八・・・
朱実と又八は京都で再会するが、
かつて吉岡清十郎にいいようにしてやられた朱実に対して、なぐさめの言葉を発した又八。それがきっかけで朱実は又八に惚れたようだが、
又八が朱実を好きになる理由は明確にならず・・・。原作では、ノイローゼ気味の朱実何をやってもうまくいかない又八がお互いの境遇に共通点を見出し、自然に一緒になるようになるが、大河では無理やり朱実と又八をくっつけようとしているように思えてならない。結果的に夫婦となり、子供をもうける2人だが、今回の設定は、な〜んか不満って感じ。

【次回展望】
言うまでもなく、次回は一乗寺の決闘である。武蔵と吉岡一門との戦最終ラウンドであるが、吉岡方は子供を名目人として武蔵に勝負を挑む。ここで一言!
なぜ名目人が子供なのか説明不足だ。どうも今年の大河は説明不足の点が目につく。なんとかならないものか?物語を早く進めたいのは分かるが、メリハリなさすぎ。来週は期待しないで見ておこう。あんな晴れ間の中で戦うのも迫力が半減する気がするが・・・。ちなみに役所武蔵では全部スタジオ撮影だったが、見せてくれたぞ。

第11回 「修羅の道へ!」(3月16日放送)


【物語】
蓮台寺野で武蔵(市川新之助)は、吉岡清十郎(榎木孝明)の肩を砕き勝利する。清十郎は弟の伝七郎(光石研)に深手を負った右腕を切り落としてもらい、一命をとりとめる。伝七郎は兄の仇討(あだうち)を決心するのだった。 武蔵は妙秀(淡路恵子)という老尼とその息子の本阿弥光悦(津川雅彦)と出会う。光悦は「戦う心からは美は生まれぬ。遊びの心から美は生まれるのだ。」と武蔵に語る。 光悦は、武蔵を廓遊びに誘う。だが、伝七郎からの果たし状を受け取っていた武蔵は、同席するものの落ち着かない。そして、武蔵は廊下で出会った吉野太夫(小泉今日子)から「美しいものを感じる心もなく、修羅の道に歩んでいくのか」と言われ、必ず戻ってくると約束して、伝七郎との決闘の場へと向かうのだった。

【牛嶋のズバリ解説】
ここ数回は多少気になる面はあるものの確かに面白かった。しかし、大事な吉岡清十郎を倒した今回は辛口です。どうやら原作にあるストーリーを描くのが下手らしい。何も忠実に!とは思ってないが、あまりにもシーンが細切れで流れがしっかり出来ていないように見える。さぁ、今回はそんな訳で辛口ですが、解説していきましょう。

@いきなり始めるかぁ〜
番組が始まってすぐに武蔵と清十郎が対戦。これには見てて参った!いきなりだったので『このシーンは、どっちかが夢を見ているのだろう。うん、空想シーンだ』と思ったが、これこそが武蔵と清十郎との戦いだったのだ。ここで一言!何も番組が始まってからいきなり決闘シーンを持ってくる事はないだろう!ボクシング中継でいきなりKOシーンから始まるようなモノだ。いくらなんでも唐突すぎて武蔵と清十郎の戦いが軽く感じられてしまった。やはり、このシーンは番組中盤あたりに持って来るべき。そして、腕をそぎ落とされるシーンなどサイドストーリーを最後に持っていく。で、次週に清十郎との戦いを簡単に映像で振り返り、武蔵が本阿弥光悦と出会う。牛嶋が作り手ならそうした。

Aもっとドラマチックにすべきでは?
いきなり清十郎との決闘が始まったせいか、2人をめぐるサイドストーリーが軽くなってしまった。武蔵は1度敗れていて再度の挑戦であること。『
絶対に負けられないんだ!』という強い決意で挑んでいる姿をクロ−ズアップすべきだ。一方の清十郎は、名門吉岡の当主としての王者らしい面と、自分が思いを寄せている朱実が武蔵に惚れている事を知って『おのれ!武蔵!』とただの浪人ではない相手に向かう姿をもっとクローズアップすべきだったのでは?いきなり始まると、この戦いがどんな意味を持つかなど伝わりきれない。『大河はホームドラマだ!』と言い張るなら、メリハリをきちんと付けるべきではないか?敗れた清十郎を見て朱実が『いい気味だったわ』と言うが、朱実との関係も中途半端だっただけに説得力がなかった。

B清十郎の表情がないのが寂しい
武蔵とのいきなりの決闘で、一撃のうちに敗れた清十郎。右肩を木刀で砕かれたが、『ううう・・』と痛みを感じるだけで、『くそっ!』と
悔しがるセリフがなかった。また、名門吉岡の一大事に対して『伝七郎!頼む!』と弟を頼るセリフもなかった。要は大変な敗北を喫したにもかかわらず、当主である清十郎自身に表情がないのである。これには大いに疑問だ。腕が痛くてそれどころじゃなかったという事もあるが・・・。

C清十郎は立って吉岡道場に帰ったのか?
武蔵に右腕を砕かれた清十郎。そこへに伝七郎が現れ、倒れこむ清十郎に対して『
たかが右腕1本。兄上、立ってください』と歩いて帰る事を望むが、果たしてその後は歩いて帰ったのだろうか?そんなセリフがあるなら、たぶん右腕の痛みをこらえながら歩いて帰ったと思うが、そのシーンがカットされていたのが残念でならない。錦之助武蔵でも北大路武蔵でも、清十郎が門弟達の差し出す手を振り払い、自力で歩いていく姿があったが、血がしたたり落ちる姿は本当に迫力があった。そんな訳でなぜ描かなかったのか大いに疑問が残る。あれがあれば『敗れはしたが、あっぱれ清十郎!』となるのだが・・・。

C腕を切り落としたのは弟伝七郎
清十郎の砕かれた右腕は、
このままでは命にかかわるとの事で切断する事になるが、原作では
佐々木小次郎がその腕を切り落とす。しかし今回は、弟の伝七郎が切り落としたのだった。この話に文句をつけるつもりはないし、『弟の役目』と、伝七郎が自ら望んで切ったのは良かったのではないか?これで三十三間堂での決闘にうまく続く事になる。しかし、これで佐々木小次郎の存在が薄くなってしまった感は否めない。今後、武蔵と小次郎がどうからむのかもちょっと不安だったりして・・・。

D伝七郎の心境の変化をもっと描くべき
原作の伝七郎は気性が激しい男として描かれているが、大河では『私は染物屋として生きる』と、
温厚な伝七郎が描かれている。その伝七郎が兄の敵を討つために武蔵と闘う事になる訳だが、温厚な伝七郎がどう豹変するのか注目していたが、豹変する事もなく優等生的に復讐をするという伝七郎でしかなかった。う〜ん、残念。来週もう1週あるから期待しよう。

E本阿弥光悦登場!
いよいよ
本阿弥光悦が登場。役所武蔵での石坂浩二も良かったが、津川雅彦とはずいぶん渋い配役だ。物語では吉岡清十郎を倒した後に出会うが、美を愛するそのゆとりのある生き方に惹かれる事になる。また、光悦の母妙秀が武蔵の姿を見て『血の匂いがした』と逃げ出すシーンは御馴染みだ。しかし、新之助武蔵と津川光悦・・・年齢差がありすぎないか? 子どもと大人という関係に見え、今後どう友人関係が築かれるのか不安だ。

F吉野太夫登場!
本阿弥光悦に続いて
吉野太夫も登場。吉野太夫は島原遊郭の名妓として名をはせた人物で、お通、朱実とともに、武蔵の前に現れる女性の中でもかなり重要な役を担っている。小泉今日子がこの役を演じるとは想像もしていなかったが、個人的には役所武蔵での高橋恵子が好きかな。まぁ、それはいいとして・・・ 伝七郎との果たし合いが控える中で吉野太夫の言葉もむなしく決闘に向かう武蔵。役所武蔵では、三十三間堂に向かう際に果てしなく流れる琵琶の音が印象的だったが、吉野太夫とのからみは来週も続く事になる。期待しよう。

【来週の展望】
安全のために郭で吉野太夫と一晩過ごすように手配する光悦の願いもむなしく三十三間堂に向かう武蔵。そして伝七郎郎を倒し、
何事もなかったかのように再び郭へと帰ってくるが、ここをどう描くか注目しよう。予告編を見る限りでは、木刀で闘うようだが、なぜだろう?それと、来週も三十三間堂での決闘がいきなり始まるような気がしてならない。見せ方をもう少し考えてくれるといいのだが・・・。あとは一乗寺へとながるかも期待したい。

第10回 「宮本武蔵、参上!」(3月9日放送)

【物語】
京に戻った武蔵(市川新之助)は、初めて「宮本武蔵(みやもとむさし)」を名乗り、吉岡清十郎(榎木孝明)に立ち合いを申し込む。が、藤次(阿部寛)がその場での立ち会いを断る。そのため、武蔵は清十郎への挑戦状の立て札を京の町に立てる。朱実(内山理名)や浮浪者になりはてた又八(堤真一)はその立て札を複雑な思いで眺めていた。朱実は武蔵を訪ね、自分を慰みものにした清十郎を叩きのめしてくれと頼む。 一方、琴(仲間由紀恵)とともに京に来た小次郎(松岡昌宏)は、茨木屋の追っ手を斬り、そこで藤次と再会。藤次は2人をお甲(かたせ梨乃)のもとに連れて行き、蓬寮にかくまい、小次郎に武蔵を斬ってほしいと頼む。 そして、武蔵と小次郎は初めて出会う。会った瞬間、小次郎と武蔵はお互いを、自分と同等またはそれ以上の剣の使い手と感じ、なにもできぬまますれ違うのであった。 お通(米倉涼子)は、奈良から危険な目にあいながらも京にたどりついていた。 そのころ、武蔵と清十郎の戦いが始まろうとしていた――。

【牛嶋のズバリ解説】
いよいよ吉岡一門との決闘が始まった。武蔵は、吉岡清十郎、吉岡伝七郎を倒し、一乗寺下がり松での決闘に進む訳だが、どんな風に倒していくかワクワクする。前半の最大の見せ場では?武蔵ファンはともかく、大河を途中で断念した人にもここからまだ間に合うので見て欲しいと思う。さて、今回の解説にいこう。

@ついに宮本武蔵襲名!
物語上はまだ宮本武蔵を名乗っていない武蔵だが、オープニングテロップに、今回からしっかり『宮本武蔵』と表記されていた。
第11話にして宮本武蔵の誕生である。

Aさっぱりした武蔵
今回から武蔵の
風貌がこざっぱりした感じがする。乱れた髪も床屋さんに行ったかのように綺麗になっていた。新免武蔵から宮本武蔵への変化を感じさせるが、でも口調は相変わらず一緒だった。城太郎と話している時、一部自然な話口調になっていたが、あんな感じでしゃべればいいのに・・・。

B宮本武蔵を清十郎はどう見たか?
武蔵は吉岡道場を訪ね『お手合わせを・・・』と願い出たが、祇園藤次が『お主、名前は?』と聞く。そこで市川武蔵が間髪を入れず『宮本武蔵!』と名乗るが、藤次は以前の新免武蔵とは
見違えるほどの男になったように見えたらしい。その件に対して吉岡清十郎はコメントしなかったが、清十郎がどう思ったのか気になる。

B吉岡伝七郎がどう豹変するか楽しみだ
今回の物語でも、
清十郎と弟の伝七郎が対立したが、清十郎が武蔵に敗れた後、伝七郎は兄の仇討ちをする事になる。しかし、こんなに仲が悪いようだと本当に仇討ちをするのか疑問に思ってしまう。来週の物語では、深手を負った清十郎の右腕を切り落とすのが伝七郎らしいが、どんな風に兄の仇討ちをする決意をするか注目だ。なお、原作では清十郎の右腕を切り落とすのは佐々木小次郎である。武蔵と吉岡一門と戦いにはあまりかかわらないようだ。

C高札(立て札)は簡単に立てられる?
吉岡に書状を持って対戦を挑む武蔵。しかし、書状は投げ捨てられ武蔵は挑戦状として高札を立てた。あの時代の事はよくわからないが、あんな高札を役人以外の人間が
簡単に立てられるのだろうか・・・。

D内山朱実がかわいそうだ
京に戻った武蔵と朱実が再会するが、あまりドラマチックな再会にならなかったのが残念だ。今から20年前に放送された
役所武蔵では、吉岡清十郎に犯され、悲しみも癒えず、半ばノイローゼ気味状態の朱実(池上季美子)と再会するが、朱実ってなんでこんなにかわいそうなんだろうと同情してしまうほど、朱実の内面が実にうまく描かれていた。特に『清十郎を倒して!タケさん!』と頼むシーンは、心の底から清十郎を憎いと思っているのが伝わってきた。でも、『あれっ?吉岡に犯されたんだっけ?いつ?でも、あんまり悲しんでないじゃん』というほどの印象しかない内山朱実がかわいそうだ。

E又八が登場
騙されて銀山で働いていた又八が再び京に戻ってきた。ボロボロの着物に髪はボサボサ。まるで浮浪者だ。
あのまま故郷に帰ればいいのにと思ってしまったが、ここからどうなるのであろうか?武蔵との再会はいつか?今後に注目だ。

Fお通も京へ
柳生の里から武蔵を追って京へ到着したお通。途中で危ない目に遭うが、あかね屋絃三に助けられた。でも、どう考えても
あの時代に女の1人歩きは危ないだろう。ご存知の通り、お通は架空のキャラクターだが、もし本当にいたら京に辿り着いていないのでは?な〜んて夢のない話はやめよう。でも、先日NHKで剣持さんが『あの当時、女性でも1日30キロ歩いた』と解説していたが、それは知らなかった。それと、あかね屋の”あかね”は、なぜひらがななんだろう。

G佐々木小次郎の長剣
背中に三尺余りの長剣を持つ事で御馴染みの佐々木小次郎。今日はその長剣を抜く姿が描かれたが、その
抜き方に違和感があった。これまで演じられてきた小次郎は、全て右手で右後ろにある長剣をそのまま抜いていたが、今回の松岡小次郎は左後ろにある長剣を、左手を使って長剣を一旦地面と平行にして、左肩から右手で抜くというように描かれていた。大河が始まる前に放送された武蔵クイズなる特番を見た時にも『どっちの肩から抜くか?』という問題が出されていたが、『左肩から』が答で、剣持さんと『おかしいね』と話をしたものだ。でも、考えてみればあんな長剣は右肩からは抜けないはず。でも、右肩から抜いてこその小次郎であろう。小次郎だから右肩から抜ける。そんな夢のある小次郎を描いて欲しいなぁ〜。

H武蔵と小次郎の出会い
武蔵と小次郎が初遭遇。
原作では五条大橋という橋で出会う2人だが、今回の大河ではお寺の階段で出会った。まっ、そのシチュエーションについては特にいいだろう。小次郎は祇園藤次から『宮本武蔵を斬ってくれ』と頼まれ斬ろうとするが、並の男ではないと悟って斬れず・・・。今回の松岡小次郎は比較的表情が少ないが、2人の関係は今後どのように描かれるのか楽しみだ。でも、地味な衣装は派手に変わるのか?あの表情だと変わりそうもないが・・・。

【来週の展望】
来週はいよいよ吉岡清十郎との一戦。
これは見逃せません。絶対に見るべし!武蔵は清十郎の右肩を木刀で一撃で打ち倒すが、その腕を弟の伝七郎が切り落とすらしい。そこでどう仇を討つ決意をするのか注目だ。今回は再びロング予告が放送されたが、伝七郎、一乗寺へとつながる期待感でいっぱい。とにかくここからの数話が序盤の最大の見せ所では?小次郎がどうかかわってくるのかも注目。お通は?又八は?そして、本阿弥光悦も登場!役所武蔵で沢庵を演じた津川雅彦が光悦というのも因縁か。

第9回 「おのれを知れ!」(3月2日放送)

【物語】
もう一度吉岡一門と戦うために京に向かった武蔵(市川新之助)は、途中沢庵(渡瀬恒彦)と再会する。沢庵から池田輝政(中村勘九郎)がつけた「宮本武蔵(みやもと むさし)」という名前を渡され、さらに武蔵の姉・お吟(菊池麻衣子)が宇治にいることも知らされる。 一方、久々に柳生の里に戻ってきた宗矩(中井貴一)は、「新しい新陰流」を作りたいと語る。そのため、石舟斎(藤田まこと)の新陰流をそのまま継ぎ、深めていきたい兵庫助(高嶋政伸)と対決することになる。そんなふたりを、宗矩の妻・りん(和久井映見)は悲しい目で見守るのであった。 武蔵と別れ、石舟斎を訪ねた沢庵は、柳生の里で世話になっているお通(米倉涼子)に会い驚く。お通は沢庵から、自分が使いに出ている間に武蔵がこの里を訪れていたことを告げられ、すぐに武蔵の後を追うのだった。 一方武蔵は、姉のお吟と再会する。お吟は武蔵を母にも会わせようとするが、待ち合わせの場所から武蔵は逃げてしまう。そして子どものころ、自分に会いに来てくれなかった母の気持ちを初めて理解し、切なさで涙を流すのだった。

【牛嶋のスバリ解説】
今回はなかなか面白かったじゃないか・・・。原作とは全く異なる内容だったが、うまく物語をまとめていたように思う。武蔵が京を目指す途中で沢庵に会い、池田輝政から『宮本武蔵』の名を賜った・・・と伝えられる。武蔵が去った柳生では、柳生宗矩と石舟斎が衝突。兵庫助もまじえて一族の危機が・・・。その他、城太郎の家族の思い出のエピソードや、京に嫁いだ武蔵の姉・お吟も登場。そして、母に会う機会を回避する武蔵。”家族”というキーワードで全体が進行したという感じだ。さて、今回もポイントをあげて解説していこう。

@残念!宍戸梅軒登場せず・・・
柳生を後にした武蔵は、吉岡清十郎と再び立ち合うために京へ向かった。原作では
柳生を離れた後宍戸梅軒という鎖鎌の名手と立ち合う武蔵だが、今回の大河ではそれをあえてカットしたようだ。原作では、第1話で倒した辻風典馬の弟という設定だが、当然それも出てこないという事になる。 巌流島以後を描くためにカットしたのは仕方がないのかもしれないが、鎖鎌vs武蔵も見てみたかった

A宮本武蔵誕生は次回の放送だ
京へ向かう途中で沢庵と再会。そして池田輝政公から『宮本武蔵』の名を賜った・・・と伝えられる。先週のこの解説で、素直に『
よし!宮本武蔵と名乗ろう!』と思えるものなのか?と書いたが、やはりすぐに宮本武蔵を名乗る事はなかった。それでよいよい。そして来週の予告を見る限りでは、吉岡に挑戦した際、『宮本武蔵!』と高らかに宣言するようだ。なかなか良い演出じゃないかぁ〜。よって、”宮本武蔵”正式襲名は次回の放送となった。

B中井貴一はいいね〜。
久しぶりに柳生宗矩が登場。宗矩は石舟斎の五男で、のちに徳川家康に召抱えられて将軍家の兵法指南となるが、 巌流島以後は武蔵の最強の敵となるらしい。 これまで描かれてきた宗矩と違って今回の大河では冷酷に描かれているが、 中井貴一が完全に宗矩になりきっていてとてもいい。あの目つきの鋭さはなんだ!素晴らしいじゃないか!そういえば過去の大河『武田信玄』で主演を務めた中井貴一。最初に、そのキャスティングを知った際に『なに?違うんじゃないの?』と思った私だが、中井貴一の演技力に脱帽し、中井信玄こそ武田信玄だ!と思い知らされた過去ある。以来、中井貴一は牛嶋の大好きな俳優になったが、中井宗矩、ホント、いいね〜。

C安心して見られた?
市川武蔵の
セリフの言い回しは今回も一緒だった。気合の入りすぎ?もっと力を抜いた方がいいんじゃない?と思ったが、ずっとこの調子なので、きっと演出家の指示なのだろう。それはそれで制作者のこだわりがあるのだから、それを理解するしかない。でも、発言の一言一言にドキドキしてしまうのはなぜだろう。まだ市川武蔵を信頼していないからか?一方、藤田石舟斎と中井宗矩の会話シーンになると妙に安心してしまったが、やはりベテラン俳優に対する信頼感か?さすがベテラン俳優!年季が入ってる!

D姉が登場!
今回の大河には武蔵の姉・お吟は出てこないのかと思った。なぜなら、原作では一緒に住んでいるという設定だが、今回の大河では
姉のアの字も出てこなかったからだ。そんな中、満を持して登場。しかも京の茶屋に嫁いでいるという。それを知らない武蔵。でも、その辺りはナレーションなどで説明すべきだろう。しかし、姉が菊池麻衣子とは・・・これも牛嶋の好きな女優であるが、素晴らしいじゃないか・・・。弟・武蔵を前に涙するシーンにはもらい泣きしそうになった。今後も出てくるのかな?思えば役所武蔵でお吟を演じた新井春美も好きだったなぁ〜。

E武蔵の母は生きていたのか?
武蔵の
母については諸説あるのでなんとも言いようがない。一般的なのは、母はお政という名で、無二斎から離縁され播磨国に身を寄せる・・・という話だが、それも確かではない。
死んだという説もある中、『母に会って』との話があって正直言ってびっくりしてしまった。う〜ん、母の存在が今後の武蔵にどう関係してくるのだろう。

【来週の展望】
来週は『宮本武蔵参上!』というタイトル通り、正式に宮本武蔵を襲名するようだ。いよいよか!と楽しみだが、予告編にあった市川武蔵が『宮本武蔵!』と高らかに言うシーンを早く見たいものだ。そして吉岡清十郎と再び対決。そして、伝七郎、一乗寺へと続く・・・。また、佐々木小次郎との出会いもあるようだ。 まさに物語は第一章から第二章へと進む感じでワクワクドキドキだ。

第8回 「いざ! 柳生の剣」(2月23日放送)

【物語】
武蔵(市川新之助)が柳生屋敷に向かっているころ、石舟斎(藤田まこと)は亜矢(寺島しのぶ)の知らせで、お通(米倉涼子)が捜し求めているのが武蔵であることを知る。お通にひかれている孫の兵庫助(高嶋政伸)のことを思った石舟斎は、お通を1日がかりの使いに出し、
二人を出会わせないようにした。 そして翌朝、武蔵と石舟斎は柳生の道場で立ち合うが、石舟斎の“無刀取り”のもと、武蔵はまったく歯が立たなかった。石舟斎に「人を殺めることが剣術ではない」と教えられるが、その真意までは武蔵には分からなかった。 一方、又八(堤真一)は、埋蔵金を掘り当てて一旗あげようとするが、ただの人買いにだまされる始末。また窮地に立たされてしまった。 小次郎(松岡昌宏)は、お篠(宮沢りえ)を訪ねるが、お篠は会おうとしない。小次郎は茨木屋に戻ると、琴(仲間由紀恵)を連れて、逃げるように京へ向かうのだった。 その頃お篠は、自分を追い続けていた伊達家の黒脛巾衆の頭・原田休雪(遠藤憲一)と廓で出会っていた。休雪の目的とは……。

【牛嶋のズバリ解説
毎回毎回、『原作と違う!』と非難してきたが、第8話にして、自分を押し殺して見る事が出来るようになってきた。どんなにつまらなくても1年間ずっと見るだろうし、それなら吉川英治原作の武蔵は一旦封印して、鎌田武蔵という位置づけで見ればいいじゃないか?そうすると腹も立たなくなる・・・。そう気持ちを切り替えて見る事にした。さて、そんな気持ちからか、率直に、『なかなか面白くなってきたじゃないか!』と感想を言っておこう。柳生石舟斎に出会い、ますます成長していく武蔵。そして、又八、小次郎、お篠など、人間模様もさらなる展開を見せ、ますます楽しみになってきたのでは?さて、そんな第8回の解説をじっくりしていきましょう。

@石舟斎はカッコ良い。
藤田まこと演じる柳生石舟斎は、やっぱりカッコ良い。声の重みや表情、貫禄がありすぎる!まさにハマリ役では?今回の大河では実際に武蔵と立ち合ったが、そんな藤田石舟斎への思いから、武蔵に負けなくて良かったと思える。また、武蔵を叩きつぶして鍛えて欲しいと思いながら見てしまった。でも、無刀取りという言葉が出てこなかったのが残念だが・・・。あとは、真剣で立ち合った方が石舟斎の凄さを感じる上では良かったのでは?

A思い切った事をしたNHK
原作では石舟斎と実際に立ち合ってない武蔵。宝蔵院の胤舜とも立ち合ってないが、成長ドラマとして描きたいNHK側の意向から立ち合うシーンを作ったのだろう。でも、吉岡清十郎に続いて、これで2敗してしまった武蔵だが、NHKはずいぶん思い切った事をしたものだ。

B芍薬のシーン
前回書き忘れたが、
武蔵が芍薬を切るシーンはなかなか迫力があった。今回は柳生石舟斎と対面するという事で当然芍薬の話の続きが出てくる訳だが、『なぜ、あんな風に切れるのですか?教えてくだされ』と、教えを請うシーンがあれば、なお良かった。

C力入れすぎだよな・・・
大河を語る掲示板でしきりに指摘されているが、
市川武蔵のセリフの言い回しには?と思ってしまう。もっと力を抜いて素直に声を出せばいいのに・・・。あとは演技が大袈裟。石舟斎に敗れ、柳生を後にした際に俺は狭い!』と叫ぶシーンがあったが、牛嶋が監督なら、あのように叫ばせず、語りを入れて無言のまま落ち込む武蔵の顔をもっと描くが・・・。でも、これから吉岡清十郎や伝七郎、一乗寺を描くなら、あんな演技だと武蔵を演じきれないと思うが・・・。本阿弥光悦も出てくるだろうし・・。

Dお通と武蔵の関係は?
柳生で世話になっているお通の笛に反応した武蔵。一方、お通を兵庫助の嫁にと考えている石舟斎は、お通に使いを頼み、
お通と武蔵を会わせないようにしたが、今回の大河では、お通と武蔵がお互いがどう思っているのかが、まだ明確に描かれていない。来週は武蔵が柳生に来たのを知って、お通が後を追うらしいが、この2人の関係をどう持っていくのか注目だ。噂によると、一乗寺で子供を切った武蔵を非難して、お通は武蔵に別れを告げるらしいが・・・。

E意外にあっさりしてたぞ
宮沢りえ扮するお篠は、
伊達政宗に”とある理由”で追われている設定だが、今日全てが明らかにされた。一揆を扇動した書付を政宗の妹であるお篠に盗まれたから・・・という事だが、意外にあっさりしすぎてて拍子抜けしてしまった。その書付も燃やされ、もうこの話題も出てこない事だろう。それはそうと、なぜ伊達政宗なのかが今もって不明である。かつては東北の暴れん坊として恐れられ、生まれてくるのがもう少し早ければ天下を取っていたと言われる伊達政宗だが、政宗ファンの牛嶋としては『政宗を愚弄している!』と思わざるをえない。確かに、秀吉関白時代と家康大権現時代に謀反?を企てた政宗だが、それに相通じるような設定だった。やはり政宗ファンとしては今回の描き方は残念だ。

F小次郎と琴の関係は?
小次郎と琴は不倫関係にある訳だが、なんかイマイチ中途半端な気がする。今後の展開に生きる関係ならいいのだが・・・。それにしても剣持さん指摘のように小次郎の衣装は地味だなぁ〜。

【来週の展望】
来週は、いよいよ
宮本武蔵が誕生するようだ。でも、命名者の池田輝政から直接言われたならまだしも、沢庵から池田輝政命名だと聞かされて、素直に『よし!宮本武蔵と名乗ろう!』と思えるものなのか?NHKの演出に期待したい。そして、武蔵の姉・お吟も登場するようだが、今さら登場してどうなるのか?という気もする。登場させるなら、スタート時から登場させた方が、見る側も”情”が生まれると思うが・・・。おっと、批判はしないんだったな。わははは。あとは又八の行方も心配だ。

第7回 「秘剣! 燕返し」(2月16日放送)

【物語】
宝蔵院との戦いに勝ったものの、心の中に寂しさを感じていた武蔵(市川新之助)は、日観(長門勇)という老師に「自分にも、他人にも素直になれ」と諭される。その言葉を胸に城太郎(三浦春馬)を連れ、柳生新陰流の門をたたこうと柳生へ向かう。柳生には、石舟斎(藤田まこと)がいた。さらに偶然にもお通(米倉涼子)が柳生家の世話になっていた。一方、小次郎(松岡昌宏)は大坂の茨木屋(磯部勉)の屋敷で、飛んでいる燕を斬る技を得ようと修行に励んでいた。茨木屋から仕官を勧められ、豊臣家の武将・大野治房(佐々木主浩)と会うが、「燕が今の自分の敵である」と断る。ある日、小次郎は茨木屋の妻・琴(仲間由紀恵)を初めて見て、自害した許婚(いいなずけ)の八重(二役)にそっくりなことに驚く。そして、ついに燕を斬ることに成功した小次郎は、その興奮の中で琴を抱いてしまう。しかし皮肉にも、茨木屋に招かれた遊女歌舞伎の中にお篠(宮沢りえ)の姿があった・・・。

【牛嶋のズバリ解説】
先日報道された市川新之助の隠し子騒動だが、はっきり言って我々にとってはどうでもいい事である。ましてや大人同士がちゃんと話し合いをした上での結論だから、ああだこうだと語るのは大きなお世話。『大河を降りるべき』なんて発言をした人間がいたが、こういう発言を耳にするたびに、『人間って・・・相変わらず弱い者イジメが好きだなぁ〜。人の足を引っぱるのがそんなに快感なのか・・・』と悲しくなってしまった。確かに芸能人はイメージ商売で、これによって新之助に対する好感度が下がったかもしれないが、『新之助よ、おぬしもなかなかやるのぉ〜』と思う器の大きさを人間は持つべきではないか?そうじゃないと新しい時代は切り開けないと思う。さて、本題に戻ろう。宝蔵院を後に、柳生へ向かう武蔵。これは原作通りだが、新しい展開にはワクワクするものだ。なにしろ演じている人間が違うのだから、あの人が○○を演じるとどうなるんだろう?などと想像しながら楽しむ事が出来るのだ。中でも柳生石舟斎を藤田まことが演じるというのは素晴らしいキャスティングだと思う。さて、今回もポイントをあげて解説していこう。

@日観は、ただの鍬を持ったオヤジ?
原作では、宝蔵院の阿厳を倒した際と般若坂の決闘の際にも登場する日観だが、満を持して武蔵が宝蔵院を後にする際に登場。武蔵が宝蔵院に向かう際にも登場した日観だが、 もっと登場シーンを作って欲しかった。成長ドラマなら”
日観から学んだ事”をもっと出しても良かったのでは?さらにつけ加えると、登場シーンが少ないせいか日観が、ただの鍬を持ったオヤジにしか見えなかったのが残念だ。でも、”金がない”武蔵に路銀を手渡したのは、柳生での宿賃になった訳だし、宿賃がなかったら芍薬のシーンも出てこなかったのだから、そこはうまくつながっているのか?でも、芸が細かすぎるぞ!こんな芸の細かさは必要ない。もっと原作を大事に。人物を大事に扱って欲しい

Aあそこに伝七郎がいれば・・・
日観にもらった路銀で宿に泊まり、風呂に入る武蔵だが、そこで『石舟斎は卑怯だ!』とののしる人物に会った。名もなき男2人だったが、
原作では、その男こそが吉岡伝七郎なのである。石舟斎は、伝七郎を相手にせず、 お通を使者に立て、手紙と芍薬を伝七郎に送るが、その芍薬の切り口を見落とした事を知ると、『会って見るまでもない人物』と一刀両断する・・・。でも、今回は伝七郎でなかった・・・・なんともったいない事か。あれが伝七郎なら、その後に話が続いていくのに・・・。原作を無視して面白くなるとは考えにくいが・・・NHKさん、ホントに頼むよ!と言いたい。

Bお通をもっと出せ
Aで述べたように、
お通が石舟斎の使者として手紙と芍薬を渡しに行く。そこで、
武蔵とニアミスするのが原作だが、そのシーンもなし。石舟斎、兵庫助と『わははは・・・』と話している場合ではないのだ。せっかくの準主役のお通なのだから、もっと出しては?

C藤田まこと貫禄ありすぎ
柳生新陰流の太祖である柳生石舟斎。その役を藤田まことが演じるというのを聞かされた時、思わず『へ〜っ・・・』と関心してしまったのを思い出す。それほど、牛嶋にとって衝撃的なキャスティングだったのだ。藤田まことの代表作といえば、必殺仕事人。時代劇好きの牛嶋だが、”必殺”は特に好きなドラマだった。奉行所、家庭ではダメキャラで、いざ”仕事”となると人が変わったかのように悪を倒す・・・そのギャップがたまらなく好きなのだ。牛嶋にとっては時代劇の神様的な存在なのかもしれない。そんな藤田まことをキャスティングしたNHKは素晴らしい!今回の大河でのMVPのひとつかもしれない。さて、今回の放送で、藤田まこと演じる石舟斎は、いきなり何事もなかったかのそうに刺客をブスリ・・・。その姿のカッコ良さはたまらなかった。その後のシーンも、1秒たりとも視聴者の目を離させない 見事な演技力だった。人間国宝の粋にいると思う。とにかく貫禄ありすぎ!

D高嶋兵庫助いいね〜。
柳生石舟斎の長男・厳勝の次男で、のちに尾張柳生を興す 柳生兵庫助は、高嶋政伸が演じているが、これも素晴らしいキャスティングだ。兵庫助はお通に惚れるが、お通に意中の人がいるのを知ると、それを陰から見守る
人の良さは高嶋政伸のような好感度のある俳優にぴったりだ。

E頑張ってるね、松岡小次郎
燕返しを習得した小次郎。はっきり言って小次郎を演じるには
役不足な松岡昌弘だが、頑張って演じている様子が伺える。思えば、『利家とまつ』の信長(反町隆史)もそうだった。今後に期待だ。頑張れ!松岡小次郎!

F全体的に説明不足だと思うが
今回の大河は全体的に説明不足な点が多々あると思う。せっかく
橋爪功をナレーターに使っているんだから、もっと登場させたらどうか?武蔵が今何を考えているのか?これはこういう事だった・・・など、事あるごとに”語り”を入れたらどうか?見ている人に考えさせる必要はない。それはそうと、冒頭で『宝蔵院に勝った・・・』とあったが、 あれは引き分けではないのか?説明不足というより、間違った説明では?それと、『武蔵はお通に会いたくなった・・・』というのもあったが、なぜ会いたくなったのか説明不足であると思う。

G市川武蔵の演技について
市川新之助の演技に疑問が多い。大河を語る掲示板でもボロクソに叩かれているが、あの
感情を込めすぎる演技はイタダケナイ。もっと自然でもいいのに・・・。NHKの指図か・・・。それとも本人の意向か。いずれにしても間違いだぞ!あれは・・・。

【次回展望】
次回は柳生石舟斎との立合いが見られるようだ。しかも、石舟斎の無刀取りを受けてしまうようだ。う〜ん。相変わらず原作無視の姿勢は変わらないのか。でも、藤田石舟斎の凄さを見られるのはいいかも・・・と、苦笑いをしておこう。それと、来週、芍薬のシーンの続きがあるのか注目だ。

第6回 「決闘! 般若坂」(2月9日放送)

【物語】
宝蔵院を訪ねた武蔵(市川新之助)は、
巨漢の僧・阿厳 (武藤敬司)を1撃の下に叩きつける。それを見た3人の牢人は仲間にとり込もうとするが、武蔵は相手にしない。3人は策略をめぐらせ、立て札をたてて、武蔵を宝蔵院の僧侶たちと戦わせて殺そうとする。その立て札の前で武蔵は、城太郎(三浦春馬)という少年と出会う。城太郎は武蔵に「弟子にしてくれ」と言って離れない。 一方、又八(堤真一)はお杉(中村玉緒)と叔父の権六(谷啓)に再会するが、お杉にうんざりしてすきを見つけ逃げ出してしまう。 立て札どおりに般若坂に現れた武蔵は、宝蔵院の僧侶たちの前で、大勢の牢人と戦うなかで自然に二刀を使うようになっていた。そして、武蔵は無敗を誇る宝蔵院当主・胤舜(浜田学)に立ち合いを挑む ―。

【牛嶋のズバリ解説】
いつも指摘しているが、本当に展開が早い。まさか
第6話で般若坂の決闘を見るとは・・・。全45話あった役所武蔵では、第15話で描かれていたのだから、凄いペースで進んでいるのが分かる。さて、今回の般若坂での決闘も”宮本武蔵”における重要なシーンである。中村錦之助が演じ、昭和37年11月に公開されたた宮本武蔵5部作でも、第2作で『般若坂の決斗』というサブタイトルが付いているくらいだ。この映画は牛嶋もビデオで見たが、凄く良い作品だった。宝蔵院の僧が槍を持って武蔵の元へ歩み寄るシーンは、まるで自分がその場にいるかのように恐怖感があった。興味があれば、是非、このビデオをご覧頂きたい。そんな中で、今回の大河では武蔵が一歩一歩成長している様子が伺えた。原作では、もうこの時点でかなりの実力者だった武蔵だが、これからさらに成長し、吉岡清十郎と闘う時には相当な実力者になっているという設定なのでは?さて、今回もポイントをいくつか上げてみる。
若き錦之助・・・カッコいいぜ
@日観がなぜ出てこない?
前回の解説の際にも書いたが、この般若坂の決闘は、日観という奥蔵院の住職が重要なカギを握っている。前回の放送で『おおっ、長門勇が演じるのか・・・』と思ったが、日観は登場せず。出てこないので、当然、『おん身は強すぎる・・・』というセリフも出てくる訳もなく、『
大掃除』という言葉も宝蔵院当主・胤舜の口からだった。日観は、武蔵が唯一負けた気になる相手だが、これも省かれた。おいおい、鎌田敏夫よ!いい加減にしろ!と言いたい。

A本当に強い!と思わせる日はいつ来るのか?
今回の大河では、修業する事を意図的に省き、タケゾウのまま諸国を旅させて、その過程で人間として成長していくという設定になっている。成長ドラマを見せたいとの事だが、何回考えても納得がいかない。やはりドラマの中とはいえ、リアリティさは必要。少なくとも今回の般若坂でも、毛の生えた強さでしかなかった。

Bあの間はなんだ!
般若坂での決闘後に、宝蔵院の当主である胤舜と立ち合うシーンがあったが、胤舜に手痛い一撃を受けてしまう武蔵。しかし、槍を跳ね飛ばし、なんとか引き分けに持ち込んだといった感じ。それはいいとして、最後に胤舜の槍を飛ばすシーンの前にあった、あの間はなんなんだ。武蔵の目が大きく見開き、気でも狂ったかのような表情をするのに何の意味があるのか?不思議で仕方がない。

Cバガボンドが原作?
今回の大河は言うまでもなく吉川英治さんの原作である。しかし、
原作が無視されている点がすごく目につく。ここまで原作を変えるなら、なぜ原案としなかったのか?など、原作を深く愛する多くの人を裏切っている気がしてならない。さて、そんな事を切々と訴えても仕方がないので止めるが、今回の大河では漫画『バガボンド』に似ている点が多々ある。ご存知の通り、『バガボンド』も吉川先生の原作だが、修業の部分を省いている点など、成長ドラマにしている点は同じ。とすると、大河ドラマは『バガボンド』が原作ではないかと思ってしまう。

D城太郎を演じたあの子はうまい!
吉川武蔵では、武蔵の弟子として、あの青木丹左衛門の息子である青木城太郎が登場するが、今回が初登場。城太郎を演じた子供の演技は良かった。

【次回展望】
今週の放送で登場すべきだった日観が、来週、満を持して登場。そこで武蔵に言葉を発するが、果たしてどんな言葉を言うのか注目だ。そして、柳生の里へ。そこで、
吉川武蔵でも1,2を争う名場面芍薬のシーン”が登場する。藤田まこと演じる柳生石舟斎に期待だ!

第5回 「一から出直せ!」(2月2日放送)

【物語】
武蔵(市川新之助)は吉岡清十郎(榎木孝明)に敗れた悔しさから、
山にこもってさまざまな修行に明け暮れていた。一方、蓬の寮を出た又八(堤真一)は、お通(米倉涼子)と偶然出会い、許婚(いいなずけ)同士だった2人がすでに別々の道を歩んでいることを感じるのだった。その後、又八は伏見城の普請場で働くようになり、ある日、人足たちに殺された男が持っていた大金と、「佐々木小次郎」という男あてに書かれた目録を手に入れる。だが、その大金を赤壁八十馬(うじきつよし)という牢人にだまし取られる。失意の又八の前に、母親のお杉(中村玉緒)が現れる。又八と別れたお通は、武蔵を追って奈良へ向かった。道中、女1人旅のお通に牢人たちがおそいかかる。そこへ現れたのが、柳生兵庫助(高嶋政伸)だった・・・。そのころ、武蔵は奈良の宝蔵院へと向かっていた。

【牛嶋のズバリ解説】
吉岡清十郎に敗れた悔しさから、武蔵は
いよいよ修行を開始した。修行の間は当然、別のストーリーが描かれる訳で、今回は又八とお通が中心のストーリーだった。お甲と離れて故郷にも帰らずに京都をさまよう又八、武蔵を探すお通、お杉との再会などがあったが、まぁまぁ楽しめた。最後に、ん?という部分があったが・・・そんな中で今回もいくつかポイントをあげてみた。

@ついに修行に入った武蔵
いつから武蔵は修行に入るのか?と注目されたが、
第5回にしてついに修行を開始。しかし、吉岡清十郎に敗れた悔しさだけで修行に入るのは疑問だ。要は心も一緒に鍛えなければ、本当の”宮本武蔵”になる事は出来ないという事である。原作では開かずの間に閉じ込められるが、武蔵の心を鍛えるきっかけになる出来事はないのか?
今後に期待するのみだ。

Aあれで修行は終わり?
宝蔵院に向かった武蔵だが、もしかして
修行は終了したのか?あれではいいとこ1〜2週間だぞ。強くなったとはとても思えないが・・・。

A市川新之助は、殺陣が下手すぎないか?
修行に入った武蔵だが、
市川武蔵の殺陣は下手すぎないか?今はまだ弱くても、いずれ剣術の達人になる訳だし、『おっ、こいつはなかなかやるぞ!』というのを少しでも感じさせてくれてもいいのではないか?自然の中とはいえ、あの打ち方じゃまだまだ半人前。このままのペースで進むなら、強い武蔵誕生は夏までかかりそうだ。と、嫌味ばかり言っても仕方ないが、『さすが武蔵!』とうならせるような殺陣を期待したい。

B日観との出会い・・・あれはなんじゃ!
宝蔵院に向かった武蔵だが、そこで鍬を持って畑を耕す老僧を見る。そっと側を通ろうとすると、老僧の身体から、すさまじい気が感じられて、武蔵は思わず9尺ほど飛んで通った。振り返ってみると、老僧は何事もなかったように畑仕事を続けていた・・・というのが原作だが、ここのシーンも大事な場面。殺気は感じたが、
9尺飛んだシーンがなかった。しかもいきなり老僧と武蔵を会話させるとは何事か?その老爺こそが武蔵を唯一破った奥蔵院の住職・日観だが、この場面は原作に忠実に描いて欲しかった。このシーンは原作にKO負けしていたぞ。

C又八がいいぞ
堤又八の評判が良い。剣持氏も絶賛していたが、牛嶋も同感だ。人物設定がいいのか?脚本がいいのか?いや、堤真一がいいのか?牛嶋は役所武蔵で演じた
奥田瑛二又八が大好きだが、今後どんな又八が描かれるか注目だ。
とにかく又八がいいぞ!

【次回展望】
宝蔵院で武藤敬司演じる阿巌を一撃で倒す武蔵。そこへ日観が現れるが、日観は武蔵に『おん身は強すぎる。余りにも強い。その強さを少したわめぬといかんのう』と・・・言うのか注目。でも、大河では日観のそばを飛ばなかったので、以下のセリフもないのか?ちょっと紹介すると、『わしがさっき、畑で菜を作っていると、お手前は九尺も飛んで通られたじゃろう。なんであんな振舞をする』『あなたの鍬が、私の両足に向かって、いつ横ざまに薙ぎ付けて来るかわからないように思えたからです・・・』と答えると、日観は『あべこべじゃよ。おん身が歩いてくると、十間も先から殺気を鍬にぴりっと感じていた。それ程、おん身の1歩1歩に争気がある。当然わしもそれに対して心に武装を持ったのじゃ。もしあの時、側を通ったのがただの百姓かなんかだったら、わしはただ、鍬を持って菜を作っているだけの老いぼれに過ぎなかっただろう。あの殺気は、つまり影法師じゃよ。自分の影法師に驚いて自分で跳び退いたわけになる』という日観のセリフが死んで事になる!しかも、ここで武蔵は、すでに日観に負けている分を見い出すという大事な部分である。さぁ、鎌田武蔵はこれをどう変えて話を進めるのだ

第4回 「倒してみせる!」(1月26日放送)

【物語】
京に出た武蔵(市川新之助)は、市中で
絶妙の剣を振るう清十郎(榎木孝明)を目の当たりにし、敵愾心(てきがいしん)を燃やす。お通(米倉涼子)は武蔵を追って姫路から京へと旅立つ。そして、武蔵を怨むお杉(中村玉緒)もまた、権六(谷啓)を伴い京へ向かう。お甲(かたせ梨乃)・朱実(内山理名)とともに蓬の寮でじだらくな生活を送っていた又八(堤真一)は、武蔵を仇と狙う茂助の弟・弥二郎(古本新之輔)から事情を聞き、お通を捨てた武蔵を憎む。一方、八重(仲間由紀恵)に目の前で自害されたため、お篠(宮沢りえ)に会いに行けなかった小次郎(松岡昌宏)は旅立ったお篠の後を追う。武蔵は、清十郎への挑戦がかなうが、相手にならず叩き出される。呆然と歩いているところで又八と再会。そこを弥二郎に襲われ、武蔵はやむを得ず刀を抜くのだった・・・。

【牛嶋のズバリ解説】
武蔵は姫路から京へ。何度も書いているが、原作ではこの時点で既に、新免武蔵から宮本武蔵に名前が変わっていて、修行も終えた上で、腕試しとしてまず吉岡道場へ行く。しかし、清十郎は不在。門弟を倒して『また改めて参る』と言って奈良の法蔵院へ行くのである。しかし、今回の大河では本格的な修行もせずに吉岡清十郎と対戦。全く歯がたたずに吉岡道場を後にする・・・という、根本から違う物語になっている。今回の大河は武蔵の成長物語にしたいという事だが、戦いながら強くなっていく武蔵を描いていくのか?さて、今回もポイントを上げてみた。

@吉岡清十郎の強さが分かった?
正直言って原作では強い武蔵といきなり対戦するので、
清十郎がどんなに強いかは描かれていなかった。しかし、まだ未熟な状態とはいえ、清十郎と立合い、全く歯がたたない様子が描かれて、清十郎の強さが分かったのでは良かったのでは?でも、牛嶋はここで清十郎とは立ち合って欲しくはなかったが・・・。

A清十郎はイヤな奴ではないのか?
強姦に近いカタチで朱実と関係を持つ清十郎。それに対して『かわいそう』と、朱実に同情する気持ちが芽生える原作だが、大河は描き方が中途半端だった。やはり、NHKだからか?その他、偉そうな口をきいたりもするが、榎木孝明自体が悪人タイプではないだけに、『おのれ!清十郎!』というほど、イヤな奴に感じなかったのが残念だ。むしろ、祇園藤次演じる阿部寛が清十郎の方がいいような気がするが・・・。

B伝七郎の描き方が違うぜ
吉岡伝七郎との出会いも
原作に忠実に描いて欲しかった。原作では、武蔵が柳生を訪れた際に風呂の中で出会うが、その時の事を覚えていた武蔵と、覚えていない伝七郎がのちのち描かれるのだが、それは描いて欲しかった。そうすると、柳生石舟斉が切った”芍薬”にまつわる話もこれで描かれなくなるのか?しかも、原作の伝七郎は気性が激しく描かれるが、大河の場合は温厚な伝七郎が描かれていた。いずれ三十三間堂で対戦する2人だが、伝七郎が豹変する姿が見たいものだ。

Cどう考えてもペースが速い?
26日の放送では、来週の予告の他に再来週以降の予告も放送された。第6回では”般若坂の決闘”が描かれるという。なんというペースの速さか!

【来週の展望】
来週は武蔵が自分の弱さを痛感して修行に出る姿が描かれるようだが、やっと修行に入るのか!という感じ。しかし、精神面も含めた成長が見られそうもない。やはり、開かずの間に閉じ込められるシーンは重要なんだという事が分かる。なによりも、タケゾウからムサシに、内面から変わるシーンは必要なのでは?問題は、いつ新免武蔵から宮本武蔵になるのかという事。このままでいくと、法蔵院や柳生でも”新免武蔵”のような気がするが、それは解せない。ペースが速いのなら、宮本武蔵襲名も速くして欲しいが・・。

第3回 「弱さを知れ!」(1月19日放送)

【物語】
捕らわれた武蔵(市川新之助)は、沢庵(渡瀬恒彦)の取りなしで命だけは助けられ、姫路城に連行される。城主・池田輝政(中村勘九郎)に対面するが、反抗する武蔵に沢庵は「お通(米倉涼子)は死んだ」と告げる。 その頃、大和・柳生庄の柳生の屋敷には、石舟斎(藤田まこと)、宗矩(中井貴一)、兵庫助(高嶋政伸)らが一堂に会していた。安息を望む石舟斎と栄達を望む宗矩との、父と子の軋轢(あつれき)は既に生じていた。京では、又八(堤真一)とお甲(かたせ梨乃)、朱実(内山理名)が、新たな金づるとなった吉岡清十郎(榎木孝明)、祇園藤次(阿部寛)らと評判の阿国(片岡京子)歌舞伎を観に行くが、その舞台で踊るお篠(宮沢りえ)が何者かに襲われる。その危機を小次郎(松岡昌宏)が救う。互いに通じあうものを感じた2人はともに逃げることを約束するが、小次郎の前には再び八重(仲間由紀恵)が姿を現す。姫路城で沢庵のもと、剣や茶、書などさまざまな修練を課される武蔵はついに絶えきれず逃げ出す。逃げる武蔵に沢庵は、お通が生きていることを明かすが・・・・・。

【牛嶋ズバリ解説】
先週は、武蔵とお通が宮本村から逃げ出し、途中で崖から落ちてしまうというシーンで終わったが、第3話は、武蔵が姫路城で捕らえられた&お通は姫路城近くの茶屋で働いているという、いきなり?の設定からスタートした。話の様子からすると沢庵が助けたらしい。でも、武蔵は沢庵に『お通は死んだ』と告げられるが、お通は茶屋で働く際に姫路城をずっと見つめるシーンがある事から、武蔵がお通の消息を知らないのに大して、お通は武蔵が姫路城にいる事を知ってるようだ。崖から落ちた際に武蔵は気絶してしまっていたのか?さて、今回もポイントを絞って語っていきたい。

@ドラマチックな大河を求めているのか?
原作では、姫路城で武蔵が開かずの間に閉じ込められ、3年間精神修行。そして、城主池田輝政から”宮本武蔵”という名を与えられ、仕官の誘いを断り、剣で生きたい!と武者修行へと旅立つが、今回は開かずの間に
閉じ込められる間もなく京へ逃亡。これには思わず『ん?』と思ってしまったが、その謎は、来週の予告を見てすぐに解明した。なんと!来週早くも吉岡清十郎と立ち合うではないか!しかも、清十郎に全く歯がたたなかった武蔵が描かれるなんて・・・これは、原作とは全く違う設定だ。う〜ん、個人的には、未熟な武蔵のままで、軽がるしく吉岡と立ち合って欲しくはなかった。タケゾウ時代は勝てなかったが、修行後のムサシは勝つ!そうすればドラマチックだ!盛り上がると思ったのか?

A宮本武蔵になるタイミングは?
宮本武蔵という名は、池田輝政が命名者だが、今回は名前をもらう前に京に行ってしまった武蔵。吉岡に全く歯がたたなかった!自分は弱い!と、
再び姫路へ戻るのか?そこから修行が始まるのか?そして、名をもらうのか?いずれにしても、新免武蔵から宮本武蔵に名前が変わるのは、表面上にとどまらず、内面も一緒に変わらないと意味がないのである。今後のそのタイミングに注目したい。

B全てはお通のせい?
武蔵が姫路城を抜け出し、街を走り抜ける際、茶屋で働くお通とニアミスするが、運命のいたずらか?お互い顔を合わせる事もなく離れてしまう。原作では、新免武蔵から宮本武蔵になり、武者修行に旅立つ際、『一緒に連れてって』というお通に対して、『
許してたもれ』と、橋に刀で彫った文字を残し1人修行に出るが、今回のこのシーンを見て、『なんでこんなにいろいろ設定が変わってしまうのか?』と、考えてしまった。ビデオで2回見てやっと気が付いたが、全ては、お通の設定が根本(こんぽん)違うからではないか?という結論に行き着いた。原作では弱々しいお通で、武蔵に対して”恋愛感情を持つ”のに対して、 大河では強くたくましいお通で、武蔵に対しては、”お友達”という関係を維持しているようにしか思えないのだが・・・。ここまでを見ると、とても恋愛感情を持つように思えないし、武蔵の恋人と言われたお通が単なる友達で終わってしまうのではないか?そう考えると、今回これだけ設定が違うのはお通のせいと言えるのでは?

B今回の沢庵は力不足?
武蔵逃亡の話を沢庵から聞いて、お通は、『人は急に強くなれない。その辺を沢庵さまに分かって欲しかった』と沢庵を一喝するが、お通に説教される沢庵は見たくなかった。僧だけに人を見る力や考え方は、常に優れているように描いて欲しかったからだ。中村錦之助主演では三国連太郎。役所広司主演では津川雅彦。北大路欣也主演では田村高廣が、タダモノではない沢庵を演じたが、今回は、普通の僧になっているのはかわいそうだ。武蔵に対して剣で勝つなど、力強い面が描かれているのが台無しなのでは?『さすが沢庵!』こういうシーンがこれから出るといいのだが・・・。

Cなぜ、伊達政宗が出てくるのか?
小次郎はお篠と再会。伊達政宗に追われていると告げられるが、素朴に言おう!『なぜ、伊達政宗が出てくるのか?』訳あって追われてるとの事だが、じゃぁ、なぜ伊達政宗なのか?と言いたい。実は、牛嶋、伊達政宗の事も大好きなのである。伊達政宗が生まれた山形県米沢市に住んでいた事を誇りに思うし、
渡辺謙が演じた大河も最高に面白かった!今後の展開が全く読めないが、たぶん、鎌田敏夫さんが伊達政宗ファンなのだろう。それとも隻眼であるという共通点を持つ柳生十兵衛と勘違いしているのか?

【次回の展望】
次回は、京に上った武蔵が吉岡清十郎と立ち合うようだ。さっきも述べたが、この展開には疑問がある。未熟な状態で、いずれ出会う人間と、早くに会って欲しくなかった。牛嶋からすると、小次郎に歯が立たなかった事を描くのと同じだ。先週に続いて否定するような事ばかり書いたが、原作に勝るモノなし! ましてや吉川武蔵を原作に使う以上、原作に落ち度はなし!という観点から、設定や展開を大幅に変えた鎌田氏には疑問だらけだ。でも実は、『最初はどうなるかと思ったけど、鎌田敏夫ってやっぱり凄い』と、最後に言わせて欲しいと思っているのである。だからこそ言うが、まだまだ見捨てた訳ではないのである。

第2回 「お前を守る!」(1月12日放送)

【物語】
武蔵(市川新之助)はお甲(かたせ梨乃)や朱美(内山理名)と京へ行こうとする又八(堤真一)を引き止めるが、又八は聞かず二人は別れる。宮本村に戻った武蔵を、村の若衆たちは疑いの目で見るが、頭格の茂介(中村梅雀)だけは武蔵をかばう。かつて弟や自分を救ってくれた義理があるからだ。武蔵は、お通(米倉涼子)とお杉(中村玉緒)に又八の無事を告げるが、お杉は信じない。 武蔵が息子を殺したと信じるお杉は、役人の青木(伊藤敏八)に訴え出る。お杉の偽りの好意の湯に浸る武蔵は、お通にともに村を出ようと誘うが、お通はうなずかない。そこを青木の軍兵らに襲われ、逃げ出す際に若衆に深傷を負わせる。沢庵(渡瀬恒彦)は、お通の笛で武蔵を誘い出し千年杉に吊るし、その身柄を引き受けようとするが、事態を知ったお通は武蔵の綱を解き「逃げて」と叫ぶ。逃げた武蔵とお通は崖から落ちる・・・。

【牛嶋ズバリ解説】
第2回は、新免武蔵(しんめんたけぞう)から宮本武蔵(みやもとむさし)に変わるきっかけとなる重要な回といえる。故郷の宮本村に帰るのはいいが、そこに待っていたのは関が原の残党狩り。それに、又八を置いて帰ってきた母お杉からの風当たりも強く、より手のつけられない武蔵(タケゾウ)が描かれる。又八の許婚だったお通がどう武蔵に想いを寄せるのかにも注目だ。

さて、今回の話はハッキリ言って
ガッカリした。序盤の最大の見せ場をどうしてくれるんだ!と言いたい。ちょっと厳しいようだが、原作と同じ話はあれど、そのセリフと展開方法に不満が残った。では、その辺りを詳しく解説しよう。

@又八がお甲と京に行く理由が分からない
まず、又八がお甲とともに京に向かうシーンであるが、
原作では朝、武蔵が目を覚ましたら、又八とお甲は既に去っている・・・というようになっている。しかし、今回の大河だと又八があっさり京に行き、その姿を見ながら武蔵は美作に帰るという、ふだん我々が友達と別れるシーンと同じようにあっさりしたものだった。これなら、又八とお甲が出来てしまっているという部分が説明不足。又八がお通を置いてまでお甲と一緒になるのか明確にすべきだし、明確に出来なかったら原作と同じようにすべきだ。これは明らかに演出不足だ。また原作ではお甲がお通に対して『又八さんと一緒になる』と手紙を送るのだが、その話もカットされていた。

Aお杉が直接武蔵を騙して欲しかった
お杉が武蔵を騙すのは原作と一緒だが、明らかに演出不足である。原作では、お杉は武蔵に優しく接して『風呂にでも入れ!』と言うが、大河ではお通に『家に泊めてやれ』と伝えさせている。お杉自らが武蔵に言うのならまだしも、お通に言わせるとは何事か!原作では優しくしてくれたお杉に対して『こんなに優しくしてくれるんだったら早く帰るんだった』というようなセリフがあるが、当然、ここではなし。武蔵が騙された!お杉婆は嫌な奴!という部分を出さなきゃいけないのに、あまりにも軽く描かれすぎてはいないか!

B沢庵がどれだけの人かもっと表現すべきだ
残党狩りに来た
青木丹左衛門は、武蔵を取り逃がした家臣に対して腹を立て、沢庵に対しても失礼な事を言ってしまう。しかし、沢庵はそれに応戦。大河では『姫路城に入る池田輝政とは知り合いだと青木に明確に言うが、このセリフがまずい!原作では『わしを斬れ!その首を池田輝政公に持って行け!その時、輝政公はこう言うであろう。おやおや沢庵坊、今日は首だけで参ったか・・・』と言うのである。それに対して青木丹左衛門が『失礼仕った!』と頭を下げるのだが、大河ではこのシーンが描かれていなかった。これでは沢庵の存在を軽くしか表現出来ていないのではないか

C沢庵が武蔵を捕らえた部分の演出不足
お通の笛に呼ばれるかのように武蔵は現れ、そして沢庵に捕らえられるが、その捕まえ方が簡単すぎる!せめて原作のように
縄でしばられるシーンも見たかった。また、あっという間に千年杉に吊るされるが、吊るされるいきさつをあまりにも省略しすぎ。

D千年杉に吊るされた期間が短いのでは?
大河だと、吊るされてすぐにお通が縄をほどいて武蔵を逃がした感じがして、吊るされた
武蔵の辛さが表現されてなかった。原作では数日間吊るされぐったりした武蔵が描かれ、ましてや『沢庵どの!』と助けを求める叫びがあるのだが、大河ではそれも描かれておらず。吊るされたシーンの重要さが分からないのか!と言いたい。

E武蔵とお通が崖から落ちたのは物語を省略するための手だ
今回の大河は、やたらと展開の速さが目に付く。武蔵の姉お吟が登場しないのも、出来るだけ物語を簡単に進めるためと思われる。原作では、お通と宮本村を出て行く際、武蔵は、姉のお吟が捕らわれているのを知って一旦宮本村に戻るというシーンがある。ここでお通と一旦別れて姫路で再会しようという約束をする。しかし、大河ではお吟が登場しないし、ここで二人がはぐれるシーンを作らなければと崖から落ちるというシーンを入れたのではないかと思われる。おいおい、これはなんだ!私は言葉を失ってしまった。

以上が大きな不満点であるが、その他にも細かいシーンがいくつかあった。原作と違う事ばかりを強調したが、牛嶋としては原作と違って大いに結構。しかし、それなら
原作より面白くしろよ!と言いたい。

【次回展望】
まず、崖から落ちたお通がどうなったのかが気になる。牛嶋の予想では柳生兵庫助に助けられて柳生の里へと一緒に向かったのではないかと思うが、どうだろう。いや、助けるのは沢庵かも?さて、3回目にして姫路城城主の池田輝政が登場。そして、タケゾウから武蔵(ムサシ)へ・・・。その舞台が世界遺産である姫路城だったという事にも注目。暴れん坊の市川武蔵が落ち着き払った市川武蔵にどう変化するのかも注目だ。

第1回 「俺は強い!」(1月 5日放送)

【物語】
慶長5(1600)年9月、新免武蔵(市川新之助)と本位田又八(堤真一)は、関ヶ原の合戦で敗残兵となる。一方、越前の天才剣士・佐々木小次郎(松岡昌宏)は師の命で、恋人・八重(仲間由紀恵)の父を斬ることになり、そののち国を逃れる際、謎の女性・お篠(宮沢りえ)と行き違う。逃避行を続ける武蔵と又八は、お甲(かたせ梨乃)と朱美(内山理名)という親娘に雇われ、その家を毎年襲う辻風典馬(永澤俊矢)一党と戦うことになる。同じ雇われ牢人の内山半兵衛(西田敏行)を頭として、凄絶な戦いが始まる。半兵衛の指揮で一度は賊を撃退するが夜襲に会い、武蔵が親しみを感じていた半兵衛は、武蔵に「闘うことは生き抜くこと」と教えた直後に惨死。豪雨の中の死闘の末、ついに典馬を倒した武蔵は「俺は強い!」と絶叫する

【牛嶋ズバリ解説】
賛否両論あるだろうが、第1話はなかなか面白く、これから期待が持てる内容だったと思う。正直言って、所詮大河ドラマなんだと期待していなかったからかもしれない。ここ10年くらい大河ドラマを見ている牛嶋だが、見るたびに『大河ってなんでこんなにホームドラマっぽいんだろう?』と思ったものだ。合戦を描くにしても『これで済ますんかい?』と突込みを入れたくなるほどチンケなモノが多いし、キャスティングの不思議さ、メリハリのなさ、そして何よりも、スケールの小ささを感じさせるのだ。いかにもスタジオで撮っていると分かるシーンが多いのがそのせいで、牛嶋がまだ純粋だった頃は『おいおい、最悪だなぁ〜』と思ったものだ。

しかし、ここ数年、『大河ドラマは映像に力を入れるよりも物語をいかに演出するかだ』と悟るようになり、楽に見る事が出来るようになった。ちなみに、これを理解するのに10年かかったが、こういう見方をすれば『面白いわけないじゃん』というマイナスからスタートして、『結構、面白いじゃん』と回を重ねていくにつれて気持ちをプラスにして見る事が出来るのである。

さて第1話だが、上記の通り、武蔵が関が原に参戦、敗走する所から始まる。これは吉川英治さんの原作そのままだが、違うのは又八が怪我してお甲親子に助けられたのではなく、賊を撃退するために雇われたという点。この展開は決して悪くはないが、京に行く武蔵と、美作に帰る又八が一旦別れたにもかかわらず、 朱実の誘いにより再会するのはグッドアイデアだったと思う。そして、原作では登場しない牢人の内山半兵衛(西田敏行)が頭となって辻風典馬一味と戦うが、そこで武蔵は半兵衛に『闘うことは生き抜くこと』と教えられる。これこそがこの後の武蔵ストーリーの1つのキーワードになっているのだ。内山半兵衛の登場、これは上手かった!何よりもこの役柄に西田敏行を持ってきたのは最高!1回のみのゲスト的な出演とはいえ、今後、空想で何度か登場することだろう。

以上の展開と脚色から、鎌田敏夫さんの脚本はなかなかのものだと言える。その他、本位田又八、お通のキャラクターも初回からこんな人間だと明確に打ち出している点も注目。又八はこれまでに比べて頼りなさをあまり表に出さず、代々誰もが持つ等身大の人間を打ち出していた。一方、お通は、最初から『ひとりぼっちの人間は強くなりますよ』と訴えるなど、
これまでの弱いお通から強いお通に早くもアピール。許婚の又八に対しては”さん”づけ。
武蔵は”タケゾウ”と呼び捨てにする点も注目だ。お通役の米倉涼子は鎌田氏の指名だったという話からたくましいお通が描かれていく事だろう。

ひとつ気になったのは、武蔵役の市川新之助さんに少し頼りなさを感じた事。これまでテレビで見る事がなかった歌舞伎俳優という事もあるだろうが、これまでの武蔵はなんだかんだ言っても若輩ものながら少しでも強さが感じられた。しかし、1回目の放送を見る限りでは、がむしゃらさだけが全面に出ていたような気がする。これが本来の武蔵なのかもしれないが、逆に新免武蔵から宮本武蔵に変わった際にどんな感じで落ち着き払った武蔵になるのか注目したい所だ。

いずれにしても市 川新之助武蔵に期待したい。それと厳しいようだが、市川新之助と松岡昌宏の身長が気になる。どうみても170くらいにしか見えず、180センチあった武蔵190センチあった小次郎のスケールが小さく感じたのは否めない。

【次回展望】
さて、第2回は早くも
千年杉に吊るされるシーンが登場。展開が早いなぁ〜と思ったが、物語の3分の2で巌流島の決闘になる事を考えれば妥当か。大河ドラマを見続けて10年以上になるが、これほど1回目の放送を楽しみにしたことはなかった。15年来のファンという事もあるが、描かれるのは地元岡山出身の剣豪・宮本武蔵。また、これまで描かれたストーリーと歴代の武蔵 (中村錦之助、役所広司、北大路欣也など)の比較をするのも楽しみであった。

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